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ブログ「本音でズバッと」

事態は「明日の東アジア」かもしれない

2023.02.22

ロシアのウクライナ侵略から、24日で1年になる。あろうことか国連安全保障理事会の常任理事国が、国際法を破って他国を侵略するという事態が続いている。本来なら、安保理に侵略を止める行動が期待されるところであるが、ロシアは常任理事国に認められた拒否権を使い、役割を果たすことができない。

この間、両国の兵士だけでなく、ウクライナの数多くの民間人が犠牲となっている。このような事態は「明日の東アジアかもしれない」との強い危機感を抱かざるを得ない。中国やロシアの軍事的活動は活発になる一方であり、力による一方的な現状変更の懸念は拭えない。

北朝鮮は18日、米国本土全域を射程内に収めるICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星15」を、日本の排他的経済水域(EEZ)内に撃ち込み、20日も弾道ミサイル2発を発射した。

権威主義的国家群のこのような行動を目の当たりにすると、日本国憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼」する理想とはかけ離れた現実を、冷徹に受け止めなければならない。

日本政府は、国民の生命と財産を守るために、まず日本自身の防衛力を強化し、日米同盟の機能を高めることが重要だ。

日本は今年、G7(先進7カ国)の議長国を務める。「民主主義」や「基本的人権」「法の支配」といった価値観を共有する各国との連携を深めることが大切である。

また、今年は国連安保理の非常任理事国も務める。機能不全となっている安保理を改革することや、国連総会を活用することに注目したい。

先週16日会談したクールシ・チャバ国連総会議長は「加盟国の大多数が国連憲章を守るために侵略を許さない投票をすることを確信する」と語るとともに、安保理改革にも期待を寄せた。

一方で、法の支配に基づく国際秩序を確立し、他方で、日中安保対話などを通じて衝突を回避し、危機を低減していく努力を怠ってはならない。

米軍が4日、中国の「偵察気球(スパイ気球)」を撃墜し、防衛省は14日、同様の気球が日本にも飛来していたことを明らかにした。

無人飛行体の軍用が進み、ミサイルは攻撃用に、無人機、ドローン、気球などは偵察用にも攻撃用にも使える。どのような形態であれ、許可なく日本の領空に侵入すれば領空侵犯となる。

領空侵犯した気球は、民間航空機の安全を脅かし、国民の生命や財産に損害を与える危険があるので、これを排除できるようにしておかなければならない。

これまでは、有人機の攻撃から身を守るための武器使用は、人に危害を加える恐れがあるので、正当防衛か緊急避難の場合のみに限られるとされてきた。だが、無人の場合は、そのように限定する必要はなく、危険を排除する必要があれば、武器使用が許されてよい。このように、政府与党は要件を緩和した。

とはいえ、相手国とトラブルを避けるために、軍用か民用か、飛行目的は何か、武器使用以外に安全確保手段はないかなど、対話を通じて一定の国際的なルールを確立していくことが望ましい。

(公明党代表)

【2023年2月22日(21日発行)付 夕刊フジ掲載】