IR整備法は「観光立国」の切り札

掲載記事2018年07月25日 (水曜日)

0420_001 3.jpg通常国会は、20日までにすべての審議と閉会中審査などの手続きを済ませ、事実上閉会した。

今国会は、「働き方改革国会」と銘打ってスタートした。予算審議の課程で、財務省による公文書改竄(かいざん)や、防衛省の日報隠し、厚労省のデータ不備など政府側の不手際が露呈し、国民の信頼を損なったことは、誠に遺憾であった。

与党は、ワーキングチームで徹底した再発防止策を政府に提案した。これを受けて政府は、不正行為への処分を明確にし、電子決済システムへの移行など、改革の具体策を示した。

特に財務省は、再発防止策を実行するための、新たな体制と人事をやり遂げる必要がある。

本命の「働き方改革関連法案」が難産の末、成立した意味は大きい。長時間労働による過労死を防ぐために、時間外労働に罰則を科す上限規制を設けた。正規と非正規の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」の実現も盛り込んだ。

議論のあった「高度プロフェッショナル」は、法律で義務付けた「休み方」を実行して、健康が保たれる働き方になることが大切である。

最終盤では、カジノを含む統合型リゾート施設(いわゆるIR)整備法が焦点となった。

折からの西日本を襲った「平成30年7月豪雨」災害と、審議が重なったことから、野党は「災害対策よりギャンブルか」と猛反対した。

災害対応にも万全を期す

災害対応に、政府が万全を期すのは当然である。しかし、地域経済を活性化させる、観光立国の切り札として「IRが必要だ」というのが政府と国会が決めた方針でもあるから、同時並行でやるべきである。両者を同列において、「100か、ゼロか」を選ぶものではない。

野党は、IR整備法を担当する石井啓一国交相の問責決議案を参院に出した。だが、石井氏は、広島、岡山、愛媛など被災地を連日にわたって訪れ、土砂崩れによる鉄道や道路の復旧や決壊した堤防をふさぐなど、陣頭指揮に当たっている。法案審議でも、野党の要求した質問に誠実に答弁している。問責されるいわれはない。

問責決議案を否決しても、野党は議長の不信任案や内閣の不信任案を両院に連発して、結果的に採決を遅らせた。「国交相を災害対応に当たらせろ」と言いながら、採決を遅らせているのは野党であった。はじめから「抵抗ありき」で、災害を利用したにすぎない。

国会が閉会すれば、外交の季節となる。

北朝鮮問題から目が離せない。「非核化」をめぐり、米朝交渉は難航しているようだが、振り出しに戻ったわけではない。北朝鮮が文書で「非核化」を宣言し、弾道ミサイルが飛ばない状況になっていることは、前進である。

拉致問題を抱える日本が、自ら日朝交渉を模索する必要がある。日本をはじめ国際社会が結束して、ねばり強く取り組むことが重要だ。(公明党代表)

【2018年7月25日(24日発行)夕刊フジ掲載

西日本豪雨の災害対応に全力

掲載記事2018年07月11日 (水曜日)

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西日本の各地を襲った「平成30年7月豪雨」で、10日朝までに126人が死亡、80人が安否不明となっている。平成に入って最悪の被害となった。なお拡大する様相である。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまには心からお見舞いを申し上げます。

気象庁は6日から8日までに、11府県にわたって「大雨特別警報」を出した。この72時間の降雨量はすさまじい。岐阜県関市板取742ミリ、愛媛県西予市宇和523・5ミリ、広島県東広島市志和459・5ミリなど、平年の7月1カ月分の雨量の2~3倍に達した。

自治体は、早めの「記録的短時間大雨情報」や「土砂災害警戒情報」などを出し、警察、消防、自衛隊などもヘリやボートを出して懸命な救助活動を展開した。

それにもかかわらず、広島県や岡山県、愛媛県などで多数の死者が出た。豊後水道からの湿った空気の通り道に沿って、被害が集中した。避難者はなお1万人を超え、断水や停電、道路の通行止め、鉄道運休、通信障害など、広範囲にわたる被害が続いている。

この豪雨の要因は、台風7号が極めて大量の水蒸気を含んだ空気をもたらし、その後もこの空気が太平洋高気圧の縁を回り込むように、停滞する梅雨前線に向かって流れ込んだ|と気象庁は分析している。

これまでの教訓を生かし、早めの屋外避難、家の階上や屋根、斜面と反対の部屋などへの避難を呼びかけた。しかし、家ごと土砂崩れに巻き込まれた人、岡山県倉敷市真備町のように、屋根まで水に浸かる状況で避難しきれない人も出た。一人暮らしの人の安否確認や、移動困難者の避難方法など課題を突きつけられている。

政府は6日、官邸連絡室を設け、8日には「平成30年豪雨非常災害対策本部」を設置して、各地に迅速に「災害救助法」を適用し、「激甚災害」の指定を検討している。住宅被害が多数に上ることから、「被災者生活再建支援法」の適用も決めた。

9日の「政府・与党政策懇談会」の席上、私が安倍晋三首相に災害対応で激励の声を掛けると、安倍首相は「政府として万全を尽くします。外遊は検討しています」と応じた。直後に、安倍首相は当面、災害対応に専念するため、欧州・中東4カ国歴訪の中止を決断した。

同日、九州北部、中国、近畿から北陸にかけて、広く梅雨明けした。救助・救援の作業がはかどる。同時に、被災者や作業員の熱中症が心配だ。細心の配慮と被災者に寄り添った迅速な対応を期待したい。

延長国会の緊迫した状況の中ではあるが、与野党とも党利党略を離れて、政府が災害対応に集中できる配慮が求められよう。(公明党代表)

【2018年7月11日(10日発行)夕刊フジ掲載

大阪府北部地震 早急に課題を検証し、防災対策を見直す

掲載記事2018年06月27日 (水曜日)

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大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震が18日朝、発生した。大阪府で震度6弱を観測したのは、気象庁の観測史上、初めてである。

小学校のブロック塀が倒壊して死亡した小学4年生をはじめ、5人が犠牲となり、400人以上が負傷した。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災されたみなさまには心からお見舞いを申し上げたい。

鉄道、道路などの交通網が遮断され、エレベーター停止も多発した大阪は、通勤・通学時と重なり、大混乱に陥った。

私は23日、大阪府本部所属議員とともに、高槻市や、茨木市、箕面市、吹田市などの被災現場を視察した。ブロック塀が倒壊した高槻市立寿栄小学校で献花し、黙祷(もくとう)をささげた。

同校では、ブロック塀の倒壊を防ぐ鉄筋や「控え壁」が、建築基準法通りに施工されていなかった。高槻市の濱田剛史市長は「同様のブロック塀のある小学校は多数あり、迅速に対処する」と述べた。

また、住宅の屋根が損傷し、梅雨時の雨もりが懸念されたが、必要なブルーシートの確保や配布に手間取り、屋根に張る人手も足らず、後手にまわるところもあった。茨木市の集合住宅では、カッパを着て一夜を明かした人もいた。住民の居住確保が急がれる。

前出の濱田市長が「市の防災計画や訓練だけでは、現場が効果的に動かなかった。今回の教訓に沿って、見直す必要がある」と、私に語っていたのが印象的だ。

今回の大阪府北部地震は、さまざまな課題と教訓を生んだ。阪神淡路大震災以来、各地で続いている地震を踏まえ、国会としても、早急に衆参の災害対策特別委員会を開いて、課題を検証するとともに、防災対策などを見直す議論が必要だ。

通常国会延長、残る重要法案を成立させる

通常国会が7月22日まで32日間延長になった。会期内に採決できなかった「働き方改革関連法案」を仕上げ、残る重要法案を成立させるための延長である。

受動喫煙防止策を含む「健康増進法」も、まもなく成立する東京都の「受動喫煙防止条例」と同じタイミングで、都民・国民に周知する必要がある。

カジノを含む「統合型リゾート施設整備法」は、国会が「推進法」を作って、「政府が1年以内をめどに実施法を作って国会に出せ」と命じたものである。

参院の選挙制度も、「抜本改正をやる」と自ら法律で決めたことを実行する必要がある。自民党から議員定数6増の「公職選挙法改正案」が提案されている。反対だけですむ話ではない。議長を先頭に、対案も含めて合意形成の努力が尽くされなければならない。

大阪府北部地震を教訓に、老朽化に対応する「水道法」も成立を図るべきだ。拉致問題解決を含めた北朝鮮情勢に国民の関心も高い。

一部野党は、上記の法案には反対を叫び、相変わらず「モリカケ」で政権批判を続けている。それを見てか、内閣支持率が回復してきた。(公明党代表)

米朝首脳会談「非核化」「拉致」の前進に期待

掲載記事2018年06月13日 (水曜日)

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米朝首脳会談「非核化」「拉致」の前進に期待

世界が注目する米朝首脳会談が12日、シンガポールで史上初めて開催。一時は「中止」まで取り沙汰され、国際社会の期待と、当事者の駆け引きが交錯するなか、ようやく開催にこぎ着けたことを評価しなければならない。

会談の焦点は2つ。1つは「北朝鮮の非核化」が進展するか。2つ目は「拉致問題の解決」に道が開けるかである。

これまでの北朝鮮側の主張は、非核化は否定しないものの、「体制保証」や「段階的な制裁緩和」を条件とするものだった。「拉致問題」は解決済みとの立場である。

しかし、国際社会は、国連安保理決議で、完全かつ検証可能で不可逆的な核兵器などの大量破壊兵器の廃棄と、あらゆる弾道ミサイルの廃棄を目指し、その達成のために厳しい制裁決議を重ねてきた。

安倍晋三首相は7日(日本時間8日)、ドナルド・トランプ米大統領と日米首脳会談を行い、米朝首脳会談で「核・ミサイル」「拉致」などの懸案が前進するよう、緊密に連携していくことを確認した。

特に、両首脳は北朝鮮に対し、安保理決議の完全な履行を求め、制裁を継続して北朝鮮から具体的な行動を引き出すことで一致した。トランプ氏が「米朝首脳会談では、拉致問題を絶対に話し合う」と述べ、トランプ氏の腹が決まったことが重要である。

この認識は、直後の先進7カ国(G7)首脳会議でも共有され、日本としては、開催国のカナダと欧州首脳にも、拉致問題解決の必要性を理解させたことが成果である。

安倍首相は、拉致問題の解決のためには、米朝首脳会談を契機として日朝首脳会談が必要であることにも言及した。日朝平壌宣言に基づき、日朝国交正常化交渉にもつながっていくことに期待感を示した。

悲観的な見方もあるなかで、このたびの米朝首脳会談を今後どう実りあるものに展開していくか、関係国の連携と協力が一層求められる。

目黒区女児虐待死、政府を挙げて取り組む

さて、東京都目黒区で今年3月、5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが両親から虐待を受けて死亡した事件は、あまりにも悲惨だ。結愛ちゃんの残した反省文は多くの人の涙を誘ったに違いない。両親は、保護責任者遺棄致死罪で警視庁に逮捕され、捜査中である。

児童虐待の認知件数は、この10年で急増しており、2016年度には、12万件を超え、虐待が疑われる児童の死亡例は52件に上っている。児童虐待防止法や児童福祉法の改正がたびたび行われ、児童相談所の相談体制の充実、立ち入り調査や一時保護などの権限強化、警察や司法との連携強化などが図られてきている。

目黒区の事件は、香川県から東京都に移転後、児童相談所の引き継ぎ中に、また昨年の改正法の施行前の、「すきま」に発生した。

早急に、政府を挙げて、関係省庁が連携した取り組みを行うべきである。(公明党代表)

【2018年6月13日(12日発行)夕刊フジ掲載

トランプ氏の会談中止通告

掲載記事2018年05月30日 (水曜日)

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トランプ氏の会談中止

去る24日、ドナルド・トランプ米大統領は、ようやく開催日程が決まった米朝首脳会談を突如中止と通告した。朝鮮半島の緊張が再び高まるのではないかとの衝撃がかけめぐった。

これに対し、最も慌てたのは北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長かもしれない。「一方的な核放棄は受け入れられない」などと牽制したものの、もともと、核や弾道ミサイル開発を手段に米国との対話で体制保証を取り付けたかったのは、北朝鮮である。

やっと掴んだチャンスを自らの言動でフイにしては元も子もないと思い直したのだろう。仲介役を自負する韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領と26日、南北首脳会談を板門店で急遽開催した。文氏によれば「金委員長からの要請で開催し、朝鮮半島の完全な非核化と、米朝会談の成功を望む意思を示した」という。

米国が中止したのは、核実験場の爆破作業に国際的な専門家を招くとの約束を破って、検証をできなくしたり、会談準備のための連絡に応答しなかったりといった北朝鮮の態度に先がおぼつかないと感じたからに違いない。

トランプ氏は、南北会談を評価し、予定通り、6月12日シンガポールでの米朝会談を再び軌道に乗せる動きを見せ始めた。早速、米代表団を板門店に送り込み、協議に臨ませた。北朝鮮側と非核化をどうすすめるか隔たりを埋める準備が大切である。

この間、安倍晋三首相は訪ロを機に、プーチン大統領と会談し、北朝鮮の非核化を進める基本方針を確認し、米朝首脳会談の成功を後押しすることで一致した。

6月8日のG7サミットでは、トランプ氏とともに、国際社会が結束して北朝鮮の非核化に臨む意思を確認してもらいたい。

「悪質タックル問題」責任回避に終始

最近、モリカケ問題をしのいでワイドショーを席巻しているのが、日大アメフト部の危険タックル問題である。繰り返される映像を見る限り、日大側に非のあることは明らかである。

加害者選手は、会見で自らの行動の顛末を率直に語り、謝罪したことで、潔ささえ感じる。それに引き替え、辞任した前監督やコーチ、日大広報の対応は、後手にまわり言い訳に終始し、かえってイメージダウンを招く、異常ともいえる内容だった。映像や当事者の直接的な証拠があるのに、法的責任を回避しようとするかのような言動を重ねることが火に油を注いでいるように思える。

スポーツの試合中の行為を「事件化」してしまうのは、後々を考えるといかがなものか。

3週間ぶりに実戦に復帰した被害者選手が、反則した日大選手に対して「選手として戻ってきて、正々堂々とまた勝負できたらいい。フェアなプレーができるスポーツ界になってほしい」と語ったのが救いである。(公明党代表)

【2018年5月30日(29日発行)夕刊フジ掲載】

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