中国海軍の接続水域侵入、毅然かつ冷静に対処を

掲載記事2016年06月14日 (火曜日)

2161_001.jpg中国海軍のフリゲート艦1隻が9日午前0時50分ごろ、沖縄県・尖閣諸島周辺の「接続水域」に、同国の軍艦として初めて侵入する事態が発生した。政府は、中国艦艇の行動は「緊張を一方的に高める行為」であるとして、複数の外交ルートで退去を要求した。

しかし、これに応じないことから、外務省の斎木昭隆事務次官は異例ともいえる同日午前2時ごろ、程永華駐日中国大使を同省に呼んで、「重大な懸念を表明」して抗議し、「わが国の接続水域から直ちに出域するよう」強く求めた。

これに対し、程大使は「抗議は受け入れられない。ただ、緊張のエスカレートは懸念しており、中国政府に至急伝える」と応じた。ようやく、同日3時10分ごろ、中国艦は出域した。

国際法上、海の領土である領海(沿岸から12カイリ=約22・2キロ)での犯罪などを予防的に取り締まるため、領海のさらに外側12カイリ以内で『接続水域』を設定することが認められている。

領海ではないので「航行の自由」は認められている。現に、中国艦が侵入したころ、ロシアの軍艦3隻も付近の「接続水域」を航行していた。ロシアは尖閣諸島の領有権を主張しておらず、格別に問題視はされない。

「中国艦の初侵入」だから問題になるのだ。尖閣諸島は「歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土」であり、「実効支配」を継続してきた。近年、中国は領有権を主張し、「海警」などの公船がたびたび日本の領海に侵入し、海上保安庁の巡視船が退去を求めてきた。

中国も、さすがに軍艦の入域は控えてきたが、それを破って「接続水域」に入り「領海」に近づくとなると、極度に緊張が高まる。万が一、「領海侵入」となれば、海上自衛隊が「海上警備行動」などを取らなければならず、不測の事態を招きかねない。

あえて緊張を高める挑発的行動は厳に慎まなければならないし、これ以上、エスカレートさせることは避けなければならない。政府は、わが国の領域を断固として守り抜く姿勢で、毅然かつ冷静に対処する必要がある。米国をはじめとする国際社会と連携して、「緊張を一方的に高める行為」を行わないよう求めていくべきである。

中谷元(げん)防衛相は今月初め、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で、中国側に、訪中による防衛対話を申し入れた。軍の偶発的衝突を防ぐための「海空連絡メカニズム」をつくり上げる合意を急ぐべきだ。両国は、多層的な対話と交流を深め、緊張を和らげる努力を怠ってはならない。

舛添知事、15日にヤマ場

さて、東京都の舛添要一知事は、「政治とカネ」の疑惑をめぐる都議会の追及で、出処進退を問われる事態になりつつある。これだけの不信感を招いたことに、内心じくじたるものがある。13日の総務委員会では、ついに都議会公明党も「辞職」を迫った。知事不信任案も取り沙汰されており、15日にはヤマ場が訪れそうだ。(公明党代表)

【2016年6月15日(14日発行)付 夕刊フジ掲載】

サミット 世界経済の危機回避でG7結束

掲載記事2016年05月31日 (火曜日)

2009_001 - バージョン 2.jpg伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)が26、27日、開催された。日本は議長国であり、安倍晋三首相は大いに存在感を発揮した。

直後には、オバマ米大統領を案内して、被爆地・広島を訪問したことも相まって、内閣支持率は大きく上昇した。

サミットの課題は、世界経済をはじめ、テロ、難民、貿易、インフラ、保健、女性、サイバー、腐敗対策、気候変動、エネルギーなど多岐にわたる。成果は、強固で持続可能な均衡ある成長に貢献するための「伊勢志摩経済イニシャティブ」にまとめられた。

中心的テーマである「世界経済」について、活発な議論が交わされた。首脳宣言では「世界経済の回復は継続しているが、見通しに対する下方リスクが高まってきている」との認識を共有し、「新たな危機に陥ることを回避するため、全ての政策対応を行う」こととした。G7の首脳が、このような共通認識を持って結束したことは大きな成果である。

党首会談で私から求めていた、シリア難民支援や地域の将来を担う留学生のわが国への受け入れについても、5年間で150人と大幅に拡充することになった。

私も、サミットに際して、招待されていた国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長など、国際機関の長と会談する機会を得た。

特に、世界銀行のキム総裁との会談では、世界経済の持続的成長のために世銀と日本の協力の必要性を確認し、エボラ出血熱などの感染による公衆衛生危機に対応する資金調達の仕組みを作ることや、環境や防災などに配慮した「質の高いインフラ」が成長を促すこと、8月のアフリカ開発会議(TICADⅥ)を成功させることなどを語り合った。

これらサミットの結果を受けた会見で、安倍首相は「世界経済の成長に貢献するため、日本として何をすべきか、消費税率引き上げの是非も含めて検討し、夏の参院選の前に明らかにしたい」と語った。

安倍首相は早速28日から、麻生太郎副総理兼財務相や、谷垣禎一幹事長をはじめとする自民党幹部に対し、「消費税率10%引き上げを2年半延期する」と伝え始めた。私と30日に行った党首会談でも、同様のことが伝えられた。私の意見を首相に述べたうえで、即答はせず、「公明党のなかで相談する」と引き取った。

6月1日の会期末が迫るなかでの、急展開である。アベノミクスは成功し、税収増という成果を出している。その成果を生かしながら「成長と分配の好循環」を確実なものとするために、再延期の是非を検討しなければならない。最終的に、国民の理解を得られるように政府・与党で合意することになる。

いずれにしても、夏の参院選は民意を問う重要な機会である。「政治を安定させて、力強い政策実現が大切だ」と強く訴えたい。(公明党代表)

【2016年6月1日(31日発行)付 夕刊フジ掲載】

オバマ大統領の広島訪問 確実な一歩を

掲載記事2016年05月18日 (水曜日)

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核兵器のない世界への第一歩

バラク・オバマ米大統領が27日、現職の米大統領として初めて広島を訪問する。伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)に参加した後、安倍晋三首相と岸田文雄外相が同行し、原爆資料館などを案内するという。「唯一の被爆国」である日本の被爆地に、投下した国の大統領が訪れる歴史的な快挙である。

日米両国は70年前の悲しい戦争を乗り越えて、戦後、友好国・同盟国として歩んできた。改めて、これからの歩みをさらに強くする一歩としたい。日米、そして近隣諸国には、さまざまな思いを持つ人々がいる。容易ならざる道を前に、まず、確実な一歩を印すことが大切なのだ。

ここに至るまでには、周到な積み重ねがあった。

オバマ氏は就任直後の2009年4月、チェコのプラハで「核兵器のない世界」を目指す演説をし、その年、ノーベル平和賞を受賞した。この演説の背景には、キッシンジャー元国務長官やペリー元国防長官など「四賢人」といわれる、かつて米国の核政策を担った要人たちの具体的な提言があった。

プラハ演説から7年。その間、ジョン・ルース前駐日米大使が、まず広島の「平和祈念式典2010」に初めて参加し、12年には長崎の式典にも初参加した。以後、現職のキャロライン・ケネディ大使も継続して参加している。

公明党は、オバマ氏ら要人の広島・長崎の訪問を提言するとともに、わが国が「核兵器のない世界」を目指して積極的な役割を果たすよう、日本政府にも要請してきた。

私自身、ルース氏やケネディ氏に「オバマ氏の広島・長崎訪問」を要請してきた。両氏とも、大統領に伝えることを約束してくれたが、慎重に言葉を選びながら「大統領自身が決めることだ」と付言した。

私は13年の訪米の際、キッシンジャー氏と会談し、「被爆地の方々が望んでいるのは、謝罪してほしいということではなく、『ともに核兵器のない世界を目指そう』という大きな願いからです」と、大統領への伝言を依頼した。キッシンジャー氏は「機会があれば山口代表のメッセージを伝える」と語った。

今回の一歩は、あらゆる犠牲者に追悼の意をささげ、恒久平和を誓い、核兵器のない世界を目指す機会となる。それを見届けて、次の展開に知恵をしぼりたい。

舛添都知事は「公私のケジメ」を明確に

このところ、東京都の舛添要一知事の「政治とカネ」にまつわる疑惑が取り沙汰されている。豪華海外出張や公用車での別荘通いだけでなく、家族旅行への政治資金流用疑惑まで報じられ、釈明と謝罪に追われている。

重要なことは、使い途と使ったお金の出所に「公私のケジメ」を明確にすることである。説明責任を尽くす誠実な努力を求めたい。(公明党代表)

2016年5月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載

「熊本地震」サミット前に補正予算

掲載記事2016年04月27日 (水曜日)

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熊本地震の被害は甚大であり、今も余震が続いている。14日の前震と16日の本震の2回、被災地は震度7の激しい揺れに襲われた。建物倒壊や土砂崩れなどによる死者は49人(25日現在)にのぼり、なお行方不明者がいる。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者のみなさまには心からお見舞いを申し上げたい。

これまで、震度1以上の余震は900回に及ぶ。多くの被災者が余震を恐れて、避難所や車中生活を余儀なくされている。エコノミークラス症候群など、災害関連で死亡した方も増えつつある。20日以降、震度4以上の余震は減ってきた。油断できないが、収まることを願うばかりだ。

公明党はこの間、九州選出の国会議員を現地に派遣し、救援と調査にあたらせた。その報告をもとに、まず18日、安倍晋三首相に「緊急要望」と「短期・中期対応」を明確に分けて緊急要請した。21日には、井上義久幹事長を現地に派遣し、それを受けて22日、与党党首会談を行った。避難所のマネジメントがうまくいってないところや、自治体のマンパワー不足によって支援に差異が生じていることなどを報告し、首相自身の視察を要請した。

安倍首相は23日に現地を視察し、翌日には熊本地震のために、「2016年度補正予算」の編成を、麻生太郎副総理兼財務相に指示した。これまで、地方交付税の前倒し交付や、23億円の予備費使用でしのいできた。だが、予備費を年度前半で使い切るわけにもいかず、補正予算を組むことで、25日の「激甚災害指定」とともに、被災地に見通しと安心感を提供することとした。

その日、安倍首相と私は電話会談し、大型連休明けには仮設住宅建設費や支援金支給など補正の内容を固めることとし、「今国会会期内の早期成立」を図ることを確認した。伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)前には、野党の協力も得て、スピーディーに仕上げたい。

北海道5区補選「民共共闘」の違和感拭えず

24日夜、衆院補選の結果が出た。与野党激突で注目された北海道5区は、接戦を制して与党候補が勝利した。野党は統一候補を立てたが、民進党と共産党が手を組む「民共共闘」の違和感は拭えなかった。

補選を機に、観測記事が踊った衆参同日選も「なし」との見方に傾きつつある。首相の専権事項には触れないできたが、震災対応を優先するなかで、大義名分を立てるのは困難だ。

もう1つの先送り観測が、来年4月の消費税率の引き上げである。確かに、政府が開いた国際金融経済分析会合における米経済学者の意見や、世論調査には「先送り期待」もある。

しかし、アベノミクスの成果を国民に届け、一億総活躍社会を進めていくためには、安易な先送りは許されない。(公明党代表)

【2016年4月27日(26日発行)付夕刊フジ掲載】

民進党の態度に疑問

掲載記事2016年04月13日 (水曜日)

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TPP特別委の審議を途中退席

民進党は8日、衆院TPP特別委員会の審議を途中退席した。国土交通委員会や消費者対策特別委員会までも審議に応じず、国会を止めてしまった。民進党は、自ら要求した資料が黒塗りで出てきたことから「隠蔽だ」と批判し、衆院TPP特別委員会の西川公也委員長の議事運営を「不公平だ」と抗議している。

そもそも、TPP交渉は、民進党の前身である民主党政権下で始まったものだ。菅直人元首相が所信表明で交渉入りを宣言し、野田佳彦首相が参加を表明した。政権交代後の安倍晋三首相のもとで、こうした外交交渉の経緯を踏まえて、日米首脳会談を経て正式に交渉参加に至った。

参加した12カ国がそれぞれの事情を抱えて、交渉は難航を極めた。日本も守るべき国益を掲げた国会決議を背景に厳しい交渉に臨んだ。日程がずれ込むなか、原理的主張との間でギリギリの妥協を重ねながら、ようやく妥結にこぎ着けた。

世界のGDP(国内総生産)の約4割を占める巨大な自由貿易圏の誕生は、今後の国際通商の標準モデルとなり、日本の経済成長の起爆剤になる重要なものだ。

だからこそ、どのように国益が確保されたのか、経済成長にどう生かせるのか、懸念される農林水産業の対応をどうすればよいのかなど、突っ込んだ議論を具体的に丁寧に審議していくことが望まれる。

ところが、民進党は、国民が望む議論はさておいて、パフォーマンスに余念がなさそうだ。機微に触れる外交交渉のやりとりは、さまざまな影響を配慮して「公表しないのがルール」である。政権を担当した議員が多い民進党は百も承知だ。

黒塗りの資料を、テレビにこれ見よがしにかざして「隠蔽だ」と演出するのはどうか。交渉内容の概要は、その都度、資料として公表されており、重ねると10センチにも及ぶ。

西川委員長の議事運営に、民進党は一方的に難癖を付けているように見える。根拠が不確かで、理事会で認められなかった資料に基づく民進党の委員の質問に、石原伸晃TPP担当相が答弁を控えたのは当然である。西川委員長が、民進党の委員に質問続行を促したことが「不公平だ」といって退席するのは、理不尽なサボタージュと映る。

5日の衆院本会議でのTPP質疑に、民進党議員の欠席が目立ったのも、真剣に議論しようという姿勢を疑わせる。時間を空費するよりも国民のために審議の機会を生かしてもらいたい。

山尾氏は説明責任尽くせ

ところで、民進党の山尾志桜里政調会長の「政治とカネ」の疑惑が晴れない。なかでも、「地球5周分」とされたガソリン代疑惑は、秘書が処理した可能性が高いと釈明しながら、明確な根拠を示していない。

山尾氏は元検事である。甘利明前経済再生担当相の秘書の不祥事に対し、議員辞職を求めたことを思い起こし、説明責任を尽くしてもらいたい。

(公明党代表)

【2016年4月13日(12日発行)付夕刊フジ掲載】

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