安倍首相の積極的平和外交を支える

掲載記事2016年12月28日 (水曜日)

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安倍晋三首相は日本時間の28日朝、米ハワイでオバマ大統領と日米首脳会談を行い、その後、慰霊のために真珠湾のアリゾナ記念館を訪問する。安倍首相を囲んで22日に懇談した際、その思いが伝えられた。

もう1つ、安倍首相から伝わってきたのが、日本とロシアとの平和条約締結への意気込みである。

事実上、北方領土をロシア側が抑えているなかで、解決の手がかりは、旧島民の存在と1956年の「平和条約締結の後に歯舞と色丹を引き渡す」とした日ソ共同宣言である。

しかし、これまで、双方の主張の隔たりは大きく、目に見える前進はみられなかった。旧島民の生活体験と、墓参りのニーズは人道上も拒否できない。

この前提があるうちに、旧島民の往来をしやすくし、共同経済活動ができる新しい制度をつくって、ロシア人と日本人が共存できる状態を生み出した上で、平和条約を結ぶしかないというのが安倍首相のとる「新しいアプローチ」である。

そのためには、プーチン大統領が決断できるようロシア国民の理解を促す努力も必要だ。人的交流を広げ、8項目の経済協力を進展させていくことが急がば回れでもある。

2人の首脳だけの会談も多く、解決の鍵は両者の信頼関係である。またとない機会であり、安倍首相の今後の頑張りに期待したい。

今年も残りわずかとなった。漢字一文字で表すと問われて、安倍首相は「動」と答え、私は「進」と応えた。重要なものごとが前進した1年であった。伊勢志摩サミットを成功させ、オバマ氏の広島訪問を実現させた。夏の参院選は、自公ともに勝利した。プーチン氏の訪日が成り、安倍首相のハワイ真珠湾訪問も実現する。

順調ばかりではない。熊本地震で大地が動き、都知事選で小池百合子知事が誕生し、改革と継続の狭間で都政が揺れている。

世界は、変調の観さえある。各地でテロが起きた。二者択一を迫った、英国のEU(欧州連合)離脱と、イタリアの憲法改正をめぐる国民投票で、現職首相が退陣に追い込まれた。米大統領選で予想外のドナルド・トランプ氏が勝利し、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、国会の弾劾決議を受けた。

まさに、安倍首相の「動」が当てはまる国内外の様相である。

来年も、ドイツとフランスの国政選挙が注目され、トランプ米政権の船出に注意深く対応しなければならない。中国では秋に政治の求心力が高まり、韓国の次期政権をにらんだ展開にも目が離せない。国際社会は不透明感が漂う。

だからこそ、日本の政治の安定が重要である。

最近、外国要人に「日本の政治の安定は経済にも外交にも貴重であり、素晴らしい」と言われる。政権与党がしっかり安定を保ち、デフレ脱却の道を進め、積極的平和主義を実行する安倍首相を支えていきたい。(公明党代表)

【2016年12月28日(27日発行)付 夕刊フジ掲載】

党首討論空回りの蓮舫氏

掲載記事2016年12月14日 (水曜日)

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意義ある安倍首相の真珠湾訪問

この年末、歴史的な快挙が訪れる。安倍晋三首相は27日、米ハワイを訪問して、オバマ米大統領と現職最後の首脳会談を行い、ともに真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する。

私は事前に安倍首相から「アリゾナ記念館を訪ねます」と聞いたとき、「素晴らしいことです」と直ちに返した。

日本軍に撃沈された戦艦アリゾナの上に建てられた記念館は、犠牲者を慰霊する象徴である。日米の現職首相と大統領による訪問が、戦後71年目にしてようやく実現する。両国のわだかまりが溶けていく機会になればいい。

今回の訪問の意義を、前向きに捉える必要がある。

安倍首相が語るように、1つは、犠牲者の慰霊であり、不戦の決意を未来に示すことである。過去の謝罪ではない。

2つ目は、日米の和解の価値を世界に発信することである。太平洋で激しく戦った両国の和解だからこそ、歴史的にも重要だ。

3つ目は、日米同盟の世界における役割を確認することである。

オバマ氏が被爆地・広島を訪問した後の党首会談で、私は「真珠湾を訪れなくていいですか」と安倍首相に聞いた。安倍首相は「核のない世界をともに目指すという意義が薄れてはなりません。犠牲者の慰霊の交換と受け止められることは避けるべきです」と語った。

同じ年に起こったオバマ氏の広島訪問と、安倍首相の真珠湾訪問は、長く歴史にとどめられるだろう。

質問で重ねて事実誤認

先週7日、久々の党首討論が行われた。民進党の蓮舫代表は初挑戦であり、野党第1党の女性代表としても注目された。

ダークな男性陣のなかで、蓮舫氏の白いスーツは一段と引き立ち、キリッとした表情と歯切れのいい言葉遣いは、さっそうした雰囲気を吹き込んだ。

しかし、気負いが勝ちすぎて、やや空回りの観があった。

例えば、蓮舫氏は「有効求人倍率の改善は、東京一極集中で出てきているから地方に仕事がない」と攻めたが、安倍首相に「有効求人倍率が各県で回復しているのは東京一極集中のせいではない。沖縄県をはじめ各県で一倍になったことを喜ぶべき」と返された。

また、蓮舫氏は、私のことについて「キューバのカジノ視察をした」と語ったが、キューバはカジノを禁止している。私はパナマのカジノを視察して感想を述べたのだ。事実誤認が重なっては、興ざめだ。

さらに、「息をするようにウソをつく」と安倍首相にかみついたのも品がない。すぐに、前大阪市長の橋下徹氏から「人格攻撃はよくない。蓮舫さんは二重国籍問題ではバリバリの嘘つきだ」と批判された。

野党第1党の党首として、外交など大局的な政策論争をもっと聞きたかった。(公明党代表)

【2016年12月14日(13日発行)付 夕刊フジ掲載】

内容公開を迫る民進党「非公式」の意味を知れ

掲載記事2016年11月30日 (水曜日)

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安倍−トランプ会談

安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、ドナルド・トランプ次期米大統領と、ニューヨークのトランプタワーで会談した。まずは個人的な人間関係を深め、信頼関係を築くことが目的である。世界各国の首脳に先駆けた異例の顔合わせだけに、内外の注目が集まったのも当然である。

安倍首相は会談を「非公式なもの」と位置づけた。周到な配慮がなされていたことが察せられる。場所は、ワシントンではない。会談する動画のニュース映像もなく、数枚の静止画像が公表されただけだ。トランプ氏の長女、イバンカさんが同席する写真は、個人的な親密さを醸し出すためであり、現職のオバマ大統領への配慮でもある。

同席者として、トランプ氏の側近の1人、安保担当補佐官に指名されたマイケル・フリン元国家情報局長も写っていた。安倍首相は「私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、充実した意見交換ができた」と語った。

このことから、日本側は「将来の布石」を打ったということになる。トランプ氏側も「人事で多忙な時期の会談」に応じてくれたのだから、人事を含めた将来を予測させる情報のやりとりもあったことだろう。

当初、オバマ氏との首脳会談よりも短い予定だったが、「2人で1時間半にわたり、じっくりと話ができた」ことは望外の成果といっていい。

民進党の蓮舫代表は「会談の内容を説明せよ」と国会で迫った。

だが、個人的な信頼関係を築くために会談し、「会談内容は外に漏らさないようにしよう」と合意したのに、安倍首相が中身を公表すれば、信頼関係は崩れる。側近を入れた意見交換の中身が広まれば、双方の手の内をさらすことになる。「公式会談」ではないのだからオバマ氏にも失礼だ。

民進党は前身の民主党時代に政権を担ったのだから、それくらいの見識は期待したいものだ。

先週末の世論調査では、内閣支持率が上がっている。国民は、安倍政権の「先手」を歓迎していると言ってよい。

来月15日、ロシアのプーチン大統領が来日し、山口県で安倍首相と日露首脳会談に臨む。領土問題を含む平和条約締結交渉の行方が注目される。

来日に先立つ20日、ペルーで日露首脳会談が行なわれ、首脳間の最後の調整が行なわれた。安倍首相は「平和条約の問題は、たった1回の首脳会談で解決できるような簡単な問題ではない」と述べ、一歩一歩着実に前進させる考えを示した。

最近、ロシア側の要人の発言は、従来の原則論に立った厳しい主張が目立っている。プーチン氏はかつて「引き分け」といい、「新しいアプローチをとる」とも語っていた。ペルーでは「北方領土での共同経済活動」との表現を使った。

経済協力のあり方を含めた、今後の平和条約締結への道行きを示す大事な一歩を期待したい。(公明党代表)

【2016年11月30日(29日発行)付 夕刊フジ掲載】

安倍首相はトランプと信頼関係を

掲載記事2016年11月16日 (水曜日)

3721_001.jpg米大統領選(8日投開票)で、共和党の不動産王、ドナルド・トランプ氏が大方の予想を覆して逆転勝利した。あれだけの暴言を吐きながら、ヒスパニックやイスラム教徒らの反感と不安を招きながらの、驚きの結果である。案の定、市場は大暴落し、反発するデモが各地で起こった。

しかし、トランプ氏は勝利宣言で「分断の傷を癒やし、全国民の大統領となる」と述べ、鮮やかなノーサイド宣言を行なった。この君子豹変ぶりに、市場は反転し、混乱は回避されつつある。

民主党のヒラリー・クリントン前国務長官も敗北を認め、「トランプ氏に、この国のかじ取りを任せましょう」と国民に呼びかけた。トランプ氏はオバマ大統領と会談し、「困難な問題を議論した。これからも会談を重ねることを楽しみにしている」として、円滑な政権移行への協力を引き出した。

トランプ氏は、安倍晋三首相をはじめ、各国首脳と相次いで電話会談し、新たな関係を築こうとしている。安倍首相は、河井克行補佐官や秋葉剛男外務審議官を訪米させて情報収集に当たらせるとともに、自らも17日訪米し、トランプ氏と会談することとした。

先週末、来日したインドのモディ首相歓迎夕食会で、私と同席したインドの外務次官は前駐米大使だけに、「この後、自分も訪米する。安倍首相が早速会談することは素晴らしい。機敏な対応だ」と語った。各国とも、関係を模索する動きが活発だ。

公明党の岡本三成衆院議員は2000年ごろ、トランプ氏と2回、ビジネスで会った経験を持つ。その印象は、数字に強く、目的と手段を明確に分ける点だという。

雲行き怪しい米TPP撤退

トランプ氏は大統領選で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの撤退を口にした。だが、オバマ氏や周辺からは、トランプ政権下でもTPPを推進し、アジア太平洋に積極的に関与し、米国の影響力を維持すべきだとの意向が示されている。

もちろん、先行きは厳しくなっている。

しかし、TPPは、貿易障壁がすでに低い米国が他の参加国の障壁を低くして参入できるメリットばかりでなく、外交や安全保障上の戦略的なメリットも大きい。参加12カ国とも「ウィンウィンの関係」だからこそ合意に至ったのだ。伝統的に自由貿易の推進を旗印にしてきた共和党が上下両院を制したことも心強い。

日本は、国会承認により、「再交渉はなし。早期発効を目指す」との主体的意思を示して、米国や他の参加国に働きかけていくべきである。

安倍首相には、まずは個人的な人間関係を深め、何でも率直に話し合える信頼関係を築いてもらいたい。分かりやすく説明すれば、有能なビジネスマンであるトランプ氏は理解してくれると期待している。(公明党代表)

【2016年11月16日(15日発行)付 夕刊フジ掲載】

来日ドゥテルテ大統領と米比同盟の重要性共有

掲載記事2016年11月02日 (水曜日)

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三笠宮崇仁親王殿下が先月27日、心不全で薨去(こうきょ)された。100歳を超え、さらなるご長寿を願っていたところであり、誠に残念でならない。大正天皇の第4皇男子で、天皇陛下の叔父にあたられ、先の大戦を軍人として経験した唯一の皇族であられた。

戦後は、昭和天皇及び今上天皇を支えられ、国民の平和と福祉を願われて行動された。国際親善や文化、芸術、スポーツの振興にも尽くし、皇族としての重要な役割を果たされた。

古代オリエント史の研究者としても著名であり、私の妻の母校で教壇に立たれていたことがあり、学生からは「ざっくばらんで親しみを覚える」印象だったと伝えられている。

皇室行事で拝見した折は、いつも背筋をピンと伸ばされていた。生き方そのものに筋が通っておられたように思う。謹んでご冥福をお祈りしたい。

さて、フィリピンのドゥテルテ大統領が先週来日し、26日夜、首相官邸で開かれた、安倍晋三首相主催の晩餐(ばんさん)会にお招きいただいた。大好きな和食に舌鼓を打ち、全テーブルを回って、あいさつを交わし、記念撮影に応じるサービス振りだった。

ドゥテルテ氏といえば、過激な反米発言を繰り返して気をもませている。訪中前も、訪日後も収まる気配がみられない。

とはいえ、安倍首相は首脳会談と少人数会合を通じて、日米同盟の大切さや米国のアジア・太平洋での重要性を伝え、日米及び米比同盟の重要性の認識を共有するに至らしめた。その際、ドゥテルテ氏は「米国と外交関係を断ち切るわけではない」と発言し、フィリピンからの米軍撤退には触れなかった。

また、南シナ海の問題では、先の訪中を意識してか、「難しい問題で、今は語るべきではない」としつつ、「仲裁裁判所の判決に基づいた話しかできない」として、判決内容を尊重する意思を示した。「法の支配の下、国際海洋法条約に基づいて平和的に解決したい」として、外交的解決を強調した。

また、「日本はフィリピンと同じようなことに見舞われている。われわれは常に日本の側に立つつもりだ」と述べ、日本に寄り添う立場に、安倍首相は謝意を示した。

経済協力では、日本の累積額が他を圧倒している。中国を含め近隣国との摩擦を避け、経済協力をどの国からも引き出したいと言うのが本音であろう。会談で使ったキーワードを外れないよう祈るのみである。

同席したアルバレス上院議長は私に対し、「日本は、以前の支配者とは違い、フィリピン人に勤勉さを教えてくれた。感謝している」と語った。ドゥテルテ氏の心情に沿うものと受け止めた。

国会は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐる衆院審議が大詰めだ。すでに採決に熟す審議時間の目安とされた40時間を超え、60時間に達している。丁寧に採決を迎えたい。(公明党代表)

【2016年11月2日(1日発刊)付 夕刊フジ掲載 】

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