北ミサイル 日本の安全保障に重大な脅威

掲載記事2017年03月15日 (水曜日)

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日本の安全保障に重大な脅威

北朝鮮が6日、日本海に向けてミサイル4発を発射した。菅義偉官房長官は9日、固形燃料を使った移動式の準中距離弾道ミサイル「スカッドER」であり、3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に届き、うち1発はこれまで最も近い日本領土から約200キロの海上に落下したとの見方を示した。

相当な技術の向上とともに、北朝鮮は「有事に在日米軍の基地を攻撃目標とする想定で行われた」との談話を発表しており、日本領域を狙う意図まで示唆した。

落下海域は、日本漁船の操業場所でもあり、脅威は現実のものとなりつつある。政府は、北朝鮮の脅威は「新たな段階」との認識を示している。いたずらに緊張感をあおってはならないが、もう人ごとではない。

この度のミサイル発射は、国連安保理決議や日朝平壌宣言、六者協議共同声明に違反するものであり、日本の安全保障にとって重大な脅威である。日本政府はもとより、国会としても断固抗議の意志を明確にするため衆参両院で9日までに決議を行った。

1月のミサイル発射や、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害事件を受けて、米ワシントンで2月27日、日米韓3カ国の北朝鮮に関する六者協議代表の共同声明が出されたばかりだ。その矢先の北朝鮮の挑発的な行動には、強力な国際的圧力が必要である。特に、米国は「あらゆる選択肢を検討する」姿勢を示している。北朝鮮のリスクの分析と、戦略目標の共有について、日米の十分な協議が欠かせない。

また、中国の役割を注視する必要がある。先に、中国が国連安保理決議の制裁を履行するため、北朝鮮との石炭禁輸に踏み切った。日米韓とも連携して、北朝鮮の安保理決議順守へ向かわせるよう、今後とも中国に働きかけていくことが重要である。

森友問題、印象操作が過ぎる展開は整理が必要

3月に入っても、参院予算委員会では、学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地取得問題の議論が続き、新聞やテレビを連日にぎわしている。だが、ここへきて変化が生じた。

これまで、野党は国有地の売却額が不適切であると攻めていたが、政府側は「通常行っている評価方法に従い、きちんと手続きを踏んでいる」と説明してきた。野党は、国有地売却に政治家が絡んでいると言いたげだが、具体的事実は指摘できないでいる。主張に決め手を欠いているのだ。

こうしたなか、森友学園が小学校建設にあたり、国への補助金申請や大阪府への小学校認可申請に、異なる工事代金を記載していたことが判明した。認可の見通しが立たなくなったため、森友学園は申請を取り下げてしまった。

契約の条件であった認可がなくなったことから、国は土地所有権の返還、建てかけの校舎を撤去する原状回復、違約金の支払いを求めることになった。森友学園側の事情に振り回されて、印象操作が過ぎる展開は整理が必要である。(公明党代表)

【2017年3月15日(14日発行)付 夕刊フジ掲載】

北の暴挙に圧力、拉致解決の道探る好機

掲載記事2017年03月01日 (水曜日)

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏が13日、マレーシアのクアラルンプール空港で殺害された。

マレーシア警察などによると、実行犯であるインドネシア人とベトナム人の女2人が、猛毒の神経剤VXを正男氏の顔に塗り、15~20分後、搬送中の救急車内で死亡したという。

他に、マレーシア警察は、北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル容疑者を逮捕し、リ・ジウ容疑者を手配した。在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官と高麗航空職員を重要参考人として、大使館側に協力を求めている。

また、犯行に関与した北朝鮮国籍の4容疑者はすでに帰国しており、マレーシアは北朝鮮に対して身柄の引き渡しを要求している。4容疑者のアジトであるマンションを捜索し、押収した物品の化学検査を始めている。

VXは、マレーシアなど192カ国が締約する化学兵器禁止条約で製造・保有が禁止され入手困難であるが、北朝鮮はこの条約に入っていない。

正男氏は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、脱北者団体が亡命政権樹立を要請していた背景もある。

こうした、北朝鮮国籍8人の組織的な関与と、在マレーシア北朝鮮大使の強硬な検視反対などを考慮すると、国家ぐるみの犯罪の疑いが濃い。

1月の弾道ミサイル発射と合わせると、北朝鮮の国際的孤立は深まるばかりだ。

こうした北朝鮮の暴挙に対し、米国では「テロ支援国家」再指定の動きが出ている。27日には、中国の楊潔篪国務委員が訪米し、北朝鮮問題を含む米中両国の関心事項について意見交換をする。

同じタイミングで、北朝鮮問題に関する日米韓の首席代表会合も開催される。日本からは、谷内正太郎国家安全保障局長も訪米し、トランプ政権で新たに任命された国家安全保障問題担当のH・R・マクマスター大統領補佐官と会談する。

この際、北朝鮮に対する圧力を強め、外交的解決を図る連携が欠かせない。合わせて、日本人拉致問題解決の道を探る好機でもある。来月、結成20周年を迎える拉致被害者家族会の思いに応える努力を期待したい。

豊洲問題 石原氏3・20証人喚問に注目

このところ、東京都政から目が離せない。都議会は22日、豊洲市場移転決定の経緯について調査するため、百条委員会の設置を決めた。正当な理由がなければ出席や証言を拒否できないし、偽証は処罰される。

小池百合子知事は「議会が証人から聞き出すところを見守りたい」と述べた。百条委員会の理事会は27日、石原慎太郎元知事の証人喚問を3月20日に実施することで合意した。石原氏は3月3日に記者会見するとし、証人喚問にも応じる構えだ。

今年夏の都議選をにらんで、調査の行方が注目される。(公明党代表)

【2017年3月1日(28日発行)付 夕刊フジ掲載】

日米首脳会談を機に国会論戦いよいよ佳境

掲載記事2017年02月15日 (水曜日)

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安倍晋三首相は10日午後(日本時間11日未明)、ドナルド・トランプ大統領との初めて日米首脳会談に臨んだ。私は8日、出発前の安倍首相と懇談し、「日米同盟や経済関係の基本的方向性を確認し、首脳間の信頼関係を深める訪米に」と期待を託した。会談は大成功であり、今後の関係発展の新たな出発点となる共同声明に結実した。

日米同盟を強化する決意がトランプ氏自身から示された。先に訪日したジェームズ・マティス国防長官とのやりとりをベースに、今回同行した岸田文雄外相と、レックス・ティラーソン国務長官が首脳会談に先立って日米同盟の重要性を確認した。そのうえで、首脳間での認識が一致し、両国間で同盟が揺るぎないものになった。トランプ氏は会見で、在日米軍駐留に謝意まで示した。

共同声明に「日米安全保障条約第5条の、沖縄県・尖閣諸島への適用」「普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策」「拡大抑止へのコミットメントの具体的言及」など、直面する課題を文書確認したことは成果である。

経済関係では、麻生太郎副総理兼財務相と、マイク・ペンス副大統領の下で、分野横断的な経済対話の枠組みを立ち上げた。

安倍首相は会見で「為替については専門家である両国の財務大臣間で議論していくことになった」と述べた。具体的な政策課題は、担当者に任せる路線を敷き、首脳のやりとりを回避した。

貿易についても、「自由で公正なルール」をキーワードに、日米両国とアジア太平洋地域を並列させ「高い基準の設定」を強調し、保護貿易主義への傾きを抑えた。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の成果を維持する共同声明に仕上げた。

また、インフラ投資や雇用創出を意識して、日米相互の経済的利益を促進する協力への関心に言及することも忘れなかった。

トランプ氏の公式訪日を約束し、ペンス氏の早期の東京訪問を促したことも、次への大事な一手となった。

安倍首相は、ゴルフの有用性を心得ている。

祖父の岸信介元首相と、ドワイト・アイゼンハワー元大統領のゴルフ対話を念頭に、トランプ氏にゴルフクラブを贈った。電話でトランプ氏に「暖かいところでやろう」と言われたとき、安倍首相は「暖かい季節になったら誘われるかな」と思ったらしい。実は「暖かい場所」、つまりフロリダ州パームビーチで早速やろうとの意味だったのである。人が知り合うためには、ゴルフも役に立つ。

この会談の直前に、トランプ氏は、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、「1つの中国」の主張を尊重し、配慮を示した。北朝鮮は、トランプ氏の大統領就任後初の弾道ミサイルを発射し、新たな挑発行為に出た。今後、韓国はもちろん、中国やロシアとの連携を含め国連安保理決議の履行が焦点となる。

日米首脳会談を機に、国会論戦はいよいよ佳境に入る。閣僚の答弁がピリッとしない。法相や防衛相には、確信と真摯(しんし)さをもって頑張ってもらいたい。(公明党代表)

【2017年2月15日(14日発行)付 夕刊フジ掲載】

「文科省天下り」徹底調査と再発防止を

掲載記事2017年02月02日 (木曜日)

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ドナルド・トランプ米大統領が誕生して10日が過ぎた。世界が注目した就任演説は、選挙演説の延長のようであり、歴代大統領のような格調高い理念を語るものにはならなかった。選挙中に示した方針、例えば、「難民受け入れ120日間凍結」や「メキシコ国境に壁を建設」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱」などの大統領令に次々とサインして発信し、世界中が振り回されている感じだ。

メキシコのペニャニエト大統領とは早期の首脳会談がセットされたが、トランプ氏は「壁の建設費をメキシコに負担させる」といい、反発したペニャニエト氏に対し「費用を支払わないなら首脳会談は中止した方がいい」とツィートして、会談は中止された。その後の電話会談で「壁の費用負担は公の議論は控え、協議を通じて解決を目指す」ことで一致した。

フランスのオランド大統領との電話会談では、オランド氏が難民受け入れの一時凍結と、保護主義的政策について批判した。難民受け入れ凍結については、米国でもカリフォルニア州やペンシルベニア州など15州の司法長官らが批判声明を出し、懸念が強まっている。

こうした動きを反映して、日本の世論調査では、トランプ氏の当選直後よりも今の方が、日米関係を不安視する声が強まっている。

首脳会談で日米同盟の深化を

安倍晋三首相は28日深夜、トランプ氏と電話会談し、2月10日、ワシントンでの首脳会談を約束した。電話会談は、和やかな雰囲気で挑発的な態度は一切なく、自動車の貿易不均衡や在日米軍駐留経費負担増などにも具体的な言及はなかったという。

「マッド・ドッグ(狂犬)を派遣する。信頼しているので話をしてほしい」とトランプ氏が言及したのは、ジェームズ・マティス国防長官である。3日から訪日し、稲田朋美防衛相らとの会談が予定されている。ここで、日米同盟の重要性と、NATO(北大西洋条約機構)諸国よりも重い日本負担の現状を再確認し、首脳会談のベースにしてもらいたい。

10日の首脳会談では、日米同盟の絆を強め、信頼関係を深めるとともに、米国産自動車の日本への輸入に障壁はなく、日本メーカーの米国内雇用への貢献を事実で示してもらいたい。

最近、文部科学省の幹部が、国家公務員法に違反し、再就職規制を組織的に免れようとしていた実態が「内閣府再就職等監視委員会」の指摘で明らかになった。事務次官が辞職し、数人の職員が処分された。根は深く、国民の信頼を揺るがせたことは看過できない。

この際、文科省内の徹底した調査を断行し、再発防止策を確立すべきだ。わが党の議員が予算委員会で指摘したように、第三者の専門家を入れて、お手盛り調査にならないことが重要だ。合わせて、全省庁で再点検し、襟を正して出直すことを求める。(公明党代表)

【2017年2月1日(31日発行)付 夕刊フジ掲載】

首相は早期首脳会談を行い日米同盟の意義確認を

掲載記事2017年01月18日 (水曜日)

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20日にトランプ氏大統領就任

ドナルド・トランプ氏が20日、米大統領に就任する。これほど評価が分かれる次期大統領は珍しい。いずれにせよ、日本や世界に大きな影響を与えることは間違いない。

就任前からツイッターで、トヨタ自動車に厳しい言及を浴びせ、メキシコへの工場建設を牽制した。「指先介入」と眉をしかめる人もいるが、「従来の政治の常識は通じない」と腹をくくった方がよさそうだ。

大統領選勝利後初の記者会見(11日)も、一部メディアにケンカ腰だった。当選直後、トランプ氏は「国民の大統領になる」と宣言し、米国の分断回避や君子豹変を期待させたが、就任までお預けのようだ。

米国の雇用を増やし、インフラ整備を進めることで米経済が成長すれば、日本にもいい影響が期待できる。日米同盟を堅持し、西太平洋の平和と安定に積極的に対応してほしい。レックス・ティラーソン次期国務長官と、ジェームズ・マティス次期国防長官も、その基本認識を共有していることは心強い。

しかし、中国と過度に摩擦や緊張を高め、経済に影響を与えることがないよう注意が必要だ。

安倍晋三首相は早期に日米首脳会談を行い、日米同盟の意義をはじめ重要な基本事項を確認することが大切だ。また、議会の役割も重要であり、共和党にも働きかけなければならない。関係各国とも連携して対応することにも心がけたい。

慰安婦像問題 韓国政府の良識ある対応望む

韓国・釜山の日本総領事館前に昨年末、慰安婦像が設置された。明らかに、日韓合意やウィーン条約に反し、国際的に許されないことである。

日本政府は、韓国政府の対応を促すため、駐韓大使ら一時帰国させ、日韓通貨交換(スワップ)協定再開の協議中断などの対抗措置をとった。私も、帰国した大使らから状況報告を受けた。

韓国政府も国際的に孤立しかねないと理解している。黄教安(ファン・ギョアン)首相は「言動は自制することが望ましい」といい、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は「公館前に慰安婦像を置くのは国際関係上よくないことだ」と述べた。

一昨年の日韓合意は、韓国政府の強い意向に基づき両国の努力によって出来上がったもので、米国も支持した。日本政府は合意に従って10億円を韓国側に交付し、誠実に履行している。

朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾にさらされている理由は、合意とは無関係で、影響を受けない。慰安婦像増設の動きは、政権打倒や次期大統領選の政治的意図から、韓国世論を感情的に煽っている印象も受ける。

心配は、日本の世論が引いてしまうことだ。

在日本大韓民国民団の呉公太(オ・ゴンテ)団長は「慰安婦像を撤去すべきだというのが在日同胞の共通した切実な思いだ」と語った。ヘイトスピーチと戦ってきた在日同胞とバックアップしてきた韓国政府、それを配慮して超党派で対策法を成立させた日本の国会、いずれの苦労も無にしかねない。

韓国の政府および政治家の良識ある対応と、日本政府の冷静な行動を求めたい。(公明党代表)

【2017年1月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載】

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