菅官房長官・翁長知事会談が実現

掲載記事2015年04月08日 (水曜日)

政府は丁寧な対話による解決に努力を

150407zubatto.jpg菅義偉官房長官と、沖縄県の翁長雄志知事が5日、那覇市内で初めて会談した。官邸を空けることがめったにない官房長官であるが、米軍の「西普天間住宅地区」返還式典出席にあたり、実現させた。

菅氏は「日米同盟の抑止力維持、そして危険除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策と考えている」と訴え、会談後「国と沖縄県が話し合いを進めていく第一歩となった。基地負担軽減対策とか振興策は、県と連携していく必要がある」との考えを示した。

翁長氏は「辺野古の新基地は絶対に建設することができないとの確信を持っている。上から目線の『粛々』という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れていくのではないか」と反論したが、会談後「会話は続けるということだ」と語った。

両者の主張は平行線に終わった。翁長氏は、安倍晋三首相との会談も求めており、官邸は対話を続ける方向では一致するものの、タイミングや内容は慎重に模索するものと思われる。

問題の出発点は、住宅地の真ん中にあり、「世界一危険」といわれた普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の危険除去にあり、この危険を固定化させないことが重要だ。

政府は、長い検討の経過をたどって名護市辺野古移設を沖縄側といったんは着地させたが、民主党政権の対応のまずさもあって、信頼関係を損なった。安倍政権は信頼関係を再構築しながら、普天間飛行場の辺野古移設と基地負担軽減や振興を進めようとしている。

翁長知事は、沖縄防衛局による辺野古でのボーリング作業の「停止指示」を出し、林芳正農水相はその効力を「一時的に止める」ことを決めた。翁長氏は、前知事の埋め立て承認を取り消す可能性も示唆している。

政府は、法的対応は冷静に行わざるを得ないが、より丁寧な対話による解決に努力してもらいたい。

私は以前聞いた辺野古住民の言葉を思い出す。「山口さん、安保政策は政府の行うことだが、普天間飛行場を辺野古へ誘致したいのではない。同じ沖縄県民として普天間周辺の人たちの苦悩を見過ごしにできない苦渋の決断だということを知ってほしい」というものだった。

このほど、中国が提唱する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への世界各国の参加姿勢がほぼ決着した。日本と米国を除く、欧州や中東、中央アジア、インド、アセアン、オセアニア、韓国、台湾、ブラジルなど40以上の国や地域が参加の見通しとなった。

政府は「運営が不透明で、融資が焦げ付く恐れがあり、日米関係への配慮も大切」などとして参加を見送った。野党からは「外交的敗北だ」、経済界からは「インフラ投資ビジネスへの悪影響を懸念」などの声があがる。

中国の外交は奥深い。日本は国益を最大化し、国際協力姿勢を出すためにも柔軟な対応を忘れてはならない。

2015年4月7日付 掲載)

安保法制「国内外の信頼得られる法整備が重要」

掲載記事2015年03月25日 (水曜日)

'15.03.24zubatto.jpg北アフリカ・チュニジアの首都チュニスで先週18日、武装したテロリストが国立博物館を襲撃し、日本人3人を含む外国人観光客21人が殺害された。他に日本人3人が負傷した。日本人の被害者は、地中海クルーズ船でヨーロッパを旅行中に事件に遭遇した。犠牲となった方々とご遺族には謹んで哀悼の意を表し、負傷者にお見舞いを申し上げたい。

チュニジア政府は、イスラム過激派組織によるテロ事件と断定した。犯行グループには、ベルギーから来たチュニジア人や、リビアで訓練を受けた者も含まれていた。過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出し、チュニジア国内の過激派組織「アンサール・シャリア」との関係も指摘されていることから、チュニジアの主要産業である観光業への打撃を狙った計画的犯行とみられている。テロ行為は断じて許されず、強く非難しなければならない。

旅行者を含めた邦人に適切な情報提供を行い、十分な警戒を促すとともに、国際社会と協力してチュニジアの治安体制強化や若者の雇用に結びつく経済支援などが必要である。

近年、邦人が巻き込まれる事件が海外で多発する傾向のなか、邦人を保護・救出する自衛隊の活動を含む安全保障に関する法的整備について、与党の「具体的な方向性」がまとまった。これは、5月中旬に法案を国会に提出することを目指し、与党側から一定の認識を共有した点をまとめた中間報告的なものである。これを受けて、政府は具体的な法案を作成し、さらに与党の審査を経ることとなる。

方向性の要点は、①自衛隊の活動が国際社会に正当なものとして受け入れられること②国民の理解を得られるように、国会の承認など民主的統制が確保されていること③自衛隊員の安全が確保されていること--などの3つだ。これらの観点から、昨年の閣議決定に基づいて法案に具体的な仕組みが定められることが求められる。

わが国が平和国家としての基本を外さず、積極的平和主義を進めていけるように、自衛隊の活動に一定の歯止めをかけながら、国内外の信頼を得られる法整備を行うことが重要だ。

こうした安保法制の整備は、外交活動と車の両輪をなす。

先週19日、東京で日中安保対話が3年ぶりに再開された。不測の事態を回避するための「海空連絡メカニズム」などで実務的な協議を行い、一歩前進が図られた。図られた。

さらに21日、韓国・ソウルで日中韓外相会談が行われた。3外相は、防災、環境、青少年交流などで一層の協力を進めていくことの認識を共有し、最も早期の都合のよい時期に日中韓首脳会談を開催するよう努力することで一致した。

さまざまなチャンネルで対話・交流が活発になりつつある。東アジアの平和と安定に繋がることを期待したい。

相次ぐ「政治とカネ」問題

掲載記事2015年03月11日 (水曜日)

国民が求める「正しく直す」姿勢

150310zubatto.jpg国会では「政治とカネ」の問題に関する指摘が相次いでいる。特に、「国から補助金を受けた企業や団体は1年間政治活動に関する寄付をしてはならない」(政治資金規正法第22条の3)とされており、寄付を受けた政治家の政党支部などがやり玉にあがった。 

野党はここぞとばかり追及を始めたが、寄付は与野党の議員多数に及んでいたことが分かり、尻すぼみの観がある。指摘を受けた政治家の説明は、補助金を受けて1年以内の寄付であることを「知らなかった」というものが多い。

規正法は、企業側には「寄付をしてはならない」、政治家側には「知りながら受けてはならない」とのルールを課している。確かに、政治家本人にしてみれば、寄付を受けたことは分かっていても、相手の企業が国から補助金を受けて1年以内であることは知らないこともあるだろう。

ただ、補助金で利益を受ける企業が政治家側に寄付することは、国民の目からは「企業側の目的は、補助金を受け続けたり、増やしたりすることを求めるためではないのか」と映り、「政治家側としては、補助金の維持拡大に手を貸すためではないか」と疑う。こうした不明朗な寄付を止めさせようというのが法律の趣旨である。

政治資金規正法は、悪いところを正しく直すという意味で「規正」としている。政府が制限を設けて取り締まる「規制」ではないところが重要だ。政治資金に関わる当事者が、国民の目から見てマズイところを、自ら進んで正しく直すことが期待されているのだ。

今回取り沙汰された一連の指摘は、寄付も補助金もすべて公開された情報からなされている。いわば「包み隠しなく」公表したら、結果的にマズイことになってしまったのである。「裏に隠れて」法の網をかいくぐったものではない。

「追及」と意気込んだバツの悪さからか、一部の政党は、やれ「法改正が必要ではないか」とか、「企業団体献金を禁止すべきだ」とか、やや筋違いの方向にすり替えようとしている。

国民の信頼を得られる政治献金にするのは難しいことではない。企業側は、寄付も補助金も両方の情報を知る立場にあるのだから、ルールに反する寄付を断ればいい。政治家側はルールを分かっているのだから、1年以内に補助金を受けているかを確かめて、寄付を辞退すればいい。「正しく直す」姿勢が問われているのである。

ところで、先週末の「鳩山由紀夫元首相がクリミア訪問を検討」という報道にはびっくりした。ロシアは昨年、ウクライナ南部クリミア半島の独立とロシア編入を一方的に宣言したが、日本を含む主要7カ国(G7)は承認していない。外務省は「ロシアの主権容認との誤解を招くし、渡航延期勧告も出している」として、計画の見直しを求めている。

「元首相」の立場を考えれば自重すべきだ。

安倍首相の真摯な取り組み姿勢

掲載記事2015年02月25日 (水曜日)

〜「イスラム国」対応で野党批判も国民は冷静に判断〜

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国会は、衆院予算委員会での全閣僚出席による基本的質疑を23日に終えて、24日からは要求閣僚のみによる一般質疑に移った。自公与党は来年度予算の年度内成立のため、3月上旬の衆院可決を目指している。その後、参院での予算案審議の攻防が見込まれる。

予算委員会での議論は、衆参本会議の代表質問をベースにしており、与野党で質問の視点は異なる。私は18日、参院の代表質問に立った。与党は自分たちで作った予算案なので、中身の議論は終えている。従って、質問の視点は、公明党の基本的な考え方を述べたうえで、①国民の関心の高いテーマについて、安倍晋三首相の丁寧な説明を引き出す②今後の政治課題に関し、問題点の指摘や提案を交えて、首相の問題意識を喚起する―などである。

私は、衆院選後初の代表質問であるため、政権合意に従って、経済再生や地方創生、社会保障の優先課題、テロ対策や戦後70年の問題など、多岐にわたって質問した。

これに対し、安倍首相は、施政方針演説を基本にしながら、丁寧に答弁に努めていた。介護報酬引き下げに対する、さまざまな懸念への答弁を求めたところ、その説明は具体的だった。

例えば、介護職員1人当たり月額1万2000円相当の処遇改善を実現する加算や、中重度の要介護者や認知症高齢者の受け入れ加算、小規模な地域密着型サービスへの高い報酬設定など質の高いサービスを提供する事業者への手厚い報酬支払いなどを説明した。

中韓両国との関係改善も求めた。

安倍首相は「日中韓3国の枠組みも生かしながら、中韓との友好関係を発展させ、関係改善に努力する」と答弁した。

海洋の安全確保についても聞いた。

自衛隊の活用に関心が集まっているが、海賊やテロ対策、海上犯罪防止、救難救助、災害対応など、海洋の安全を脅かす事象に真っ先に対処するのは海上保安機関である。ルールにのっとって協力するネットワークを強化することが、実際にも効果が高いはずだ。

私は、アジア諸国の海上保安機関職員を、日本の海上保安大学校でもっと研修させるなど、海上保安協力のネットワーク形成を提案した。民間資金による研修事業が昨年終了したが、国費で継続的に行うことが重要だ。

安倍首相はこれに対し、「海上保安分野での人的交流を促進し、アジア諸国との協力関係を強化していく」と前向きに答弁した。太田昭宏国交相は「海上保安大学校に海上保安政策過程を創設する」と答えた。

安倍内閣の支持率が上昇している。過激組織「イスラム国」の事件を受けて、野党には「日本人2人の犠牲は、安倍首相の人道支援に際しての発言のせいだ」との批判もあった。だが、昼夜を分かたず懸命に対応する安倍内閣の取り組みを、国民は冷静に受け止めていたことが分かった。

テロ防止は国を挙げて

掲載記事2015年02月12日 (木曜日)

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イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件は、湯川遥菜さんに続き、ジャーナリストの後藤健二さんも殺害されたとみられ、厳しい結果となった。交換交渉の対象とされていたヨルダン空軍パイロットの犠牲も伝えられ、彼らのご冥福を心からお祈りしたい。

いずれも残虐極まりない蛮行であり、激しい憤りを感じるとともに、厳しく非難されなければならない。このような行為は今後とも断じて許されるものではない。

後藤さんの殺害映像が公開された翌日(2日)の早朝、政府与党は緊急連絡会議を開いた。私は、与党を代表して政府の対応を支持するとともに、①海外の邦人安全確保・適切な情報提供②国内の出入国管理などの水際対策③国内重要施設および公衆の集まる場所などの警備-などに、万全の対策をとるよう政府に要請した。

また、テロ防止のために国際社会と連携した対応が重要であり、引き続き日本が中東地域に行ってきた伝統のある人道支援を今後も行う必要があることにも言及した。広い視野で、テロの温床となる貧困や抑圧を根絶していく取り組みが必要である。「人間の安全保障」の理念に基づく国連など、国際機関の活動を支援していくことも忘れてはならない。

5、6日には、衆参国会で、全会一致の「非難決議」がなされ、テロ行為に対する与野党のコンセンサスが形成された。これを機に、これまでの政府の対応を振り返って教訓を引き出すとともに、在外公館の情報収集機能の強化や邦人安全確保の官民連携などにも取り組んでもらいたい。

9日から、トルコでG20(主要20カ国財務相・中央銀行総裁会議)が開幕したが、「イスラム国」などに対するテロ資金対策の強化も議論されることになる。実効性ある内容を期待したい。

さて、自民党は、憲法改正推進本部の船田元(はじめ)本部長が安倍晋三首相と会い、来年の参院選後の憲法改正発議を目指すことを確認したと報道された。自民党は結党以来、自主憲法制定を目指してきた政党であり、改正草案も用意している。

国民投票法が昨年、一部改正されて手続的に整備されたことから、「自民党総裁」として、安倍首相が憲法改正発議に言及することは当然といってよい。ただし、憲法改正発議ができない「行政府の長たる首相」の立場では、憲法尊重擁護義務に基づいて慎重な発言をしている。

今後は、国会での憲法審査会などでの議論に委ねられるが、各党各議員の考え方は多様であり、改正の具体的テーマも3分の2の合意形成も見通せる状況にない。公明党は「加憲」を主張し、現行憲法は良いものとしたうえで、新しいものを加え、さらに良くしようというのが基本である。

衆院で3分の2の合意をつくることも簡単ではないし、参院ではもっと難しい。国民の理解を得て議論の成熟を進める以外にない。

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