トランプ大統領の「パリ協定」離脱宣言

掲載記事2017年06月08日 (木曜日)

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米国に翻意を促すべきだ

ドナルド・トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」から離脱すると発表した。この協定は、地球の未来のため、未来の子孫のために190カ国以上が合意したものである。

安倍晋三首相は衆院決算行政監視委員会で5日、わが党の佐藤茂樹議員の質問に、「残念だ。米国に対し、引き続き気候変動問題への取り組みの必要性を働きかけ、ともに協力する方法を探求したい」と答えた。

パリ協定は、温室効果ガス排出の4割を占める中国と米国が主導し、多くの途上国を説得してようやく合意に達した「人類の英知」ともいうべき大局的な意義がある。

これに背を向ける無責任な決定だという批判が相次いでおり、EU(欧州連合)と中国の首脳は2日の会談で「大きな誤り」との認識を示した。

トランプ氏は、地球温暖化は「でっちあげ」とかつて非難したが、人間の活動がもたらしたことは科学的に疑う余地がない。

また、石炭産業などの「雇用を奪った」というが、温暖化対策が再生可能エネルギーや電気自動車などの技術開発を促し、多くの雇用を生み出している。経済成長との両立を推進してきた米国内の多くの自治体や企業は、パリ協定を支援する動きに出ている。

石炭よりも安価で環境負荷の低い天然ガス(シェールガス)が広く使われている現実も直視すべきである。

パリ協定離脱により、米国が途上国の対策を支援する資金拠出を止めれば、途上国の失望感も大きくなる。米国が、外交的地位を低下させ、国際的指導力を失うことは、日本や世界にとっても良くないことだ。

離脱の手続きは早くとも2020年までかかる。18年には排出削減のルールが決められる。

この間、日本は、米国に翻意を促して協力の道を探るとともに、欧州や中国と連携して着実に削減の取り組みを進めることが重要である。

さて、国会終盤を迎え、民進党は、いわゆる「加計学園」問題に絡み、国家戦略特区の「廃止法案」提出の方針を固めたようだ。

国家戦略特区は、岩盤規制を打破し、産業の国際競争力を高めるために整備されたものである。地方創生にも寄与することから、すでに10区域が指定され、規制改革を生かしたさまざまな事業が進みつつある。

民進党の「廃止法案」の内容は定かでないが、「加計学園」問題を取り上げるのに、国家戦略特区制度そのものを廃止する必要はない。「廃止法案」と声高にいうと、「民進党=規制改革に反対」とのイメージになる。規制側の既得権を温存する結果となり、規制官庁の天下りを容認することと表裏一体だとの批判を招きかねない。

印象ではなく、問題点をクリアに提示することが求められている。(公明党代表)

【2017年6月7日(6日発行)夕刊フジ掲載】

心から祝福したい

掲載記事2017年05月24日 (水曜日)

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眞子さま 小室さんご婚約

秋篠宮家の長女、眞子さまが、国際基督教大(ICU)時代の同級生だった小室圭さんとご婚約の準備を進めていることが、16日明らかになった。菅義偉官房長官は翌日、「静かに正式発表を待ちたい」と記者会見で述べた。

国民的慶事であり、心から祝福したい。17日の参院本会議でも、与野党の代表質問者から相次いで祝意が表明された。

眞子さまがご婚約される見通しとなったことに、留学生活を送られた英国の関係者など、ゆかりの人々からも祝福の声が上がっており、海外からも注目されている。

こうしたなか、22日には、秋篠宮ご夫妻とともに、東京・上野の国立科学博物館で開催中の特別展「大英自然史博物館展」を鑑賞された。報道後初のご公務となる。

現行の皇室典範の規定では、眞子さまはご結婚によって皇籍を離れることになる。皇族が減少すると、ご公務の負担が重くなるとの懸念や、安定的な皇位継承が困難になるとの声を検討する中で、結婚後も皇族女子が皇室にとどまることを可能にする「女性宮家」の創設を検討すべきとの議論がある。

折から19日、天皇陛下のご譲位を可能とする皇室典範特例法案が国会に提出された。国会では、衆参両院の正副議長のもとに国民の総意として取りまとめた「報告」で、「皇位の安定的な継承を確保するため、女性宮家の創設などについては特例法施行後、速やかに政府で検討する」と明記している。この報告に基づいて、特例法案の審議の過程で付帯決議にどう盛り込むかが協議されることになる。

北朝鮮が14、21日と2週連続で弾道ミサイルを発射した。前者は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)に近い能力を持つと見られ、射程は4000キロを超えるとみられる。後者は、新型中距離弾道ミサイルで、射程は2500キロとされる。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は実戦配備のための量産化を指示したという。

これには、国際社会は一斉に反発している。

特に、中国は主導する「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)の第1回フォーラム開幕(14日)に合わせたタイミングで、メンツをつぶされて内心穏やかではない。国連安保理制裁決議の実効性のカギを握る中国だけに、今後の国際連携のもとでの対応が注目される。

米国も、空母2隻を周辺海域に向かわせるなど警戒態勢を高めている。

北ミサイル、G7で議題に

イタリア・シチリア島で今週末、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開催される。この北朝鮮問題を、経済成長や自由貿易、テロ対策などとともに、しっかり取り上げてもらいたい。制裁強化による圧力を高めていかないと、効果的な外交的解決にも結びつかない。

与党党首会談を22日に行い、中国やロシアとの連携も視野に、G7首脳と北朝鮮問題への断固たる対応をとるよう認識をともにした。(公明党代表)

【2017年5月24日(23日発行)夕刊フジ掲載】

憲法改正「国会論議深め国民の理解を」

掲載記事2017年05月09日 (火曜日)

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安倍晋三・自民党総裁は、日本国憲法施行70周年の記念日にあたる3日、全国紙のインタビューと「公開憲法フォーラム」のビデオメッセージで、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べた。「9条1項、2項をそのまま残し、自衛隊の存在を記述する」ことや、「教育無償化の提案を歓迎する」などを提言した。

提言は、行政府の長たる「首相」ではなく、憲法改正の発議権がある国会の議員である「自民党総裁」としてのものであることに留意したい。

改正テーマについては、まだ国民の関心はバラついており、議論は始まったばかりといえる。そこに、投げかけられた安倍総裁の提言は、関心を集約させる効果があろう。

この時期に公表したことに、安倍総裁の強い意欲が覗われる。今後、国会の中で議論が深められ、国民の理解が伴っていくことが大事であり、国会と国民の対話がかみ合って大きな合意ができていくことが望ましい。

個別のテーマを分析評価することは、今後の国会に委ねることにして、前提として押さえておくべきことを何点か確認しておきたい。

なぜ20年か。来年9月に自民党総裁選があり、安倍総裁が再選されれば、改正規約により21年まで任期は延長される。その間の東京五輪・パラリンピックが、リニューアルの節目と位置付けたいのだろう。

安倍総裁も言うように「発議のタイミングは、衆参の憲法審査会での審議の結果として決まるもの」であり、期限ありきではない。それまでに、国政選挙が必ず2回ある。すなわち、18年12月までの衆院選と、19年夏の参院選で民意のありようが問われることは避けられない。この機会に、国会や政党はどう向き合うか国民は注目するであろう。

9条について、安倍提言は、自民党の改正草案とは違った視点であることから、「改正草案にこだわるべきではない」と指摘したうえで「速やかに党の改正案を提出できるよう党内の検討を急がせたい」と述べている。党内合意をつくることが最優先課題ということだ。教育無償化についても、改正草案を超える項目であり、同様である。

9条について、昨年の参院選後、「改正はできない」と述べていた自民党の高村正彦副総裁は5日、安倍提言は「最も穏健なやり方だ」と指摘した。平和安全法制を自民党内で主導したのは高村氏だ。平和安全法制を成立させるまでの憲法論議や国民理解の現実を深く認識した上での、総裁・副総裁の発言である。

公明党も、平和安全法制を政府与党で乗り越えた経験を踏まえて、国会での議論に臨むことになる。

一部野党は、反発や議論回避ではなく、真摯(しんし)に国会論議を通じて国民と対話することが望まれる。(公明党代表)

【平成29年5月10日(9日発行)付】夕刊フジ掲載

豊洲移転の決断、都議選の前に示せ

掲載記事2017年04月26日 (水曜日)

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東京都の中央卸売市場の中心であり、水産物の取り扱い規模で世界最大級の「築地市場」を、「豊洲新市場」へ移転するかどうかが、都政の大きな課題になっている。

小池百合子知事は昨年11月、豊洲移転を延期した際にロードマップ(行程表)を発表した。これに従い、専門家会議や市場問題プロジェクトチームによる地下水や大気の安全性などの総点検と、市場の追加対策の必要性確認などからなる手続を進めている。

確かに、あるはずの「盛り土」がなかったことや、環境基準値内に収まるはずの有害物質が上回って検出されたことは、延期したことで出てきた大事な情報である。

一方で、移転を準備していた事業者の予定が狂い、いまだに先が見えない不安定な状況に置かれていることも事実である。都民や訪日観光客などの消費者が市場の先行きに不安を覚えている現状もある。

すでに、環境基準については、専門家会議座長が「豊洲新市場の地上部分は安全、地下は科学的知見で対応可能」と述べ、小池氏も「法的に求められている点はカバーしている」と法令上の安全を認めている。もちろん、施設の耐震強度も問題ない。

都議会の特別委員会で18日、都は築地市場の移転を中止した場合、豊洲新市場整備のための国の補助金208億円を「返還することになる」との見通しを示した。返還には、10・95%の加算金も支払う必要が出てくる。

また、延期により、18日までに約44億円の費用がかかった。移転延期に伴う業者への補償費用として50億円の補正予算を組むという。

築地市場改修案が出されているが、かつて営業を続けたまま再整備に着手したが、さまざまな困難が露呈して途中で断念した経緯からすると、とても現実的な対策とは言い難い。

できるだけ早く、事業者の不安定な状況に見通しを与え、消費者の不安を取り除くことも、小池氏の重要な責任である。それで、都民に還元できる費用も生み出せる。

ロードマップの趣旨に沿って、食の安心に方向性を示し、豊洲新市場移転の決断を都議選の前に示すことが望ましい。

目に余る自民若手議員の緩み

このところ、自民党若手議員の緩みが、目に余る。中川俊直元経済産業政務官のスキャンダルが報じられた。ここで指摘するのもはばかられる、下劣な内容である。これまでも、女性や金銭に関して、自民党若手の醜聞が問題となった。

それでも内閣支持率が大きく下がらないのは、政権安定への国民の期待である。それに甘えてはならないし、これが続けば政権の体力を奪っていく。

「安倍一強」といわれるなかで、若手に緩みが出ていることを厳しく戒めたい。

(公明党代表)

【2017年4月26日(25日発行)】付 夕刊フジ掲載

北は地球規模の脅威

掲載記事2017年04月12日 (水曜日)

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日米韓のさらなる緊密連携を

北朝鮮をめぐって、にわかに緊張が高まっている。同国は5日、3月に続いて、またも弾道ミサイルを日本海に向けて発射した。関係国を挑発して、着実に技術の向上を図っていると思われる。

北朝鮮は昨年、2回の核実験と20発の弾道ミサイル発射を行い、今年もすでに7発の弾道ミサイル発射に及んでいる。何らかの記念日に軍事的挑発を続けてきた過去を考えれば、「6回目の核実験」や、新たな弾道ミサイル発射が、4月に相次ぐ記念日に行われるとの見方も高まっている。もはや日本を含む「地球規模の脅威」といえる。

安倍晋三首相は6日、ドナルド・トランプ大統領と日米電話首脳会談を行い、「米国の強い関与を背景に北朝鮮を抑止し、さらなる挑発行動の自制、安保理決議などの順守を強く求めていきたい」と語った。両首脳は同日から始まる米中首脳会談を見据えて、北朝鮮問題には中国の役割が重要であることを確認し、日米韓で緊密に連携していくことで一致した。

安倍首相が、米中首脳会談の前に、日米電話首脳会談を行ったことはタイムリーだ。北朝鮮の核・ミサイル開発を許さない国際連携を強めていくことが大切である。

国連安全保障理事会は7日の声明で、安保理決議の重大な違反だとして、これまでにない「最大限の懸念」を示して厳しく非難した。加えて、各国に対し、北朝鮮への制裁決議を完全に履行するよう求めた。

トランプ氏と習近平国家主席は米中首脳会談で、朝鮮半島の非核化や、国連安保理決議の履行に向けた協力強化で一致した。この一致を引き出せたのは、米国のシリア攻撃を首脳会談の最終盤に伝えたことも関係しているようだ。

レックス・ティラーソン米国務長官によれば、「トランプ大統領は、中国が行動を起こさない場合には独自の措置を講ずる用意がある旨を言及した」と伝えられている。

北朝鮮が6回目の核実験に踏み切った場合、米国が「斬首作戦」や「限定空爆」などの選択肢も用意しているともいわれる。もし、そのようなことになれば、日本や韓国での現実の被害や混乱に結びつかないともかぎらない。いずれも、回避しなければならない。

米太平洋軍のハリス司令官は8日、原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群を西太平洋に展開するよう指示し、北朝鮮への圧力を強めた。

ティラーソン氏は9日、テレビのインタビューで、シリア攻撃から北朝鮮が受け取るべきメッセージについて、「国際規律に違反し、他国への脅威となるならば、ある時点で対抗措置がとられるだろう。われわれの目的は北朝鮮の非核化だ」と明確に述べた。もっとも、「北朝鮮の体制転換は目的ではない。体制転換の計画は知らない」とも言っている。

日米電話首脳会談は9日にも行われ、北朝鮮への対応について日米韓の結束の重要性を再確認した。緊密な連携が今後とも必要である。(公明党代表)

【2017年4月12日(11日発行)】付 夕刊フジ掲載

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