山口なつおOFFICIAL SITE

メニュー

FacebookTwitterLINE

活動レポート

ホーム活動レポート円安相場、メリット生かしデメリットに目配りを

ブログ「本音でズバッと」

円安相場、メリット生かしデメリットに目配りを

2022.10.26

先週末21日のニューヨーク外国為替市場で、円相場は一時、1ドル=151円台まで下落した。直後、7円も円高が進み、週明け24日の東京市場でも、再び1ドル=150円台に下がったところ、145円台まで値上がりした。政府・日銀による円買い市場介入が行われたものとみられる。

急激で過度な為替の変動は問題とされ、メディアは一喜一憂ぶりの報道に余念がない。

今回の円安は、米国が、過熱するインフレを抑制するために利上げを進め、日銀が大規模な金融緩和を継続し、その金利差が縮まらない構造に由来する。その構造が変わらない限り、為替介入は激変を牽制(けんせい)する一時的な効果に止まる。

円安は「輸出関連企業には有利で、日本は経済成長し、GDP(国内総生産)も伸びる」との見方がある。工業品だけではなく、円安メリットを生かすには、農林水産品の輸出促進やインバウンド拡大の観光振興策にも取り組むべきである。

また、経済安全保障の観点から、「企業の国内回帰を後押しする」と歓迎する声もあがる。半導体やIT関連の製造拠点の国内回帰や新規投資を促すことは、新たな競争力を育て、雇用も生み出す。

円安は輸入物価の高騰を招き、デメリットもある。電気・ガスなどの光熱費や食料品の値上がりから生活を守る施策も必要となり、輸入資材を扱う中小企業にも目配りを要する。

こうした対策を盛り込んだ「総合経済対策」を今週末にも政府・与党で策定し、今年度補正予算と来年度予算で財源の裏付けを確保していく。

日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、防衛費の増額が注目されている。防衛費は防衛省の扱う予算とされてきた。広い意味で安全保障に関わる予算のうち、「PKO(国連平和維持活動)関係拠出金」は外務省、「海上保安庁関係予算」は国交省、「旧軍人恩給費」は総務省というように、分散している。

本年の「骨太方針」には、NATO(北大西洋条約機構)諸国の国防費がGDP2%以上を目指すことが引用されている。いわゆるNATO基準の国防費には、PKOや沿岸警備、軍人年金などの予算も含まれている。

もっとも、NATO諸国には、内陸国もあれば海洋国もあり、アイスランドのように軍隊を持たない国もある。それぞれに国防の中身は異なるのである。

大切なことは、日本の安全保障環境にふさわしい総合的な安全保障の能力を高めることである。

PKOは紛争地域の平和を維持し紛争を予防する活動であり、世界の安全保障に寄与している。海上保安庁は海の警察であり、軍隊ではないが、国際海洋法秩序を維持し、紛争を予防する重要な活動を担っている。

与党で始まった協議は、防衛の実務者と党幹部が広い観点から協議するハイレベルとの二段構えで進めていく。

(公明党代表)

【2022年10月26日(25日発行)付 夕刊フジ