山口なつおOFFICIAL SITE

メニュー

FacebookTwitterLINE

活動レポート

ホーム活動レポート処理水問題で訪中延期 こういうときこそ率直な対話が必要

ブログ「本音でズバッと」

処理水問題で訪中延期 こういうときこそ率直な対話が必要

2023.09.13

政府は8月24日、東京電力福島第1原発のタンクに貯まったアルプス処理水の海洋放出を開始した。中国は「核汚染水」と称して放出に反対し、日本産水産物の禁輸を被災地のみならず全国的に一時停止する措置に踏み切った。

これに反応したのか、北京の日本大使館や各地の日本人学校にレンガ片や石が投げ込まれた。また、中国の国番号が表示された電話や決まった言い回しの抗議電話などが、福島県内をはじめ日本各地にかかってきた。

こうした行為は、犯罪にあたる可能性があるので自制するよう日本側は働きかけている。さらに、処理水放出は、科学的根拠に基づき、安全基準を満たしており、放出の方法やモニタリングの結果が基準を下回っていることを日本語や英語で公表し、透明性高く丁寧に説明を重ねている。

日本の海洋放出計画は、国際原子力機関(IAEA)も「国際安全基準に合致する」と評価し、人や環境に与える影響は無視できるものであるとしている。放出後は、IAEA自身が複数箇所で採取した処理水のサンプルを検査し、基準を下回っていることを公表している。

公明党は、新型コロナ感染症パンデミックで滞っていた日中政治対話を再開すべく訪中を望んでいた。中国側の指定した8月28日から30日の訪中日程に備えていたが、直前の同26日、「当面の中日関係を検討した結果、適切なタイミングではない」と伝えてきたので、相談の上、延期・再調整することとなった。

処理水をめぐる立場の違いなどが影響したことは否めないが、こういうときだからこそ、率直な対話により接点を模索できればよかった。

中国の生態環境部が出した同24日のプレスリリースによれば、「われわれは、科学的で安全かつ透明性のある方法で汚染水を処分し、厳格な国際的監督を受け入れるよう求める」としており、日本側の姿勢と大差ないように思える。対話により乗り越えることは十分可能であろう。

中国の「一時的な禁輸」措置の間、日本の漁師や水産業者の損失を避けるため、さまざまな支援策が講じられている。「日本の水産物を食べよう」という呼びかけもその一つであり、自衛隊や学校給食などでも協力の動きが出てきた。民間を含めて国民運動に広がることを期待したい。

岸田文雄首相は8日、私に「13日にも内閣改造と自民党役員人事を合わせて行う方向で調整したい」とインドから電話で伝えてきた。

内閣支持率が低迷するなか、国民が期待するような新内閣が求められる。信頼・結束・安定が基調となろう。物価高や少子化対策の課題を考慮すると、「女性を含めて生活感のある人を」との声もある。

岸田首相の人事には、与党の協力が大切である。

(公明党代表)

【2023年9月13日(12日発行)付 夕刊フジ掲載】