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ブログ「本音でズバッと」

先進国では考えられない不透明な拘束

2023.04.05

林芳正外相が1日、日本の外相として3年ぶりに中国・北京を訪問し、2日に秦剛国務委員兼外相、3月に就任した李強首相、中国外交担当トップの王毅共産党政治局員らと相次いで会談した。今後、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図ることで一致した。

一連の会談でテーマの1つとなったのが、中国当局に拘束された大手製薬会社「アステラス製薬」の中国現地法人の男性幹部をめぐる問題だ。中国で「反スパイ法」が2014年に施行されてから、少なくとも16人の日本人が同法違反の容疑で拘束されている。

問題は、逮捕令状もなく、どのような容疑で拘束されたのか、本人や関係者にもよく分からないことである。中国に駐在する日本の領事が面会して状況を聞くことすら、すぐにかなわない場合もある。このような不透明な身柄の拘束は、罪刑法定主義の確立した先進国では考えられない。

この点から、私は、林外相の訪中が報道された際、「林外相は訪中の機会にまずは領事の面会を早期に実現し、早期解放を求めてもらいたい」と訴え、「不透明な事案が発生しないよう、明快な方向性を日中間でつくっていくことも重要な課題になる」と述べた。

また、中国の対外的な民間交流を統括する中国人民対外友好協会の林松添会長が3月30日、公明党を表敬した際にも、「日中の民間交流が萎縮しないように、日本人や日本企業が安心して中国を訪問し活動ができるよう配慮してほしい」と伝えた。林会長は「中国は法治の国である。法に基づいて適切に処理する」と語った。

林外相は秦外相との会談で、大手製薬会社の男性ら日本人が中国国内で拘束されたことに抗議し、早期解放を強く申し入れた。これに対し、秦外相は「中国側は法に基づいて処理する」と強調した。

林外相は、李首相との会談で、「日本人や日本企業が安心して活動できるような環境を整えることが重要だ」と指摘した。

岸田文雄首相は、3日の参院決算委員会で、「家族など関係者との連絡など、できる限りの支援を行っていきたい」と答えた。

ところで、立憲民主党の小西洋之政調会長代理が3月29日、週1回の開催が定着している衆院憲法審査会の委員を「サル」や「蛮族」に例えた発言が報じられた。

参院議員である小西氏が、他院の活動を非難するような発言は慎むべきであるし、意見があるなら堂々と参院の舞台で述べるべきだった。

案の定、与野党から「発言は不適切だ」などと批判が相次ぎ、立憲民主党の泉健太代表は同月31日の記者会見で、小西氏を参院憲法審査会の野党筆頭幹事から更迭すると発表した。当然である。

小西氏は、この発言を報道したメディアに対し、「(総務省の)元放送政策課課長補佐にけんかを売るとはいい度胸だ」「放送法などあらゆる手段を講じて、その報道姿勢の改善を求めたい」などと自身のツイッターに投稿し、政治的圧力とも受け取れる言動に及んだ。

つい先日まで、放送法の解釈をめぐって安倍晋三政権が報道に圧力をかけたと、国会追及の急先鋒(せんぽう)だった人物のものとは思えない言動にあぜんとする。

いよいよ、今週から参院憲法審査会で憲法に明文化された緊急集会(憲法54条2項)の議論が始まる。小西氏は、先の発言を撤回し謝罪したが、参院の論客として、しっかり審議を深めてもらいたい。

(公明党代表)

【2023年4月5日(4日発行)付 夕刊フジ掲載】