海保育成や地雷除去で国際貢献
2024.07.24
東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国(マレーシア、ブルネイ、ラオス、カンボジア)を8日から17日まで歴訪した。昨年(フィリピン、インドネシア、ベトナム)に続く公明党の政党外交であり、今回は私を団長に竹谷とし子参議院議員、中川康洋衆議院議員が同行した。
昨年、日本ASEAN友好協力50周年を迎えた。地域の中心性と一体性を保ち、安定と発展に日本が協力していくことはこれまで以上に重要である。どの国のリーダーも、「日本は能力構築や人材育成を継続的に誠実に実行してくれる」との認識を共有し期待を示していたことは心強い。
公明党が力を入れて取り組んできたことを2つ紹介したい。
まず、日本が実施する「海上保安政策プログラム」を通じた人材育成である。このプログラムは公明党の提案で安倍晋三首相(当時)が設置し、ASEAN海洋国の中堅幹部が1年間の研修を経て修士号を取得するコースで、私は9期に及び研修生の表敬を受けてきた。近年はインド、スリランカ、バングラデシュ、モルディブにも参加が広がる。参加国の縦のラインと、各国同期生の横のラインが人材のネットワークを形成し、国際公共財であるシーレーンの安全を保ち、法の支配の担い手になっている。
マレーシアでは海上法令執行庁(日本の海上保安庁にあたる)を訪問し、南シナ海とインド洋をつなぐマラッカ海峡の要衝の安全を確保する重要な役割を確認し、日本研修の卒業生たちとも再会して、活躍ぶりや他国同僚との連携を聞いた。
次にカンボジアでの地雷除去支援である。きっかけは内戦の和平合意前の1991年に訪問した際、手足を失った被害者や地雷原の立ち入り禁止区域を見たことだ。国連平和維持活動(PKO)を経てようやく復興への国づくりが進み始めた今世紀初頭、私は地雷除去機と探知機の研究開発予算を確保し、2006年にカンボジアで実証試験を行い、国連の認証を受けた機種を政府開発援助(ODA)でカンボジア地雷除去センター(CMAC)に供与して支援し、被害を大きく減らした。
このCMACが蓄えた技術と経験は他に代え難いものがあり、ラオスの不発弾処理やコロンビアの地雷除去の支援にも協力してきた。今、ウクライナの地雷除去支援に期待が集まっている。
今回の訪問で旧知のCMAC長官とこれまでの活動を振り返り、今後のウクライナ支援にも日本とともに協力していくことを確約した。
再会したフン・セン前首相がいみじくも語った言葉が耳に残る。「平和あればこその地雷除去であり、国の発展です」と。
以上2例は日本の息の長い協力が相手国のみならず国際社会にも貢献できる取り組みであり、独自の存在感をもたらしている。
一方、いよいよ自民党の総裁選に向けて動きが出てきた。これを国民の信頼回復を図る機会にしてもらいたい。(公明党代表)
【2024年7月24日(23日発行)付 夕刊フジ掲載】