後世から「輝かしい日本をもたらした」といわれる年に

掲載記事2016年01月06日 (水曜日)

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慰安婦問題で日韓合意〜両政府は着実に実行を〜

読者のみなさま、あらためて新年おめでとうございます。今年もズバッといきます。よろしくお願いいたします。

通常国会が4日、召集された。いきなりエンジン全開で、立ち上がりの早い仕事始めとなった。

一方、昨年末は、クリスマスの後が週末と重なり、余裕がある仕事納めになったのではないか。日ごろから家庭を空けっ放しの私は、せめてもの罪滅ぼしに、男手のいる家事を精いっぱい引き受けた。「家庭の幸福は妻への降伏」と言う。

例年、障子の張替えは手間のかかる仕事だ。障子に水をかけて紙をはがし、桟まで雑巾できれいに拭いて干し、乾いたところでノリを塗って障子紙を貼る。ノリが乾いたら端をきれいに切りそろえて、紙に霧吹きをして乾かすと、ピンと張って出来上がりとなる。これを数枚繰り返すと、ほぼ半日仕事となった。

普段、マイクぐらいしか握らない手に、雑巾とタワシに持って奮闘したため、後から筋肉痛が襲ってきた。

さて、仕事納めの28日、岸田文雄外相が訪韓し、慰安婦問題で日韓の合意を結んだ。女性の名誉と尊厳を傷つけた問題に、安倍晋三首相は心からおわびと反省の気持ちを表明した。

日本政府は、韓国政府がつくる支援事業を行う財団に10億円ほどの拠出をする予算措置をとり、協力して取り組む。これらをもって「最終的、不可逆的な解決とする」と確認した。画期的合意であり、これを着実に実行することが両国政府に求められる。

今年は申(さる)年だ。過去に申年は、現代にも影響する大きな出来事か起きている。1872年の富岡製糸場操業開始や、96年のアテネ第1回夏季五輪、1951年の国際連合加盟などだ。富岡製糸場は今日の経済大国を築き、多数のノーベル賞受賞者を出す出発点となった。

昨年末、日本が初めて113番目の元素を発見したことが認められ、国際機関から「命名権」を与えられた。基礎科学の厚みは日本の経済成長、競争力を生み出す源泉になる。

アテネ以来、五輪は「平和の祭典」であるとともに、「経済成長の牽引(けんいん)力」になってきた。2018年の平昌(ピョンチャン)冬季、20年の東京夏季、22年の北京冬季と続く、五輪とパラリンピックを、平和と成長の好機にしたい。

今年は国連加盟から60年目となる。実は1920年、国際連盟に加入したのも申年だったが、後に脱退して国際的孤立を招いた。その反省から戦後の平和国家への歩みが定着した。

今年は、国連安保理非常任理事国入り、日中韓首脳会談の日本開催、伊勢志摩サミットなど外交の年になる。また、7月には「18歳選挙権」が実施される参院選が行われる。後世振り返って、「あの申年が今日の輝かしい日本をもたらした」といわれる年にしたい。(公明党代表)

【2016年1月6日(5日発行)夕刊フジ掲載】

今後の日韓関係改善へ教訓とすべきだ

掲載記事2015年12月24日 (木曜日)

0391_001 - バージョン 2.jpg産経前ソウル支局長に無罪判決

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に17日、無罪の判決が出た。これで、日韓関係の改善を妨げていたトゲが1つ抜けた。

公判では冒頭、韓国外務省が日本側の善処の要望を考慮するよう、裁判所に求めていたことが明らかにされた。司法の独立が危ぶまれる異例の事態である。裁判所は外交的配慮を加えて無罪とした。妥当な結論である。

判決では、3つの顔が立てられている。

第1は、コラムで取り上げた朴大統領に関する「噂」は虚偽であるとして、大統領の顔を立てた。第2に、コラムは韓国の政治状況を伝える意図であり、名誉を傷つける意図ではなかったとして、前ソウル支局長の顔を立てた。最後は、韓国は民主主義のもとで「言論の自由」が重視されるとして、日本や国際社会に証を立てた。

ともかく、これ以上の関係悪化は避けられてよかった。

11月初め、ソウルで日韓首脳会談が行われ、関係改善への流れが進み始めた矢先である。靖国神社に爆発物を仕掛けた韓国人が逮捕され、「また、緊張が高まるか」と懸念されただけに、この無罪判決で見せた深慮を教訓として生かすべきだ。

日韓関係の改善を妨げるトゲは「慰安婦問題」「竹島問題」「元徴用工問題」「水産物輸入規制問題」など、他にもある。私が10月に朴大統領と会ったときも述べたが、「日韓双方が努力して、解決への強い意志を持ってやり抜く」ことが重要である。関係改善への流れを止めてはならない。

本年も残りわずかとなった。振り返ると、歴史的に重要な政治的前進が図られた年であった。

まず、18歳選挙権を実現する公職選挙法が6月に成立した。1925年に25歳以上のすべての男子が選挙権を得て、45年に20歳以上のすべての男女に拡大されて以来の大改正である。来年夏の参院選から実施される。

9月に成立した安全保障法制の成立も大きい。国論を二分するテーマだったが、安保法制懇の報告、与党内論議を経た閣議決定、法案の国会審議を通じた与野党修正により、幅広い合意が形成された。民主党が安全保障環境の変化に共通認識を持ちながら、建設的な議論ができなかったのは残念だった。

これにより、憲法に基づき、戦争を防止し、国際社会の安定を図る、わが国の積極的平和主義を明確にできた。

さらに、8月の戦後70年談話をはじめ、政府・与党はもちろん各界の幅広い対話外交の努力によって、日中韓の関係が改善の方向に向かった。来年は日本で首脳会談が開催される。平昌(ピョンチャン)、東京、北京の五輪・パラリンピックの成功へとつなげていきたい。

12月には、消費税率10%引き上げ時に「軽減税率」を導入し、酒と外食を除く全飲食料品が軽い8%に据え置かれることに決まった。民意をくみ取った最善の結果である。

来年は、これらをさらに前進させ、デフレ脱却の道を確かにしたい。(公明党代表)

【2015年12月23日(22日発行)夕刊フジ掲載】

軽減税率は加工食品も 衆参同日選はやるべきではない

掲載記事2015年12月09日 (水曜日)

151208zubatto.jpg2017年4月の消費税率10%引き上げに合わせて「軽減税率の導入」に注目が集まる。師走の中旬を控え、来年度の税制を決める時期が迫っている。これが決まらないと、下旬に予定される歳入と歳出を合わせた来年度予算の概算も決められないからだ。しかし、与党の協議は難航している。

軽減税率は、所得に占める軽減額でみると、所得が低くなるほど軽減の効果が高くなる。消費税の欠点である逆進性を緩和する切り札だ。買い物をするときに、確実に効果を実感できる。低所得者に現金を配る手間も財源もいらない。一律にお金をもらうより、自分の消費生活に応じて軽減されるところもお仕着せにならなくてよい。

8%引き上げで、消費の低迷が長引いた。これを教訓とすれば、10%引き上げがさらに消費活動に重くのしかかることに配慮して、消費者一人ひとりの痛税感を緩和し、国民の消費全体を萎縮させないことが重要である。入るはずの消費税収が目減りすると心配するが、納税者からみれば可処分所得が消費税で目減りしない分、全体として景気への悪影響を和らげる経済対策になる。

社会保障の安定財源も足りなくなるとの主張は妥当でない。社会保障の財源は消費税だけではなく、所得税や法人税など税収全体で支えている。給料のベースアップがあれば、所得税や住民税の税収がその分安定する。企業が設備投資すれば、固定資産税が増える。自治体の住民税や固定資産税が増えて安定的になれば、国からの地方交付税が減って財政に余裕ができる。

ベースアップなどで賃金の上がった人は、所得も比較的高めである。このような人にも軽減税率の恩恵が及ぶとしても、所得税や住民税の納税額も増えているから、案外、釣り合いは取れているのである。

公明党は、以上のような軽減税率の必要性を踏まえて、国民との公約であることと、欧米で広く定着している軽減税率制度の安定性を重視している。有権者の反応は、直近の調査でも、酒を除く飲食料品を広く軽減税率の対象とすることを望む声が一番多い。消費者にとっても事業者にとっても分かりやすいからだろう。生鮮食品だけでよいとする人は少なく、弁当、総菜、のり、納豆、インスタント食品などの加工食品は欠かせないと思う人が圧倒的である。

安倍晋三首相も述べたように、「国民の理解を得て」軽減税率の導入を図ることが大切だ。このところ、与野党幹部から来年の参院選に合わせて衆院選を行う「衆参同日選」についての発言が相次いだ。衆院の解散は首相の専権事項だ。事実、安倍首相は「全く考えていない」と語った。「やる」も「やらない」も述べるはずがない。

憲法は衆参議員の任期を変えて、時点の違う民意を取り込もうとする趣旨だ。同日選は政権を不安定にするリスクも高いし、選挙協力の効果も弱まる。やるべきではない。

(公明党代表)2015年12月9日(8日発行)夕刊フジ掲載】

 

「過激主義生み出さない社会の構築」こそ日本の役割

掲載記事2015年11月24日 (火曜日)

4999_001 - バージョン 2.jpgフランス・パリで13日、過激派組織「イスラム国」(IS)による同時多発テロが発生し、犠牲者は130人にのぼった。エジプト東部シナイ半島でも先月末、ロシア旅客機が墜落し、乗客・乗員224人が死亡した。プーチン大統領はこの件も「ISのテロ」と断定した。

ISは、シリアで日本人ジャーナリスト、後藤健二さんを殺害したテロ集団である。これまで、米国主導の「有志国連合」がIS攻撃を続けてきたが、仏露両国が連携する動きも出ている。

国連安全保障理事会は20日、フランスが提出したISによる一連のテロ事件を非難する決議案を全会一致で採択した。決議では、パリ同時多発テロやロシア機墜落をはじめ、今年6月以降のISが関与したとみられるテロ事件を非難したうえで、新たなテロを阻止するため、国際法が許す範囲であらゆる手段を尽くすよう国際社会に求めている。

安倍晋三首相は22日、東アジアサミットの行われたマレーシアで「テロと対峙していくという、国際社会の団結をしっかりと示すことができた国際会議となった。わが国は国際社会と連携して国際テロを封じ込めるための対策に全力を尽くしていく」と語った。

そして、各国の法執行機関の能力向上支援、テロリストの資金源対策、テロの根源にある過激主義を生み出さない社会の構築支援などに取り組む姿勢を示した。

私は19日の記者会見で「テロは断じて許されない。政府はテロを未然に防止するため重層的な対策をとる必要がある」と述べた。公明党は昨年に続き、本年9月末にも、国会議員2人を中東に派遣した。ヨルダンのシリア難民キャンプや、パレスチナのヨルダン川西岸、ガザ地区などの実情を調査し、日本のあるべき支援について政府に提案した。

わが国は、安倍首相の示した「日本にふさわしい支援」を積極的に展開すべきである。特に、テロの根源にある過激主義を生み出さない社会を構築することは、日本が掲げる「人間の安全保障」の理念に基づき長年培ってきた大切な取り組みである。

来年5月には、伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)が開催される。わが国のテロ対策を一層強化しなければならない。国際社会と連携した情報収集の強化が重要であり、安倍首相が「国際テロ情報収集ユニットを12月上旬に設置する」と発表したのは当然だ。

自民党内には「共謀罪」新設の動きもあるようだ。テロなどの重大な組織犯罪の謀議に加わった場合に処罰の対象となるもので、国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」で国内法を整備することが義務付けられている。

しかし、これまでの国会審議で不安や懸念が示されており、年明けの通常国会の審議の見通しなども踏まえると、成立は困難である。今後、国際行事や国際テロ対策の動向を見ながら慎重に検討していくべきである。【2015年11月25日(24日発行)掲載】

消費税率引き上げ、軽減税率による痛税感の緩和を

掲載記事2015年11月11日 (水曜日)

151110.jpg日本と中国、韓国など、東アジアは世界貿易の約2割を占める。その貿易を支える海上交通路(シーレーン)が南シナ海を通る。ベトナムとフィリピン・ボルネオの間にある南シナ海には、石油や天然ガスの海底資源があるともいわれ、航路の東側に広がるスプラトリー(中国名・南沙)諸島の領有権をめぐって、ベトナムとフィリピン、中国、台湾、マレーシアなどの間に争いが生じている。

フィリピンは、中国を相手にオランダのハーグ国際仲裁裁判所に提訴し、裁判所は管轄権を認め裁判を進めることになった。

こうした争いのあるなか、中国は一方的に一部の岩礁を埋め立て、3000メートル級の滑走路や港湾を建設するなど、軍事拠点化を進めている。これによって、国際法上の「航行の自由」が脅かされてはならない。

この中国の行動に対し、オバマ米大統領は先月末、「航行の自由作戦」を発動し、中国が岩礁の上に造成した人工島の周辺12カイリ(約22キロ)内にイージス駆逐艦を航行させた。「国連海洋法条約によれば、岩礁は領土ではなく、もともと公海である人工島の周辺12カイリ内の航行は自由である」と主張する。

米中両国は、9月の習近平国家主席訪米の際、南シナ海などでの不測の事態回避のために行動規範や通報制度を設ける合意をしており、航行の自由作戦発動後も、ハリス米太平洋軍司令官が訪中するなど、軍幹部の対話も重ねている。

安倍晋三首相は6日、米国の行動を支持したうえで、「開かれた自由で平和な海を守るには法の支配が貫徹されなければならない」と語り、関係国とこうした原則を確認していく姿勢を示した。

習主席は7日、シンガポールで「南シナ海情勢はおおむね平穏だ。航行や飛行の自由はこれまで問題になったことはないし、これからも問題になり得ない」と発言した。

今月は、G20(20カ国・地域)首脳会議や、APEC(アジア太平洋経済協力会議)など、国際会議で各国首脳の接する場が多い。

来年は、日本が日中韓首脳会議や、先進7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)の開催国となることから、南シナ海をはじめ海洋をめぐる課題も、国際法に基づき対話による平和的解決を進める機会とすることが重要だ。

さて、10月21日の政府与党連絡会議で、安倍首相は「2017年4月からの消費税率10%引き上げ時に、軽減税率の導入が間に合うよう中小事業者の負担にも配慮しつつ、具体策をとりまとめる必要がある」と表明し、与党に協力を促した。

民自公の3党合意に基づく、消費税の逆進性緩和策は、複数税率による軽減税率の導入に絞られた。給付制度は、低所得者の側が手続きをとらねばならず、8%引き上げ時には、3~4割の人に給付が届かなかった。軽減税率は、買い物時に100%軽減効果が及ぶので、はるかに優れている。

この教訓から消費税率の引き上げ実施には、軽減税率による痛税感の緩和など、経済の勢いを削がない知恵が必要である。

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