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ブログ「本音でズバッと」

多くの国民「防衛力強化」「防衛費増額」理解も財源は・・・

2022.12.21

政府は16日、防衛力強化に向けた国家安全保障戦略など新たな「安保3文書」を閣議決定した。

日本を取り巻く安全保障環境が年々厳しくなりつつある。特に今年は、北朝鮮がミサイル発射を頻繁に行い、わが国のEEZ(排他的経済水域)内に撃ち込むことがあった。日本と国境を接するロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにした。

これまでのように迎撃するだけでは、国民の生命や財産を防御しきれないと感じている。そのためには、攻撃を思いとどまらせる抑止力として、「反撃能力を保有する」こともやむを得ないと肯定的だ。多くの国民は「防衛力強化」「防衛費増額」を理解しているように思われる。

しかし、今後5年間で総額43兆円にものぼる防衛力整備計画に盛られた防衛費の財源をどう確保するか。社会保障や防災減災などの財政需要も考えると、「総論賛成、各論反対」が世論調査の傾向でもある。

安倍晋三元首相はそうした事情を見抜いていたから、「防衛国債」を提唱して、負担の先送りを示唆した。だが、現役世代の痛みなく国債に頼れば、防衛費拡大に歯止めがきかなくなると懸念した政府は真っ先に排除した。

そこで、岸田文雄首相は、財源措置については、歳出削減、決算剰余金、税外収入などで増額分の4分の3を捻出し、足りない4分の1に当たる1兆円強を「増税」で賄う方針を打ち出した。

コロナ禍からようやく回復の兆しをつかもうとしている矢先に、財務省主導で「増税」や「緊縮財政」優先を打ち出すことは、デフレ経済へ逆戻りを招くとの非難も自民党や閣内の一部から出された。

さらに、参院選で岸田自民党は「増税」を掲げていないとか、臨時国会閉会を受けた記者会見の冒頭で、岸田首相は「増税」に言及しなかったという指摘がある。岸田首相は逃げているように見えるとの批判もある。

確かに、防衛費の内容、金額、財源を3文書とともに一体で決めると述べ、具体案が議論の俎上に上ったのは閣議決定の約1週間前だったことから、国民には十分に説明が行き渡っていないきらいがある。

私たちの生命や財産を守るための防衛費を先送りすることなく、現役世代が負担する責任を自覚することで、身の丈にあった防衛・安全保障のあり方を真剣に考えることにつながると信じたい。

そうはいっても、今の経済状況を考えれば、税負担を最小限にし、個人や中小企業の負担をできるだけ回避すべきだ。増税の実施時期も含めて、丁寧に議論し理解を求めることが大切だ。

今年最後のコラムとなるが、予想もしない衝撃的な出来事が続いた一年だった。ロシアのウクライナ侵略や、安倍元首相の暗殺などが報道され、歴史教科書に出てくる侵略戦争やテロ事件を重ねて想像した人もいただろう。

早く仕舞にし、二度と起こさない時代を築きたい。

(公明党代表)

【2022年12月21日(20日発行)付 夕刊フジ掲載】