近く中韓訪問 関係改善に努力

掲載記事2015年10月07日 (水曜日)

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このたび、私は公明党代表団を率いて、7日~9日に韓国のソウルを、13日~16日に中国の北京をそれぞれ訪問する。私の訪韓は2010年11月以来、訪中は13年1月以来である。

安倍晋三首相の「戦後70年談話」は内外でおおむね妥当な評価を受け、日本と中韓の関係は改善の方向にある。日中韓首脳会談が10月末にも開催が模索されるなか、この機を逃さず中韓との関係を改善し首脳会談を実現させていくことが重要であり、与党としてその環境を整えていく役割がある。

また、安全保障関連法制が成立したことから、日米同盟の抑止力を高めることが、地域の安定に寄与し、対話と交流によって課題を解決していくことの重要性を確認する機会にしたい。

公明党は、両国と長年にわたる交流を重ね信頼関係を築いてきた。その継続性のなかで行われる訪問でもある。

この度の訪韓は、韓国国会の副議長から昨年招待を受けたのがきっかけである。国会正副議長や与党セヌリ党党首など、政党関係者との交流を深めたい。

翌週の訪中では、北京で開催される「アジア政党国際会議」でスピーチを依頼されている。シルクロードをテーマにして今日的な人や物の交流の意義を探ろうというものだ。この機会に、中国対外連絡部の王家瑞部長をはじめ中国共産党の要人とも交流したい。

米アトランタで開かれていたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉は、参加12カ国の閣僚会議で、ようやく「大筋合意」に至った。アジア太平洋地域に経済規模で世界の4割、貿易額は世界の3分の1を占める巨大経済圏が誕生する。

輸出入の垣根が低くなり、国際的なビジネスのチャンスが広がる。少子高齢化の進行により労働人口の減少していく日本にとっては大きなメリットが期待できる。

半面、日本の農業など国内産業への影響に配慮を求める国会決議を踏まえて、その趣旨が守られているか精査していく必要がある。政府には、TPPの意義と合意の内容を積極的に国民に説明していくことを求めたい。

さて、内閣改造・自民党役員人事が7日に行われる。主要閣僚や自民党5役が続投すると伝えられる。公明党の意向は5日の党首会談で安倍首相に伝えた。人事は任命権者である安倍首相の判断に委ねられている。

これまでの政権運営の安定感を保ちながら、アベノミクスの「第2ステージ」を担う新しい推進力も期待したい。政権にとっては、来年夏の参院選で国民の評価につながるような政策を推進できる布陣になることが望ましい。

平成27年(2015年)10月6日(5日発行)付 夕刊フジ掲載】

安保法案審議後、良識の府にかなう結論を

掲載記事2015年09月09日 (水曜日)

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このところ、維新の党の雲行きが怪しくなってきた。他党のことを憶測であれこれ語ることはしない-というのが政界の基本的なマナーである。

しかし、終盤国会の焦点である安全保障法制について、維新の党は「対案」を提出して与党と協議を重ねている。その点で、政党として合意形成の責任を貫けるのかは気になるところである。維新の党幹部の言動を冷静に見ておく必要がある。

維新の党の松野頼久代表は5日、「反安倍晋三内閣の受け皿になる勢力をつくる必要がある。野党勢力を結集して年内に新党をつくりたい」との意向を述べた。安保関連法案については4日、民主党など5野党とともに「強引な採決を阻止する」方針を確認している。

一方、維新の党を離党した大阪市の橋下徹市長は先月28日、「大阪維新の会で国政政党をやる。年内には道筋をつけたい」と語っている。安保法案については同27日、「国のために安保法制をしっかりやってもらう」と党所属国会議員に求めた。

こうなると、松野氏と橋下氏、その影響下にある維新の国会議員はそれぞれ、新党の行方や安保法案の対応で、まったく違った方向を向いているというしかない。維新の党として「対案を国民のために合意しよう」という責任感を優先させているようにもみえない。

安倍晋三首相は先週末、大阪のテレビ番組に出演して、安保法制の必要性を訴えた。これまでも、国会日程のない時間帯で、さまざまなテレビ番組に出演して、安倍首相なりに国民に説明する努力をしてきている。「東京のテレビ局ならいいが、大阪はまずい」ということはない。なるべく広い視聴者に説明する努力はあってよい。

7日の政府与党連絡会議で、安倍首相は「野党から修正案が提出され、議論も深まってきている。引き続き、分かりやすい丁寧な説明を行い、緊張感を持って対応していきたい」と語った。私や谷垣禎一自民党幹事長は、与党を代表して「参院でしっかり結論を出して成立できるよう、政府与党で結束していきたい」と応じた。

また、谷垣氏は8日告示の自民党総裁選について「法案審議に影響がないよう万全の対応をしていきたい」と語っていた。野党の対案や修正案には、これからも与党はできるだけ真摯(しんし)に対応していく。

民主党は「参院の威信を懸けて、60日ルールは使わず、良識の府にふさわしい議論を展開しよう」と、本会議で与野党に呼びかけた。だが、参院で60日以内に結論を出さず、以後、衆院に国会の決定権を預けたまま、「成立の先送り」、つまり「結論を出さず」と叫ぶのは、参院の存在価値を自己否定する、無責任極まりない主張ではないのか。

良識の府にかなう結論を期待したい。

[平成27年(2015年)9月9日(8日発行)付 夕刊フジ掲載]

背景にあるのは「対話外交の推進」

掲載記事2015年08月25日 (火曜日)

150825zubatto.jpgこのところ、報道機関の世論調査で、安倍晋三内閣の支持率が回復している。テレビ朝日系のANNが6・3ポイント(22、23日)、共同通信が5・5ポイント(14、15日)、産経新聞・FNNが3・8ポイント(15、16日)、読売新聞が2ポイント(15、16日)と、それぞれ上昇した。7月の調査では、安全保障関連法案の衆院採決などを受けて、軒並み下落していたので、下げ止まりの様相だ。

この要因は、14日に発表した「戦後70年談話」が、国内外から比較的高い評価を受けたことが第1だ。新国立競技場白紙見直しの決断や、安保法案を一貫して、丁寧に説明している努力なども挙げてよいだろう。

「戦後70年談話」は、幅広くバランスをとる配慮がある。いわゆる4つのキーワード(侵略、植民地支配、痛切な反省、心からのおわび)は、すべて盛り込まれた。安倍首相の「主語がない」との批判もあるが、「こうした歴代内閣の立場は、今後も揺るぎない」と決めたのは安倍内閣であり、ここに隠れた主語があるとみた方がよい。

しかも、閣議決定という責任ある形にしたことにより、「○○首相談話」ではなく、日本の内閣の立場を「客観化」したところに重要な意義があると見るべきだ。

「私たちの先の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」との部分だけを取り上げる論調があるが、大事なのは、その後の「しかし、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」との表現とセットでとらえることだ。

安保法案は、論戦が参院に移ってから、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっている事実を指摘し、立法の背景を丁寧に説明するようになった。これは、特定国の脅威をあおるのではなく、事実に基づいて、「戦争を未然に防止する」仕組みを作るためである。

これによって、対話で課題を解決する外交を推進することにつながる。

政府与党は、内閣支持率に一喜一憂することなく、誠実に国民に向き合うべきである。

朝鮮半島の南北軍事境界線付近で20日、砲撃戦が行われた。22日からは板門店(パンムンジョム)で、南北高官が事態解決のため協議を続けており、今後も注視する必要がある。

思い出すのは、5年前、私が訪韓日程を終えて仁川(インチョン)国際空港を離陸した直後、北朝鮮が韓国・延坪島(ヨンピョンド)をいきなり砲撃し、死傷者を出したことだ。韓国には約3万6000人の日本人が暮らし、北朝鮮には数多くの拉致被害者がとらわれたままであることを、忘れてはならない。

21日の参院平和安全法制特別委員会で、この問題をだれも取り上げなかったのは、いささか敏感さに欠ける。

ようやく、24日の参院予算委員会の質疑で、岸田文雄外相は「北朝鮮は挑発行動を自制すべきであり、南北高官協議が緊張緩和につながることを期待する」と表明した。

緊張感を持って、政治の責任を果たさなければならない。

[平成27年(2015年)8月27日(26日発行)付 夕刊フジ掲載]

戦後70年、近隣諸国と真の「和解」を

掲載記事2015年08月11日 (火曜日)

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まもなく、戦後70年目の8月15日を迎える。戦争の犠牲となった方々を心から追悼し、今日の安定と繁栄を築いた先人の努力に感謝し、今後とも続く平和を世界の人々とともに祈りたい。

広島では6日に「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が、長崎では9日に「原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が行われた。安倍晋三首相は「非核三原則を堅持しつつ、『核兵器のない世界』の実現に向け、国際社会の核軍縮の取り組みを主導していく」とあいさつした。唯一の戦争被爆国として、首相とともに責任を共有したい。

今日、平均年齢80歳を超えた被爆者を含め、戦時体験者の声は貴重である。戦後生まれの私は、学徒出陣の父、勤労奉仕に明け暮れた母から体験を聞いた。戦死した叔父もいる。故郷の茨城県日立市は空爆と艦砲射撃で壊滅した。1トン爆弾の不発弾を展示した、すり鉢状の大穴の遺構があった。米軍機の機銃掃射をかいくぐった教師の話も聞いた。

悲劇を繰り返さないために、戦争の悲惨な実相を知り、後世に伝え残さなくてはならない。同時に、日本が国策を誤り、アジアの人々に侵略や植民地支配による多大な苦痛と損害をもたらしたことも忘れてはならない。

戦後、わが国は日本国憲法の下に、自由と人権を重んじ、民主主義を育て、平和主義と国際協調に徹する道を歩んできた。悲しみや苦難を乗り越えて、懸命に努力した先人のおかげで、復興を成し遂げ、高度成長を経て今日の繁栄を築くことができた。これを支えてくれた米国をはじめとする多くの国々の協力に感謝しなければならない。

戦後の日本の歩みに自信を持ち、これからも誇りを胸に進んでいきたい。そのためには、日本人一人ひとりが、これまでの歩みを虚心に省みて、近隣諸国との真の「和解」を成し遂げ、安定した未来の関係をつくりあげる努力をしなければならない。

安倍首相は14日に「戦後70年談話」を発表する予定だ。かねてから、談話を出すにあたっては「公明党とも相談していく」と語っていた。首相は7日、私や自公両党の幹事長、菅義偉官房長官と懇談の機会を持った。その際、談話の内容を説明し、公明党の意見を参考にして、14日に閣議決定することを明言した。

公明党側からは「安倍首相は『歴代内閣の談話を継承する』と言ってきたのだから、その意味が国民にも国際社会にも伝わるようにしてください」と述べ、「中国、韓国と関係改善に資する内容にしていただきたい」と要望した。首相の説明と、われわれの考え方に大きな隔たりはないと感じている。

6日には、安倍首相が依頼した有識者会議「21世紀構想懇談会」(西室泰三座長=日本郵政社長)がまとめた報告書が公表された。首相の談話はこの報告書をベースにしている。

歴代内閣の談話を継承しつつ、後世の人々が内外ともに納得できる談話を期待したい。

 

安保法案議論議論たっぷり時間を

掲載記事2015年07月28日 (火曜日)

誤解招き、理不尽な批判には反論

150728zubatto.jpg2020年東京五輪の開会式(同年7月24日)まで5年を切った。

安倍晋三首相は17日、新国立競技場の建設計画を「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と決断した。事前に報告を受けていた私は、首相の記者会見後、コメントを求められて、「安倍首相の決断を尊重する。五輪・パラリンピックを内外の人に喜んでもらえるよう、政府与党として取り組んでいく」と応じた。

従来の計画については、2520億円まで膨張した総工費と、不透明な決定過程に国民の批判が高まっていただけに、安倍首相の決断は「英断」といってよい。世論調査でも、国民はこれを歓迎している。

とはいえ、19年開催のラグビーW杯への使用を断念することになり、関係者の落胆も大きいようだ。2大イベント推進のシンボルとみられた、森喜朗元首相が「悪役」を引き受けているようにも見えて、頭が下がる。

安倍首相は大会推進本部の初会合で、「世界中の多くの人々が夢と希望を分かち合える、歴史に残る大会にしたい」とあいさつした。限られた時間で、コストを抑制し、立派な競技場を造りあげるのは容易ではない。政府・与党が気持ちを一新し、国と東京都が協力して大会の成功に邁進(まいしん)したい。

さて、安全保障関連法案の審議が27日、参院でスタートした。国民の理解を進めるために、衆院審議から教訓を得ながら、分かりやすい議論を展開しなければならない。

衆院での115時間の審議のうち、与党は1割の時間配分にとどまった。つまり9割が野党だったわけだ。参院では、与党の質疑を通じて、法案の本来の趣旨や必要性をていねいに説明すべきだ。一部野党によるレッテル貼りや誤解を解き、理不尽な批判には反論することが必要であり、与党はたっぷり時間を取った方がいい。

先日、某大手新聞に興味深い記事が載っていた。日本の名だたる憲法学者へのアンケート結果を解説してあり、「自衛隊は違憲か」との問いに、122人中77人が「違憲または違憲の可能性あり」と答えている。実に63%にのぼる。私は「いまだにそうなのか」と思った。

自衛隊は、国内での災害派遣や国際貢献としてのPKOや国際緊急援助など、長い間実績を重ね、内外に高い評価を得ている。有事への備えも努力してきた。政府・与党は、憲法第13条による「人権を尊重する国政の責任」と、第9条の平和主義のもとで、自衛隊の活用と歯止めを時代の変化に対応しながら適切に運用してきた。

学者の大半が、いまだに「自衛隊違憲」という立場では、自衛隊の活用も歯止めも、現実的な議論ができなくなってしまう。この域を出ない政党の主張もある。

中国はこの1年間で、東シナ海の海上プラットホームを倍増させた。こうした安保環境の急激な変化を知れば、政権を担当した経験のある政党や政治家は、対案を含めて誠実に向き合うべきではないのか。

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