北の暴挙に圧力、拉致解決の道探る好機

掲載記事2017年03月01日 (水曜日)

4817_001.jpg

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏が13日、マレーシアのクアラルンプール空港で殺害された。

マレーシア警察などによると、実行犯であるインドネシア人とベトナム人の女2人が、猛毒の神経剤VXを正男氏の顔に塗り、15~20分後、搬送中の救急車内で死亡したという。

他に、マレーシア警察は、北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者を逮捕し、リ・ジウ容疑者を手配した。在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官と高麗航空職員を重要参考人として、大使館側に協力を求めている。

また、犯行に関与した北朝鮮国籍の4容疑者はすでに帰国しており、マレーシアは北朝鮮に対して身柄の引き渡しを要求している。4容疑者のアジトであるマンションを捜索し、押収した物品の化学検査を始めている。

VXは、マレーシアなど192カ国が締約する化学兵器禁止条約で製造・保有が禁止され入手困難であるが、北朝鮮はこの条約に入っていない。

正男氏は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、脱北者団体が亡命政権樹立を要請していた背景もある。

こうした、北朝鮮国籍8人の組織的な関与と、在マレーシア北朝鮮大使の強硬な検視反対などを考慮すると、国家ぐるみの犯罪の疑いが濃い。

1月の弾道ミサイル発射と合わせると、北朝鮮の国際的孤立は深まるばかりだ。

こうした北朝鮮の暴挙に対し、米国では「テロ支援国家」再指定の動きが出ている。27日には、中国の楊潔篪国務委員が訪米し、北朝鮮問題を含む米中両国の関心事項について意見交換をする。

同じタイミングで、北朝鮮問題に関する日米韓の首席代表会合も開催される。日本からは、谷内正太郎国家安全保障局長も訪米し、トランプ政権で新たに任命された国家安全保障問題担当のH・R・マクマスター大統領補佐官と会談する。

この際、北朝鮮に対する圧力を強め、外交的解決を図る連携が欠かせない。合わせて、日本人拉致問題解決の道を探る好機でもある。来月、結成20周年を迎える拉致被害者家族会の思いに応える努力を期待したい。

豊洲問題 石原氏3・20証人喚問に注目

このところ、東京都政から目が離せない。都議会は22日、豊洲市場移転決定の経緯について調査するため、百条委員会の設置を決めた。正当な理由がなければ出席や証言を拒否できないし、偽証は処罰される。

小池百合子知事は「議会が証人から聞き出すところを見守りたい」と述べた。百条委員会の理事会は27日、石原慎太郎元知事の証人喚問を3月20日に実施することで合意した。石原氏は3月3日に記者会見するとし、証人喚問にも応じる構えだ。

今年夏の都議選をにらんで、調査の行方が注目される。(公明党代表)

【2017年3月1日(28日発行)付 夕刊フジ掲載】

日米首脳会談を機に国会論戦いよいよ佳境

掲載記事2017年02月15日 (水曜日)

4598_001.jpg

安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、ドナルド・トランプ大統領との初めて日米首脳会談に臨んだ。私は8日、出発前の安倍首相と懇談し、「日米同盟や経済関係の基本的方向性を確認し、首脳間の信頼関係を深める訪米に」と期待を託した。会談は大成功であり、今後の関係発展の新たな出発点となる共同声明に結実した。

日米同盟を強化する決意がトランプ氏自身から示された。先に訪日したジェームズ・マティス国防長官とのやりとりをベースに、今回同行した岸田文雄外相と、レックス・ティラーソン国務長官が首脳会談に先立って日米同盟の重要性を確認した。そのうえで、首脳間での認識が一致し、両国間で同盟が揺るぎないものになった。トランプ氏は会見で、在日米軍駐留に謝意まで示した。

共同声明に「日米安全保障条約第5条の、沖縄県・尖閣諸島への適用」「普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策」「拡大抑止へのコミットメントの具体的言及」など、直面する課題を文書確認したことは成果である。

経済関係では、麻生太郎副総理兼財務相と、マイク・ペンス副大統領の下で、分野横断的な経済対話の枠組みを立ち上げた。

安倍首相は会見で「為替については専門家である両国の財務大臣間で議論していくことになった」と述べた。具体的な政策課題は、担当者に任せる路線を敷き、首脳のやりとりを回避した。

貿易についても、「自由で公正なルール」をキーワードに、日米両国とアジア太平洋地域を並列させ「高い基準の設定」を強調し、保護貿易主義への傾きを抑えた。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の成果を維持する共同声明に仕上げた。

また、インフラ投資や雇用創出を意識して、日米相互の経済的利益を促進する協力への関心に言及することも忘れなかった。

トランプ氏の公式訪日を約束し、ペンス氏の早期の東京訪問を促したことも、次への大事な一手となった。

安倍首相は、ゴルフの有用性を心得ている。

祖父の岸信介元首相と、ドワイト・アイゼンハワー元大統領のゴルフ対話を念頭に、トランプ氏にゴルフクラブを贈った。電話でトランプ氏に「暖かいところでやろう」と言われたとき、安倍首相は「暖かい季節になったら誘われるかな」と思ったらしい。実は「暖かい場所」、つまりフロリダ州パームビーチで早速やろうとの意味だったのである。人が知り合うためには、ゴルフも役に立つ。

この会談の直前に、トランプ氏は、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、「1つの中国」の主張を尊重し、配慮を示した。北朝鮮は、トランプ氏の大統領就任後初の弾道ミサイルを発射し、新たな挑発行為に出た。今後、韓国はもちろん、中国やロシアとの連携を含め国連安保理決議の履行が焦点となる。

日米首脳会談を機に、国会論戦はいよいよ佳境に入る。閣僚の答弁がピリッとしない。法相や防衛相には、確信と真摯(しんし)さをもって頑張ってもらいたい。(公明党代表)

【2017年2月15日(14日発行)付 夕刊フジ掲載】

「文科省天下り」徹底調査と再発防止を

掲載記事2017年02月02日 (木曜日)

4470_001.jpg

ドナルド・トランプ米大統領が誕生して10日が過ぎた。世界が注目した就任演説は、選挙演説の延長のようであり、歴代大統領のような格調高い理念を語るものにはならなかった。選挙中に示した方針、例えば、「難民受け入れ120日間凍結」や「メキシコ国境に壁を建設」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱」などの大統領令に次々とサインして発信し、世界中が振り回されている感じだ。

メキシコのペニャニエト大統領とは早期の首脳会談がセットされたが、トランプ氏は「壁の建設費をメキシコに負担させる」といい、反発したペニャニエト氏に対し「費用を支払わないなら首脳会談は中止した方がいい」とツィートして、会談は中止された。その後の電話会談で「壁の費用負担は公の議論は控え、協議を通じて解決を目指す」ことで一致した。

フランスのオランド大統領との電話会談では、オランド氏が難民受け入れの一時凍結と、保護主義的政策について批判した。難民受け入れ凍結については、米国でもカリフォルニア州やペンシルベニア州など15州の司法長官らが批判声明を出し、懸念が強まっている。

こうした動きを反映して、日本の世論調査では、トランプ氏の当選直後よりも今の方が、日米関係を不安視する声が強まっている。

首脳会談で日米同盟の深化を

安倍晋三首相は28日深夜、トランプ氏と電話会談し、2月10日、ワシントンでの首脳会談を約束した。電話会談は、和やかな雰囲気で挑発的な態度は一切なく、自動車の貿易不均衡や在日米軍駐留経費負担増などにも具体的な言及はなかったという。

「マッド・ドッグ(狂犬)を派遣する。信頼しているので話をしてほしい」とトランプ氏が言及したのは、ジェームズ・マティス国防長官である。3日から訪日し、稲田朋美防衛相らとの会談が予定されている。ここで、日米同盟の重要性と、NATO(北大西洋条約機構)諸国よりも重い日本負担の現状を再確認し、首脳会談のベースにしてもらいたい。

10日の首脳会談では、日米同盟の絆を強め、信頼関係を深めるとともに、米国産自動車の日本への輸入に障壁はなく、日本メーカーの米国内雇用への貢献を事実で示してもらいたい。

最近、文部科学省の幹部が、国家公務員法に違反し、再就職規制を組織的に免れようとしていた実態が「内閣府再就職等監視委員会」の指摘で明らかになった。事務次官が辞職し、数人の職員が処分された。根は深く、国民の信頼を揺るがせたことは看過できない。

この際、文科省内の徹底した調査を断行し、再発防止策を確立すべきだ。わが党の議員が予算委員会で指摘したように、第三者の専門家を入れて、お手盛り調査にならないことが重要だ。合わせて、全省庁で再点検し、襟を正して出直すことを求める。(公明党代表)

【2017年2月1日(31日発行)付 夕刊フジ掲載】

首相は早期首脳会談を行い日米同盟の意義確認を

掲載記事2017年01月18日 (水曜日)

4301_001.jpg

20日にトランプ氏大統領就任

ドナルド・トランプ氏が20日、米大統領に就任する。これほど評価が分かれる次期大統領は珍しい。いずれにせよ、日本や世界に大きな影響を与えることは間違いない。

就任前からツイッターで、トヨタ自動車に厳しい言及を浴びせ、メキシコへの工場建設を牽制した。「指先介入」と眉をしかめる人もいるが、「従来の政治の常識は通じない」と腹をくくった方がよさそうだ。

大統領選勝利後初の記者会見(11日)も、一部メディアにケンカ腰だった。当選直後、トランプ氏は「国民の大統領になる」と宣言し、米国の分断回避や君子豹変を期待させたが、就任までお預けのようだ。

米国の雇用を増やし、インフラ整備を進めることで米経済が成長すれば、日本にもいい影響が期待できる。日米同盟を堅持し、西太平洋の平和と安定に積極的に対応してほしい。レックス・ティラーソン次期国務長官と、ジェームズ・マティス次期国防長官も、その基本認識を共有していることは心強い。

しかし、中国と過度に摩擦や緊張を高め、経済に影響を与えることがないよう注意が必要だ。

安倍晋三首相は早期に日米首脳会談を行い、日米同盟の意義をはじめ重要な基本事項を確認することが大切だ。また、議会の役割も重要であり、共和党にも働きかけなければならない。関係各国とも連携して対応することにも心がけたい。

慰安婦像問題 韓国政府の良識ある対応望む

韓国・釜山の日本総領事館前に昨年末、慰安婦像が設置された。明らかに、日韓合意やウィーン条約に反し、国際的に許されないことである。

日本政府は、韓国政府の対応を促すため、駐韓大使ら一時帰国させ、日韓通貨交換(スワップ)協定再開の協議中断などの対抗措置をとった。私も、帰国した大使らから状況報告を受けた。

韓国政府も国際的に孤立しかねないと理解している。黄教安(ファン・ギョアン)首相は「言動は自制することが望ましい」といい、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は「公館前に慰安婦像を置くのは国際関係上よくないことだ」と述べた。

一昨年の日韓合意は、韓国政府の強い意向に基づき両国の努力によって出来上がったもので、米国も支持した。日本政府は合意に従って10億円を韓国側に交付し、誠実に履行している。

朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾にさらされている理由は、合意とは無関係で、影響を受けない。慰安婦像増設の動きは、政権打倒や次期大統領選の政治的意図から、韓国世論を感情的に煽っている印象も受ける。

心配は、日本の世論が引いてしまうことだ。

在日本大韓民国民団の呉公太(オ・ゴンテ)団長は「慰安婦像を撤去すべきだというのが在日同胞の共通した切実な思いだ」と語った。ヘイトスピーチと戦ってきた在日同胞とバックアップしてきた韓国政府、それを配慮して超党派で対策法を成立させた日本の国会、いずれの苦労も無にしかねない。

韓国の政府および政治家の良識ある対応と、日本政府の冷静な行動を求めたい。(公明党代表)

【2017年1月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載】

安倍首相の積極的平和外交を支える

掲載記事2016年12月28日 (水曜日)

4153_001 (1).jpg

安倍晋三首相は日本時間の28日朝、米ハワイでオバマ大統領と日米首脳会談を行い、その後、慰霊のために真珠湾のアリゾナ記念館を訪問する。安倍首相を囲んで22日に懇談した際、その思いが伝えられた。

もう1つ、安倍首相から伝わってきたのが、日本とロシアとの平和条約締結への意気込みである。

事実上、北方領土をロシア側が抑えているなかで、解決の手がかりは、旧島民の存在と1956年の「平和条約締結の後に歯舞と色丹を引き渡す」とした日ソ共同宣言である。

しかし、これまで、双方の主張の隔たりは大きく、目に見える前進はみられなかった。旧島民の生活体験と、墓参りのニーズは人道上も拒否できない。

この前提があるうちに、旧島民の往来をしやすくし、共同経済活動ができる新しい制度をつくって、ロシア人と日本人が共存できる状態を生み出した上で、平和条約を結ぶしかないというのが安倍首相のとる「新しいアプローチ」である。

そのためには、プーチン大統領が決断できるようロシア国民の理解を促す努力も必要だ。人的交流を広げ、8項目の経済協力を進展させていくことが急がば回れでもある。

2人の首脳だけの会談も多く、解決の鍵は両者の信頼関係である。またとない機会であり、安倍首相の今後の頑張りに期待したい。

今年も残りわずかとなった。漢字一文字で表すと問われて、安倍首相は「動」と答え、私は「進」と応えた。重要なものごとが前進した1年であった。伊勢志摩サミットを成功させ、オバマ氏の広島訪問を実現させた。夏の参院選は、自公ともに勝利した。プーチン氏の訪日が成り、安倍首相のハワイ真珠湾訪問も実現する。

順調ばかりではない。熊本地震で大地が動き、都知事選で小池百合子知事が誕生し、改革と継続の狭間で都政が揺れている。

世界は、変調の観さえある。各地でテロが起きた。二者択一を迫った、英国のEU(欧州連合)離脱と、イタリアの憲法改正をめぐる国民投票で、現職首相が退陣に追い込まれた。米大統領選で予想外のドナルド・トランプ氏が勝利し、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、国会の弾劾決議を受けた。

まさに、安倍首相の「動」が当てはまる国内外の様相である。

来年も、ドイツとフランスの国政選挙が注目され、トランプ米政権の船出に注意深く対応しなければならない。中国では秋に政治の求心力が高まり、韓国の次期政権をにらんだ展開にも目が離せない。国際社会は不透明感が漂う。

だからこそ、日本の政治の安定が重要である。

最近、外国要人に「日本の政治の安定は経済にも外交にも貴重であり、素晴らしい」と言われる。政権与党がしっかり安定を保ち、デフレ脱却の道を進め、積極的平和主義を実行する安倍首相を支えていきたい。(公明党代表)

【2016年12月28日(27日発行)付 夕刊フジ掲載】

← 次の5件 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10 前の5件 →

↑ページ上部へ戻る