日米韓結束で北の暴挙にメスを

掲載記事2017年08月16日 (水曜日)

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3日の内閣改造から10日あまり。野田聖子総務相や河野太郎外相など、安倍晋三首相の「お友達」とはいえない閣僚起用は好感され、内閣支持率もようやく下げ止まったように思われる。

とはいえ、反転、回復とまではいえず、不支持率の方が上回っている現状であり、予断を許さない。

安倍首相は、これまでの「森友学園」への国有地売却の件や、「加計学園」による獣医学部新設、防衛省・自衛隊の日報問題など、国民の不信を招いた結果を反省し、政権奪還の原点に立ち返り、謙虚に丁寧に政権運営に努める姿勢を強調している。

江崎鉄磨沖縄・北方担当相の発言など、一部の閣僚に不安が残るが、今後、閣僚の言動は内閣の信頼回復の鍵を握る。

安倍首相は「経済最優先」を打ち出し、結果重視、仕事第一を掲げた。このたび公表された4月から6月の実質GDP(国内総生産)の伸び率は年率4・0%で、6四半期連続のプラスとなり、幸先の良いスタートとなった。

支持率回復の妙手はない。一歩一歩愚直に、国民の期待に応えていくことが大切だ。

このところ、北朝鮮情勢が緊迫している。

ICBM級の弾道ミサイルを5月と7月に相次いで発射した北朝鮮に対し、国連安保理は今月初め、石炭や水産品の取引禁止など制裁強化決議を出した。ところが、北朝鮮は「米国のグアム島周辺に中距離弾道ミサイル『火星12』4発を撃ち込む計画を検討し、8月中旬までに完成させる」と発表した。また、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験を準備している可能性があるとの米研究グループの分析もある。

ますますエスカレートする北朝鮮の挑発に、トランプ米大統領は「北朝鮮がこれ以上、米国を脅すのであれば、かつて見たことのないような炎と激しい怒りに直面することになる」と強くけん制した。

チキンレースのような挑発合戦が高じれば、不測の事態を招き、取り返しのつかない事態になりかねない。

北朝鮮は、グアム島への飛行ルートでは、日本の島根、広島、愛媛、高知の各県上空を通過すると予告しており、航空路への影響やミサイル部品の落下など可能性が指摘される。コントロールミスのリスクさえ、現実の懸念になりつつある。

防衛省は、経路下の各県駐屯地にPAC3(地対空誘導弾パトリオット)の部隊を緊急配備し、不測の事態に備える措置を取った。

中国やロシア、ドイツ、フランスなど国際社会は、米朝双方の自制を促し、冷静な対応を求めている。安倍首相は15日、トランプ氏と電話会談を行い、日米首脳の緊密な意思疎通と結束を確認した。

日米韓が結束して、挑発や脅しに屈しない姿勢を示すとともに、重要な役割を持つ中国などと連携しながら制裁決議を確実に履行して圧力を強め、北朝鮮の暴挙を思いとどまらせ、外交的な解決に導くことが重要である。(公明党代表)

【2017年8月16日(15日発行)夕刊フジ掲載】

信頼回復へ

掲載記事2017年07月19日 (水曜日)

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国民が納得する説明責任果たせ

このところ、内閣支持率が下げ止まらない。先々週の週末に行った読売新聞や、朝日新聞、NHKなど大手メディアの世論調査では、軒並み30%台まで下落した。

「森友・加計学園問題」や、「稲田朋美防衛相の失言」「豊田真由子衆院議員の暴言・暴行」などの不適切な言動が複合的に影響しているものと思われる。

これらの要因は、2日の東京都議選投票日の前から存在し、支持率下落とともに自民党惨敗をもたらした。この結果で、お灸を据えようという有権者は留飲を下げたかに思われた。

安倍晋三首相は、真摯(しんし)に説明責任を果たす姿勢を打ち出し、これに応じて国会は、10日に「加計学園」問題で閉会中審査を行うことを決めた。

それにもかかわらず、下落は続く。ただ事ではない。衆参で内閣・文部科学両委員会の合同審査を実施したものの、議論は平行線。世論はまず、安倍首相自身が説明責任を尽くす姿を見たいのだ。

私は13日、公明党の全国県代表協議会で、「政府は引き続き国民の疑問にしっかりと説明責任を果たし、国民の信頼を回復しなければならない」と述べた。この日、安倍首相の判断で、自ら出席する予算委員会の閉会中審査に応じることが決まった。

もちろん、政府内には「新しい材料がない中で、平行線を打破できるか確信が持てない」とか、「稲田氏など、他の閣僚も追及されて内閣全体のイメージダウンを招きかねない」など懸念する声もある。

しかし、「指摘があればその都度、説明責任を果たす」と述べた安倍首相が、その後、説明する機会を持たずに国民が納得するはずがない。3日の与党党首会談の際も、安倍首相は予算委員会に出席する用意があることを示していた。

この際、24日の週で調整している予算委員会の機会を生かして、与党の質問時間をできるだけ多く確保して、「森友・加計学園」問題に関する政府の整理された総合的な説明を徹底的に行うことが重要である。野党の質問にも真摯に誠実に対応してもらいたい。

他方、安倍首相は、局面を転換し、国民の信頼を取り戻すため、8月初旬に内閣改造を断行する意向を示した。近く、与党党首会談を行ってその思いのうちを確認したい。

確かに、閣僚を入れ替えて、人心一新を図ることも一案である。だが、新たなリスクを抱え込むようになっては元も子もない。適材適所で信頼を取り戻せる布陣を、ぜひ期待したい。

改造もさることながら、やはり支持率挽回のためには、安倍首相の人間関係に絡めて行政手続の適否が課題とされているのであるから、安倍首相自身が説明責任を果たし、「森友・加計学園問題」を誠実に解決していく姿勢が本筋である。

この試練を乗り越えて、内外の山積する課題に1つひとつ結果を出していくことが、国民の信頼を取り戻す王道である。しっかりと政権を支え、政治の安定を保つ役割を担っていきたい。(公明党代表)

【2017年7月19日(18日発行)夕刊フジ掲載】

自公政権「都議選を教訓に新たな試練」

掲載記事2017年07月05日 (水曜日)

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公明党は23人全員が当選

東京都議選が2日投開票された。各党が国政選挙並みの態勢で取り組んだ結果、小池百合子都知事を支持する勢力が、定数127の過半数(64議席)をはるかに超える79議席を獲得して圧勝した。わが公明党は23人全員が当選した。7回連続で全員が当選したことになる。

自民党は、都議会第1党の座を、小池氏率いる「都民ファーストの会」(55議席)に譲り、過去最低の23議席と歴史的惨敗を喫した。

一方、国政で野党の民進党、日本共産党は、積極的な国政批判を展開したが、改選前の議席と比べ、民進党は2議席減、共産党は2議席増と、ほぼ現状維持にとどまった。

この都民の下した審判を、冷静に謙虚に受け止める必要がある。

小池氏が昨年都知事に就任し、今回、その高い人気の下で率いる都民ファーストの初挑戦に注目が集まっていた。しかし、小池氏に対抗姿勢をとった自民党も盛り返し、互角の激突が展開されるかに見えた。

ところが、選挙戦の告示直前から、自民党所属国会議員の不祥事や、閣僚の不適切発言をめぐる批判的報道が相次いで噴出し、終盤まで響いた。

民進党、共産党など野党は、都議選にもかかわらず、国政批判を強めて批判票の受け皿になろうと、しきりに安倍晋三政権を攻撃した。

結果は、自民党が失った議席のほとんどを、都民ファーストが吸収したことになる。都民ファーストの候補者が、自力で得票を積み重ねたというよりも、相手のオウンゴールで浮かび上がったともいえるのだ。

いずれにしても、都議選で示された民意は、示唆に富む。そこから教訓を引き出しながら、都政が、都民の直面する生活課題に真剣に向き合い、国政と協力しながら2020年東京五輪・パラリンピックを成功させなければならない。

投開票から一夜明けた3日、政府・与党連絡会議が開催された。

安倍首相は冒頭、「自民党として、大変厳しい結果となったが、政策を前に進め結果を出すことで国民の信頼を回復していきたい。自公が一致結束して前に進んでいきたい」と語った。私は「都議選の結果は、都政に関する審判であり、国政は国政だ。政府与党が結束して国民の期待に応えていきたい」と応じた。

この後、与党党首会談を行い、改めて都議選を振り返り、国政における内外の課題を展望しながら、今後の国政運営に結束して当たることを確認した。

この間、安倍首相は「信なくば立たず」「政権発足の初心に返って謙虚に」「真摯に説明責任を尽くす」などの言葉を発してきた。

その言葉どおり愚直に取り組んで、国民の望む成果を一つ一つ出していくしか道はない。

政権が安定してこそ、国民の希望はかなえられる。自公政権の新たな試練がはじまる。(公明党代表)

【2017年7月5日(4日発行)夕刊フジ掲載】

「テロ等準備罪」成立

掲載記事2017年06月21日 (水曜日)

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一部野党の見苦しい抵抗にはあきれた

通常国会が18日閉会した。最終盤の懸案だった「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日に可決・成立した。この法律で、テロを準備段階で摘発し、テロ資金調達を規制して、テロを未然に防止できる。国内法が成立したので、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結することになる。

これによって、日本はすでに条約を締結している世界187カ国・地域とテロ情報のやり取りや犯罪人の引き渡しなどの国際連携を密にできる。2020年東京五輪・パラリンピックを見据えて、テロの未然防止へ万全の態勢を整え、世界の人々を迎えるために必要不可欠な法整備だった。

政府・与党は、これまでの議論を参考に、国民の誤解や不安を招かないよう3つの歯止めを掛けた。

第1に、犯罪の計画という内心ではなく、準備行為という外に現れた行動を処罰の対象とした。第2に、通常の社会生活を営む一般の人や団体ではなく、組織的犯罪集団に処罰の主体を限定した。第3に、組織的犯罪集団が関わる犯罪数を676から、現実的な277に大きく絞り込んだ。

国会審議では、質疑時間の大部分を野党に与え、委員会に所属していない少数会派の議員にも特別に質問の機会を作って丁寧に審議を進めた。

ところが、野党4党は「廃案ありき」で臨み、法相の問責決議案や内閣不信任案などを連発して審議を拒否し、「牛歩」や「女性の壁」まで繰り出して、抵抗の限りを尽くした。

これらの抵抗を1つひとつクリアするために、参院本会議は夜を徹し、木札を持って堂々巡りする「記名投票」が13回に及んだ。決められた発言時間を無視して、テロ等準備罪法案とまったく無関係の「加計学園」問題をゴチャ混ぜにして、蕩々と論ずる一部野党の態度にはあきれ果てた。

その加計問題については、文部科学省が内部文書を再調査し、安倍晋三首相が「徹底した迅速な調査」を指示した。内閣府も調査をして、その結果が、テロ準備罪法の成立後、公表された。

それを受けて、予算委員会で集中審議が16日行われた。前川喜平前文科省事務次官が先月末の記者会見で「在職中に共有していた文書で確実に存在していた」と語ったことを受け、同内容の文書の存否や内容の信憑(しんぴょう)性が議論されたが、それらは鮮明にならなかった。

国家戦略特区制度そのものが、規制官庁と規制打破官庁の激しいやりとりを想定している。そのうえで、昨年12月22日、内閣府特命担当相(地方創生、規制改革)、文科相、農水相の3者で、「国家戦略特区における獣医学部の設置」を認める合意がされた。この閣僚合意を覆す論証がなされたとはいえない。

国会は閉幕したが、報道各社の世論調査で内閣支持率を下げた。真摯(しんし)に受け止めるべきである。(公明党代表)

【2017年6月21日(20日発行)夕刊フジ掲載】

トランプ大統領の「パリ協定」離脱宣言

掲載記事2017年06月08日 (木曜日)

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米国に翻意を促すべきだ

ドナルド・トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際ルールである「パリ協定」から離脱すると発表した。この協定は、地球の未来のため、未来の子孫のために190カ国以上が合意したものである。

安倍晋三首相は衆院決算行政監視委員会で5日、わが党の佐藤茂樹議員の質問に、「残念だ。米国に対し、引き続き気候変動問題への取り組みの必要性を働きかけ、ともに協力する方法を探求したい」と答えた。

パリ協定は、温室効果ガス排出の4割を占める中国と米国が主導し、多くの途上国を説得してようやく合意に達した「人類の英知」ともいうべき大局的な意義がある。

これに背を向ける無責任な決定だという批判が相次いでおり、EU(欧州連合)と中国の首脳は2日の会談で「大きな誤り」との認識を示した。

トランプ氏は、地球温暖化は「でっちあげ」とかつて非難したが、人間の活動がもたらしたことは科学的に疑う余地がない。

また、石炭産業などの「雇用を奪った」というが、温暖化対策が再生可能エネルギーや電気自動車などの技術開発を促し、多くの雇用を生み出している。経済成長との両立を推進してきた米国内の多くの自治体や企業は、パリ協定を支援する動きに出ている。

石炭よりも安価で環境負荷の低い天然ガス(シェールガス)が広く使われている現実も直視すべきである。

パリ協定離脱により、米国が途上国の対策を支援する資金拠出を止めれば、途上国の失望感も大きくなる。米国が、外交的地位を低下させ、国際的指導力を失うことは、日本や世界にとっても良くないことだ。

離脱の手続きは早くとも2020年までかかる。18年には排出削減のルールが決められる。

この間、日本は、米国に翻意を促して協力の道を探るとともに、欧州や中国と連携して着実に削減の取り組みを進めることが重要である。

さて、国会終盤を迎え、民進党は、いわゆる「加計学園」問題に絡み、国家戦略特区の「廃止法案」提出の方針を固めたようだ。

国家戦略特区は、岩盤規制を打破し、産業の国際競争力を高めるために整備されたものである。地方創生にも寄与することから、すでに10区域が指定され、規制改革を生かしたさまざまな事業が進みつつある。

民進党の「廃止法案」の内容は定かでないが、「加計学園」問題を取り上げるのに、国家戦略特区制度そのものを廃止する必要はない。「廃止法案」と声高にいうと、「民進党=規制改革に反対」とのイメージになる。規制側の既得権を温存する結果となり、規制官庁の天下りを容認することと表裏一体だとの批判を招きかねない。

印象ではなく、問題点をクリアに提示することが求められている。(公明党代表)

【2017年6月7日(6日発行)夕刊フジ掲載】

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