内容公開を迫る民進党「非公式」の意味を知れ

掲載記事2016年11月30日 (水曜日)

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安倍−トランプ会談

安倍晋三首相は17日(日本時間18日)、ドナルド・トランプ次期米大統領と、ニューヨークのトランプタワーで会談した。まずは個人的な人間関係を深め、信頼関係を築くことが目的である。世界各国の首脳に先駆けた異例の顔合わせだけに、内外の注目が集まったのも当然である。

安倍首相は会談を「非公式なもの」と位置づけた。周到な配慮がなされていたことが察せられる。場所は、ワシントンではない。会談する動画のニュース映像もなく、数枚の静止画像が公表されただけだ。トランプ氏の長女、イバンカさんが同席する写真は、個人的な親密さを醸し出すためであり、現職のオバマ大統領への配慮でもある。

同席者として、トランプ氏の側近の1人、安保担当補佐官に指名されたマイケル・フリン元国家情報局長も写っていた。安倍首相は「私の基本的な考え方はしっかり申し上げ、充実した意見交換ができた」と語った。

このことから、日本側は「将来の布石」を打ったということになる。トランプ氏側も「人事で多忙な時期の会談」に応じてくれたのだから、人事を含めた将来を予測させる情報のやりとりもあったことだろう。

当初、オバマ氏との首脳会談よりも短い予定だったが、「2人で1時間半にわたり、じっくりと話ができた」ことは望外の成果といっていい。

民進党の蓮舫代表は「会談の内容を説明せよ」と国会で迫った。

だが、個人的な信頼関係を築くために会談し、「会談内容は外に漏らさないようにしよう」と合意したのに、安倍首相が中身を公表すれば、信頼関係は崩れる。側近を入れた意見交換の中身が広まれば、双方の手の内をさらすことになる。「公式会談」ではないのだからオバマ氏にも失礼だ。

民進党は前身の民主党時代に政権を担ったのだから、それくらいの見識は期待したいものだ。

先週末の世論調査では、内閣支持率が上がっている。国民は、安倍政権の「先手」を歓迎していると言ってよい。

来月15日、ロシアのプーチン大統領が来日し、山口県で安倍首相と日露首脳会談に臨む。領土問題を含む平和条約締結交渉の行方が注目される。

来日に先立つ20日、ペルーで日露首脳会談が行なわれ、首脳間の最後の調整が行なわれた。安倍首相は「平和条約の問題は、たった1回の首脳会談で解決できるような簡単な問題ではない」と述べ、一歩一歩着実に前進させる考えを示した。

最近、ロシア側の要人の発言は、従来の原則論に立った厳しい主張が目立っている。プーチン氏はかつて「引き分け」といい、「新しいアプローチをとる」とも語っていた。ペルーでは「北方領土での共同経済活動」との表現を使った。

経済協力のあり方を含めた、今後の平和条約締結への道行きを示す大事な一歩を期待したい。(公明党代表)

【2016年11月30日(29日発行)付 夕刊フジ掲載】

安倍首相はトランプと信頼関係を

掲載記事2016年11月16日 (水曜日)

3721_001.jpg米大統領選(8日投開票)で、共和党の不動産王、ドナルド・トランプ氏が大方の予想を覆して逆転勝利した。あれだけの暴言を吐きながら、ヒスパニックやイスラム教徒らの反感と不安を招きながらの、驚きの結果である。案の定、市場は大暴落し、反発するデモが各地で起こった。

しかし、トランプ氏は勝利宣言で「分断の傷を癒やし、全国民の大統領となる」と述べ、鮮やかなノーサイド宣言を行なった。この君子豹変ぶりに、市場は反転し、混乱は回避されつつある。

民主党のヒラリー・クリントン前国務長官も敗北を認め、「トランプ氏に、この国のかじ取りを任せましょう」と国民に呼びかけた。トランプ氏はオバマ大統領と会談し、「困難な問題を議論した。これからも会談を重ねることを楽しみにしている」として、円滑な政権移行への協力を引き出した。

トランプ氏は、安倍晋三首相をはじめ、各国首脳と相次いで電話会談し、新たな関係を築こうとしている。安倍首相は、河井克行補佐官や秋葉剛男外務審議官を訪米させて情報収集に当たらせるとともに、自らも17日訪米し、トランプ氏と会談することとした。

先週末、来日したインドのモディ首相歓迎夕食会で、私と同席したインドの外務次官は前駐米大使だけに、「この後、自分も訪米する。安倍首相が早速会談することは素晴らしい。機敏な対応だ」と語った。各国とも、関係を模索する動きが活発だ。

公明党の岡本三成衆院議員は2000年ごろ、トランプ氏と2回、ビジネスで会った経験を持つ。その印象は、数字に強く、目的と手段を明確に分ける点だという。

雲行き怪しい米TPP撤退

トランプ氏は大統領選で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの撤退を口にした。だが、オバマ氏や周辺からは、トランプ政権下でもTPPを推進し、アジア太平洋に積極的に関与し、米国の影響力を維持すべきだとの意向が示されている。

もちろん、先行きは厳しくなっている。

しかし、TPPは、貿易障壁がすでに低い米国が他の参加国の障壁を低くして参入できるメリットばかりでなく、外交や安全保障上の戦略的なメリットも大きい。参加12カ国とも「ウィンウィンの関係」だからこそ合意に至ったのだ。伝統的に自由貿易の推進を旗印にしてきた共和党が上下両院を制したことも心強い。

日本は、国会承認により、「再交渉はなし。早期発効を目指す」との主体的意思を示して、米国や他の参加国に働きかけていくべきである。

安倍首相には、まずは個人的な人間関係を深め、何でも率直に話し合える信頼関係を築いてもらいたい。分かりやすく説明すれば、有能なビジネスマンであるトランプ氏は理解してくれると期待している。(公明党代表)

【2016年11月16日(15日発行)付 夕刊フジ掲載】

来日ドゥテルテ大統領と米比同盟の重要性共有

掲載記事2016年11月02日 (水曜日)

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三笠宮崇仁親王殿下が先月27日、心不全で薨去(こうきょ)された。100歳を超え、さらなるご長寿を願っていたところであり、誠に残念でならない。大正天皇の第4皇男子で、天皇陛下の叔父にあたられ、先の大戦を軍人として経験した唯一の皇族であられた。

戦後は、昭和天皇及び今上天皇を支えられ、国民の平和と福祉を願われて行動された。国際親善や文化、芸術、スポーツの振興にも尽くし、皇族としての重要な役割を果たされた。

古代オリエント史の研究者としても著名であり、私の妻の母校で教壇に立たれていたことがあり、学生からは「ざっくばらんで親しみを覚える」印象だったと伝えられている。

皇室行事で拝見した折は、いつも背筋をピンと伸ばされていた。生き方そのものに筋が通っておられたように思う。謹んでご冥福をお祈りしたい。

さて、フィリピンのドゥテルテ大統領が先週来日し、26日夜、首相官邸で開かれた、安倍晋三首相主催の晩餐(ばんさん)会にお招きいただいた。大好きな和食に舌鼓を打ち、全テーブルを回って、あいさつを交わし、記念撮影に応じるサービス振りだった。

ドゥテルテ氏といえば、過激な反米発言を繰り返して気をもませている。訪中前も、訪日後も収まる気配がみられない。

とはいえ、安倍首相は首脳会談と少人数会合を通じて、日米同盟の大切さや米国のアジア・太平洋での重要性を伝え、日米及び米比同盟の重要性の認識を共有するに至らしめた。その際、ドゥテルテ氏は「米国と外交関係を断ち切るわけではない」と発言し、フィリピンからの米軍撤退には触れなかった。

また、南シナ海の問題では、先の訪中を意識してか、「難しい問題で、今は語るべきではない」としつつ、「仲裁裁判所の判決に基づいた話しかできない」として、判決内容を尊重する意思を示した。「法の支配の下、国際海洋法条約に基づいて平和的に解決したい」として、外交的解決を強調した。

また、「日本はフィリピンと同じようなことに見舞われている。われわれは常に日本の側に立つつもりだ」と述べ、日本に寄り添う立場に、安倍首相は謝意を示した。

経済協力では、日本の累積額が他を圧倒している。中国を含め近隣国との摩擦を避け、経済協力をどの国からも引き出したいと言うのが本音であろう。会談で使ったキーワードを外れないよう祈るのみである。

同席したアルバレス上院議長は私に対し、「日本は、以前の支配者とは違い、フィリピン人に勤勉さを教えてくれた。感謝している」と語った。ドゥテルテ氏の心情に沿うものと受け止めた。

国会は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐる衆院審議が大詰めだ。すでに採決に熟す審議時間の目安とされた40時間を超え、60時間に達している。丁寧に採決を迎えたい。(公明党代表)

【2016年11月2日(1日発刊)付 夕刊フジ掲載 】

日本の経済成長のために早期承認を

掲載記事2016年10月19日 (水曜日)

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TPPと関連法の国会論戦突入

衆院東京10区と福岡6区の補欠選挙(23日投開票)が始まっている。先の参院選は、消費税率10%の引き上げ延期について、国民の信を問う位置づけで与党が勝利した。その後、初めて行われる国政選挙であるから、引き続き安倍政権の信任を問う選挙である。

東京10区にあるJR池袋駅東口で16日、若狭勝候補=自民党公認・公明党推薦=の応援のため、私と安倍晋三首相、小池百合子都知事の3人がそろい踏みした。

周囲を埋め尽くす数え切れない聴衆を前に、小池氏はイメージカラーの緑のジャケットで決め、安倍首相の緑のネクタイ姿を引き合いに、「連携するところは連携する」と主張した。

安倍首相も「朝から青汁を飲んで腹の底から緑になっている」と応じ、「国政と都政の協力の象徴が若狭候補だ」と訴えた。

赤いネクタイの私は少し戸惑ったが、「緑の補色は赤ですね。緑を引き立てる色なんです」といい、「与党が力を合わせて勝たなければならない」と強調した。

福岡6区は、自民党系2候補の公認を決めないまま、選挙に突入した。いずれにしても、与党の議席を確保する結果を出すことが大切だ。

さて、国会論戦は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と関連法案の審議に突入した。

日本にとって、なぜ重要なのか。世界のGDP(国内総生産)の4割を占める加盟国の経済圏は、日本の国内市場の7倍の規模だ。日本から輸出するときの関税はほぼゼロになるため、国内と同様に自由に取引できる市場が7倍になるともいえる。人口減少で市場が縮む日本が、経済成長するためには、関税撤廃は大きなメリットとなる。

日本の消費者が輸入品の関税をなくして安く手に入れることもメリットだ。ただ、米や麦、牛豚肉、乳製品など国内生産物と競争になる重要な443品目は、加盟国中最多の「関税撤廃の例外」とし、撤廃率を95%にとどめた。農林水産業の競争力を育てていく必要があるからだ。

こうして、GDP14兆円の押し上げ効果が期待される。加えて、米国の参加で、アジア太平洋地域が安定する外交・安全保障上のメリットも忘れてはならない。

難航したTPP交渉だけに、蒸し返しを止めるためにも、日本の早期承認が重要だ。

米大統領選で候補者2人がいずれも消極的な発言をしている。だが、候補者が対外貿易より国内雇用を強調するのは、過去の大統領選でもよくあることだ。オバマ氏も大統領候補のとき、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを主張したが、当選後引っ込めた。

そのオバマ大統領が推進したTPPである。大統領選後の最後の議会で、米国の威信と国益が問われることになる。(公明党代表)

【2016年10月19日(18日発刊)掲載】

衆院議員は常に「常在戦場の心構え」で

掲載記事2016年10月05日 (水曜日)

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最高の東京五輪へ 与党も都も同じ思い

2020年東京五輪・パラリンピックを検証する東京都の調査チームが9月28日、このままでは開催総費用が3兆円を超える可能性があるとして、都が新規整備する3施設について、建設中止も含めて見直すべきとする報告書を提出した。

やり玉に上がった3施設とは、ボート・カヌー会場「海の森水上競技場」、水泳会場「オリンピック・アクアティクスセンター」、バレーボール会場「有明アリーナ」である。いずれも、レガシープラン・立地・規模・設計の妥当性やコストダウンの余地を再検証すべしとした。

これに対し、五輪組織委員会の森喜朗会長は見直しに難色を示し、国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ副会長は不快感を示している。

一方、「都政改革本部」を立ち上げ、豊洲新市場に続き、東京五輪でも問題提起する小池百合子都知事は存在感を際立たせ、国民的関心を引き寄せようとしている。

確かに、組織委員会はこれまで競技団体と時間をかけて調整し、IOCの承認を得たと説明している。すでに、設計段階を経て一部工事が始まっているところもある。

しかし、最終的に費用を負担し、実施する責任は東京都である。今回の報告書は、都が今後なすべきことを整理して、小池氏に判断材料を提供するという位置付けである。

政府・与党は、限られた予算と時間で最高の東京五輪を実現するとの観点から取り組んでいる。小池氏が「コストを抑制する必要がある」との姿勢で臨む点では軌を一にしている。

小池氏が、都議会の議論も踏まえて、どのように判断し、関係者を説得するか注視したい。

このところにわかに、「来年1月に衆院解散ありうべし」との観測が取り上げられている。これには、私が先月28日の講演で「常在戦場の心構えで...」と話したことが、「解散容認」と報道されたことなども関係しているかもしれない。だが、私の話はあくまで一般論にすぎない。

解散権は安倍晋三首相の専権事項であり、解散権のない者が「いつやるべき」などと解散権の行使に言及することは控えなければならない。

かつて、「重大な決意」と解散をほのめかしたとたんに、党内の反対で総辞職に追い込まれた首相もいた。首相は軽々に「解散あり」とは言えない立場である。「死んだふり解散」で、まさかの衆参ダブル選挙に打って出て、野党の虚を突いた首相もいた。解散を受けて立つ政党や議員は「解散はない」とは言えない立場なのである。

衆院議員は当選と同時に、「常在戦場の心構え」でいなければならない。(公明党代表)

【2016年10月5日(4日発行)付掲載】

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