与党信頼回復のヒントは沖縄県議選に
2024.06.26
通常国会は、21日までに議案の実質審議を終えて、23日閉会した。内閣が提出した予算、条約、法案は、継続審議となった法案1本を除いて全て成立し承認された。
最大の課題であった自民党の政治資金をめぐる問題では、再発防止策として政治資金規正法改正案を19日、与党の賛成多数で成立させることができた。
現職議員や派閥の会計責任者らが起訴された事件やその経過に関する説明の不透明感によって生じた自民党に対する不信は根深く、衆院補選や知事選などの首長選、都議補選など次々と負け続けた。
岸田文雄首相が国民に約束した政治資金規正法の改正は、自民党内の根強い反対を押し切って決断した結果、ようやく成立にこぎ着けたが、信頼を取り戻すきっかけはつかめただろうか。
先週末行われた各種世論調査(読売、共同、毎日など)によると、内閣支持率はほぼ横ばいで低迷し、改正政治資金規正法の再発防止への期待感も今のところ高くない。要因は、支持率低迷は以前から続いており、規正法成立に向けての岸田首相の決断が遅いため、支持率反転のパンチにならなかったとの党内の声がある。さらに、検討事項が残り、実現性が不透明だとの指摘もある。
改正法の成立は政治への信頼を取り戻す第一歩であり、これからも不断の改革が求められる。実施から3年後の見直し規定を入れたのもそのためである。まずは、政策活動費の支出や使途をチェックする第三者機関の設置を義務づけたので、その中身を他の検討項目とともに2026年1月1日の施行時期までに具体化しなければならない。
公明党は19日、規正法の実施推進プロジェクトチームを設置して年内に考え方を取りまとめる方針を示した。自民党にも早期の取り組みを促し、野党にも理解と協力を求めたい。
有権者は、賃上げによる経済の好循環実現や、効果的な少子化対策など生活に関わる課題の解決を求めている。先の沖縄県議選で自民・公明の候補が勝利したのは、「オール沖縄」勢力が基地問題ばかりなのに対し、子育てや物価高など県民生活の課題を国政との連携による実績をもって訴えたからだ。与党への信頼回復のためには、国民生活に届く具体策を確実に積み重ねていくことが大切である。
東京都知事選でも、都民の生活課題に実績の裏付けをもってこれからの政策を訴える候補者が有権者の期待に応えることができそうだ。
ところが、政治団体からの大量の候補擁立やポスター掲示板の別目的利用など、候補者個人の氏名と見識を有権者に伝えて当選を図ることとはほど遠い行為が問題になっている。
有権者から違和感や不快感の苦情が多数選管に寄せられている。現行法に基づいて違法な行為を正すとともに、立法府として対応する必要がないのか議論すべきである。
(公明党代表)
【2024年6月26日(25日発行)付 夕刊フジ掲載】