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ブログ「本音でズバッと」

韓国のGSOMIA維持は当然

2019.12.04

韓国は先月22日、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が失効する直前に、「2019年8月23日の終了通告の効力を停止する」と伝えてきた。米政府と軍の幹部が相次いでソウル入りし、説得したことが大きく影響したようだ。結果的にGSOMIAは維持された。

同時に、日本の輸出管理強化に関する韓国の世界貿易機関(WTO)への提訴手続きも停止した。

北朝鮮問題などへの対応のため、安全保障の観点からは日韓、日米韓がしっかり連携を密にしていくことが重要である。このような地域の安全保障環境を踏まえて、韓国も戦略的観点から今回のような判断をしたものとみられる。

早速、北朝鮮は先月28日、日本海に向けて弾道ミサイル2発を発射し、安倍晋三首相を名指ししたうえで、「弾道ミサイルが何なのか、遠からず、非常に近くで見ることになるだろう」などと、新たなミサイル発射を示唆して牽制(けんせい)してきた。

これを受けて、外務省のアジア・大洋州局長は、米国の北朝鮮担当特別代表と電話で協議したうえ、韓国外務省の朝鮮半島平和交渉本部長とも電話で協議した。

日韓実務者の協議では、北朝鮮の弾道ミサイルに関する情報分析とともに、GSOMIAに基づく情報共有につても話し合い、引き続き日韓、日米韓で緊密に連携していくことを確認した。

北朝鮮の挑発的な行動をみれば、GSOMIAの維持は当然のことであり、失効させて情報共有と連携に綻(ほころ)びが出ることは地域の安定を損なうことが明らかだ。

このGSOMIAの問題と、輸出管理の問題はまったく別の問題である。両者の対応で、日韓が取引するような関係にはない。輸出管理については、韓国からのWTOプロセス中断の通告があったことを受けて、関係当局間で対話がなされていくことになる。

もともと、日本の輸出管理強化は、韓国の管理体制が十分ではなく、過去に行われていた対話による現実対応が途切れて信頼関係が損なわれたことから、優遇ではなく原則に戻して輸出手続きをチェックすることにしたものである。

これを機に、日韓の対話を重ね、管理体制を強化して信頼関係を高めてもらいたい。

日韓関係を改善するには、悪化のもとになった、いわゆる「元徴用工」の異常な判決を受けた韓国政府の対応が鍵になる。日韓請求権協定の内容と経緯に照らせば、韓国政府が主体的に解決を図ることが重要だ。現在の民間を巻き込んで日本企業の資産を差し押さえて執行に移せば、経済関係に混乱をもたらし、両国の国民感情にも禍根を残しかねない。

さて、安倍首相主催の「桜を見る会」をめぐり、野党の攻勢が続いている。主催者側は、誠実に国会対応をすべきであるし、反省するところもある。

一方で、この問題を法案審議にまで取り上げて、山積する内外の重要政策課題に対する質疑がどこまで掘り下げられているか首をかしげる。

政府は、教訓を踏まえて、招待者の基準や招待プロセスの透明化にしっかり取り組んでもらいたい。

(公明党代表)

【2019年12月4日(3日発行)付 夕刊フジ掲載】