口永良部島の噴火は政府与党で結束して対応

掲載記事2015年06月03日 (水曜日)

150602zubatto.jpg鹿児島県・口永良部島の「新岳」で5月29日、爆発的噴火が発生した。噴煙は一時9000メートルまで達し、火砕流が集落にも迫った。気象庁が噴火警戒レベルを5(避難)に引き上げたため、地元の同県屋久島町は、全島避難指示を出した。

島民137人は、フェリーと海上保安庁や消防のヘリに分乗し、全員が約20キロ離れた屋久島に避難した。やけどを負った人と、体調不良を訴えた人が1人ずついたが、犠牲者ゼロで何とか公民館や親戚(しんせき)宅などへ身を寄せた。

気象庁は、今後も噴火が発生する可能性があり、降雨による土石流の発生も懸念されるため、「引き続き厳重な警戒と避難の対応が必要である」としている。専門家からは「マグマの大半が地下に残り、今後も大きな噴火が起きる恐れがあり、活動が長期化する可能性がある」との指摘も出ている。

私は噴火発生直後の29日昼、安倍晋三首相と党首会談を行い、「政府与党で結束して対応する方針」を確認した。その際、私は、東京都・三宅島の噴火災害による全島避難の経験から「島民の安全確保と避難先での生活支援に万全を期し、島の住宅などの財産保全を含めて帰島できる状況に至るまでの継続的支援」を要請した。

1日には、噴火も止まり、天候も回復したことから、島民代表11人の一時帰島が許された。住宅の火の元や戸締まりを確認し、家畜に餌と水をやり、貴重品などを持ち帰った。

今後、子供たちを学校へ配属し、お年寄りの健康状態を守り、町営住宅や雇用促進住宅などを活用して、当面の居住先を提供しなければならない。必要があれば仮設住宅の建設も検討する。公明党の議員も避難先に駆けつけたが、役所の担当者とともに、島民のきめ細かな相談に応じ、当面の不安を解消していくことが大切である。

気になるのは、列島各地で活発化する火山活動や地震との関係である。

東京都・小笠原諸島で先月30日に発生した地震は、マグニチュード8・1、震源は過去最深の682キロを記録した。小笠原・母島と神奈川県二宮町の震度5強をはじめ、関東を中心に列島の広範囲に揺れが及んだ。

海底下のプレート境界に沿って遠い地域に強い揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる珍しい現象といわれる。高層ビルのエレベーターが多数停止し、土曜日の夜でなければ大混乱になっていた可能性も指摘され、新たな課題を提起した。幅広い検討を要する。

さて、平和安全法制の国会審議が始まった。序盤のテレビ中継では、野党議員と政府答弁者がそれぞれの「印象づけ」を狙った応酬が気になった。与党の質問者は、分かりやすいやり取りで国民の理解を促すことを心がけていたが、時間が不十分だった。国民の命と平和な暮らしがかかった重要な法案である。

安倍首相をはじめ政府側は「謙虚で丁寧な」答弁に徹してもらいたい。私はそのことも党首会談で念を押した。

安保法制に「戦争法案」のレッテル

掲載記事2015年05月21日 (木曜日)

〜政府と国会が責任もって払拭〜

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政府は先週15日、25回に及ぶ与党協議の結果を受けて、安保法制に関連する2本の法案を閣議決定し、国会に提出した。1990年の初当選以来、私の政治経験のなかで「自衛隊のあり方」を論ずる3度目の大きな機会となる。

初当選してまもなく、イラクのクウェート侵入から湾岸戦争が起こった。冷戦終了後、世界は地域紛争を止め、予防する国際協力を模索した。

日本は、自衛隊を含む国際貢献としてPKO協力法を成立させた。国際社会が軍隊を含めた役割分担で協力していくなか、日本は自衛隊を一切関わらせないという一国平和主義をとらず、武力以外の能力は活用していこうという「国際協調の道」をとることとなった。

このとき、一部の野党やメディアは「戦争に巻き込まれる」などと声高にレッテルを貼ったが、今日、日本のPKO協力は、世界からも国民からも高い評価を得ている。

2度目は、今世紀初めの「有事立法」のときだ。自衛隊発足後、日本に武力攻撃があった場合、どのような基準と手続きで自衛隊を使うかという有事立法は長らく作られなかった。圧倒的な米軍の力に頼って、自衛隊を動かして「日米安保」を機能させる切実感が乏しかったともいえる。

しかし、弾道ミサイルや核開発を進めて、実際に、日本に向けてミサイルを飛ばそうとする近隣国が現れてきた。自衛隊は、力の空白を埋めるだけで役割を担っていた時代から、有事に動かして日米安保が機能する仕組みを整えることで、「抑止力」を備える時代に転換した。

今回は、弾道ミサイル開発などがさらに進み、国を選ばないテロの犠牲が日本人にもおよび、経済力を蓄えた国々の軍事力を示す行動が活溌になる現実に対応した、「抑止力」の備えと、「国際協力」の仕組みが必要とされているのである。

公明党は与党協議で、専守防衛の基本姿勢を守り、武力行使を日本防衛に限定した。国際貢献は、武力行使や武力行使と一体となる活動を禁じて、自衛隊員の安全を確保し、国際ルールにのっとって参加する判断を政府と国会が責任をもって決める歯止めを設けた。

「戦争法案」や「戦争に巻き込まれる」という批判は、またしても国民の命や平和な暮らしを脅かす現実に、政府が責任を持つという憲法の精神を省みないレッテル貼りなのである。

このたび、「大阪都構想」が住民投票で否定された。市長と議会の対立の繰り返しを、大阪市民が住民投票で自ら出した結論は尊重しなければならない。生き残った政令指定都市「大阪市」をどうするかは、賛成票に込められた思いもくみ取る必要がある。

国政課題での合意形成は、与党として幅広く努力することに変わりはない。

菅官房長官・翁長知事会談が実現

掲載記事2015年04月08日 (水曜日)

政府は丁寧な対話による解決に努力を

150407zubatto.jpg菅義偉官房長官と、沖縄県の翁長雄志知事が5日、那覇市内で初めて会談した。官邸を空けることがめったにない官房長官であるが、米軍の「西普天間住宅地区」返還式典出席にあたり、実現させた。

菅氏は「日米同盟の抑止力維持、そして危険除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策と考えている」と訴え、会談後「国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩となった。基地負担軽減対策とか振興策は、県と連携していく必要がある」との考えを示した。

翁長氏は「辺野古の新基地は絶対に建設することができないとの確信を持っている。上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れていくのではないか」と反論したが、会談後「会話は続けるということだ」と語った。

両者の主張は平行線に終わった。翁長氏は、安倍晋三首相との会談も求めており、官邸は対話を続ける方向では一致するものの、タイミングや内容は慎重に模索するものと思われる。

問題の出発点は、住宅地の真ん中にあり、「世界一危険」といわれた普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の危険除去にあり、この危険を固定化させないことが重要だ。

政府は、長い検討の経過をたどって名護市辺野古移設を沖縄側といったんは着地させたが、民主党政権の対応のまずさもあって、信頼関係を損なった。安倍政権は信頼関係を再構築しながら、普天間飛行場の辺野古移設と基地負担軽減や振興を進めようとしている。

翁長知事は、沖縄防衛局による辺野古でのボーリング作業の「停止指示」を出し、林芳正農水相はその効力を「一時的に止める」ことを決めた。翁長氏は、前知事の埋め立て承認を取り消す可能性も示唆している。

政府は、法的対応は冷静に行わざるを得ないが、より丁寧な対話による解決に努力してもらいたい。

私は以前聞いた辺野古住民の言葉を思い出す。「山口さん、安保政策は政府の行うことだが、普天間飛行場を辺野古へ誘致したいのではない。同じ沖縄県民として普天間周辺の人たちの苦悩を見過ごしにできない苦渋の決断だということを知ってほしい」というものだった。

このほど、中国が提唱する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への世界各国の参加姿勢がほぼ決着した。日本と米国を除く、欧州や中東、中央アジア、インド、アセアン、オセアニア、韓国、台湾、ブラジルなど40以上の国や地域が参加の見通しとなった。

政府は「運営が不透明で、融資が焦げ付く恐れがあり、日米関係への配慮も大切」などとして参加を見送った。野党からは「外交的敗北だ」、経済界からは「インフラ投資ビジネスへの悪影響を懸念」などの声があがる。

中国の外交は奥深い。日本は国益を最大化し、国際協力姿勢を出すためにも柔軟な対応を忘れてはならない。

2015年4月7日付 掲載)

安保法制「国内外の信頼得られる法整備が重要」

掲載記事2015年03月25日 (水曜日)

'15.03.24zubatto.jpg北アフリカ・チュニジアの首都チュニスで先週18日、武装したテロリストが国立博物館を襲撃し、日本人3人を含む外国人観光客21人が殺害された。他に日本人3人が負傷した。日本人の被害者は、地中海クルーズ船でヨーロッパを旅行中に事件に遭遇した。犠牲となった方々とご遺族には謹んで哀悼の意を表し、負傷者にお見舞いを申し上げたい。

チュニジア政府は、イスラム過激派組織によるテロ事件と断定した。犯行グループには、ベルギーから来たチュニジア人や、リビアで訓練を受けた者も含まれていた。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出し、チュニジア国内の過激派組織「アンサール・シャリア」との関係も指摘されていることから、チュニジアの主要産業である観光業への打撃を狙った計画的犯行とみられている。テロ行為は断じて許されず、強く非難しなければならない。

旅行者を含めた邦人に適切な情報提供を行い、十分な警戒を促すとともに、国際社会と協力してチュニジアの治安体制強化や若者の雇用に結びつく経済支援などが必要である。

近年、邦人が巻き込まれる事件が海外で多発する傾向のなか、邦人を保護・救出する自衛隊の活動を含む安全保障に関する法的整備について、与党の「具体的な方向性」がまとまった。これは、5月中旬に法案を国会に提出することを目指し、与党側から一定の認識を共有した点をまとめた中間報告的なものである。これを受けて、政府は具体的な法案を作成し、さらに与党の審査を経ることとなる。

方向性の要点は、①自衛隊の活動が国際社会に正当なものとして受け入れられること②国民の理解を得られるように、国会の承認など民主的統制が確保されていること③自衛隊員の安全が確保されていること--などの3つだ。これらの観点から、昨年の閣議決定に基づいて法案に具体的な仕組みが定められることが求められる。

わが国が平和国家としての基本を外さず、積極的平和主義を進めていけるように、自衛隊の活動に一定の歯止めをかけながら、国内外の信頼を得られる法整備を行うことが重要だ。

こうした安保法制の整備は、外交活動と車の両輪をなす。

先週19日、東京で日中安保対話が3年ぶりに再開された。不測の事態を回避するための「海空連絡メカニズム」などで実務的な協議を行い、一歩前進が図られた。図られた。

さらに21日、韓国・ソウルで日中韓外相会談が行われた。3外相は、防災、環境、青少年交流などで一層の協力を進めていくことの認識を共有し、最も早期の都合のよい時期に日中韓首脳会談を開催するよう努力することで一致した。

さまざまなチャンネルで対話・交流が活発になりつつある。東アジアの平和と安定に繋がることを期待したい。

相次ぐ「政治とカネ」問題

掲載記事2015年03月11日 (水曜日)

国民が求める「正しく直す」姿勢

150310zubatto.jpg国会では「政治とカネ」の問題に関する指摘が相次いでいる。特に、「国から補助金を受けた企業や団体は1年間政治活動に関する寄付をしてはならない」(政治資金規正法第22条の3)とされており、寄付を受けた政治家の政党支部などがやり玉にあがった。 

野党はここぞとばかり追及を始めたが、寄付は与野党の議員多数に及んでいたことが分かり、尻すぼみの観がある。指摘を受けた政治家の説明は、補助金を受けて1年以内の寄付であることを「知らなかった」というものが多い。

規正法は、企業側には「寄付をしてはならない」、政治家側には「知りながら受けてはならない」とのルールを課している。確かに、政治家本人にしてみれば、寄付を受けたことは分かっていても、相手の企業が国から補助金を受けて1年以内であることは知らないこともあるだろう。

ただ、補助金で利益を受ける企業が政治家側に寄付することは、国民の目からは「企業側の目的は、補助金を受け続けたり、増やしたりすることを求めるためではないのか」と映り、「政治家側としては、補助金の維持拡大に手を貸すためではないか」と疑う。こうした不明朗な寄付を止めさせようというのが法律の趣旨である。

政治資金規正法は、悪いところを正しく直すという意味で「規正」としている。政府が制限を設けて取り締まる「規制」ではないところが重要だ。政治資金に関わる当事者が、国民の目から見てマズイところを、自ら進んで正しく直すことが期待されているのだ。

今回取り沙汰された一連の指摘は、寄付も補助金もすべて公開された情報からなされている。いわば「包み隠しなく」公表したら、結果的にマズイことになってしまったのである。「裏に隠れて」法の網をかいくぐったものではない。

「追及」と意気込んだバツの悪さからか、一部の政党は、やれ「法改正が必要ではないか」とか、「企業団体献金を禁止すべきだ」とか、やや筋違いの方向にすり替えようとしている。

国民の信頼を得られる政治献金にするのは難しいことではない。企業側は、寄付も補助金も両方の情報を知る立場にあるのだから、ルールに反する寄付を断ればいい。政治家側はルールを分かっているのだから、1年以内に補助金を受けているかを確かめて、寄付を辞退すればいい。「正しく直す」姿勢が問われているのである。

ところで、先週末の「鳩山由紀夫元首相がクリミア訪問を検討」という報道にはびっくりした。ロシアは昨年、ウクライナ南部クリミア半島の独立とロシア編入を一方的に宣言したが、日本を含む主要7カ国(G7)は承認していない。外務省は「ロシアの主権容認との誤解を招くし、渡航延期勧告も出している」として、計画の見直しを求めている。

「元首相」の立場を考えれば自重すべきだ。

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