東京は「課題の宝庫」

掲載記事2016年07月27日 (水曜日)

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新都知事、都民の生活課題に取り組む姿勢が重要

東京都知事選(31日投開票)も、いよいよ最終盤を迎える。先週末には各種世論調査が行われたが、おおむね、「小池百合子元防衛相が一歩リード、次いで増田寛也元総務相、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏が追う」という展開である。序盤と比べ、増田氏が追い上げ、鳥越氏が伸び悩んでいるとの分析もある。

鳥越氏について、読売新聞や産経新聞は、週刊文春のスキャンダル報道が影響していると示唆している。鳥越氏側は「文春記事は事実無根」と主張している。ジャーナリストであればこそ、刑事告訴だけでなく、正々堂々と言論で対抗する姿を有権者に見せてほしいものである。

増田氏は、民間人であるから政治資金を扱うことがなく、その点で問題になることがないのが、強みである。実直なところも取りえであり、今の都政に求められているものでもある。パフォーマンスは、はっきり言ってうまくない。

私は、増田氏を党で推薦した際、「23区は人口も多く、ユニークな都区制度が注目されるが、東京には三多摩や伊豆・小笠原の離島があることをしっかりインプットしてください」と伝えた。そのことを踏まえて、多摩地域の遊説にも力を入れているようだ。時間の関係で行くのは無理かもしれないが、離島の人たちもジッと目をこらしていることを忘れてはならない。

東京都は「課題の宝庫」と言ってよい。恵まれた税収を、まず都民のためにどう生かすか。国政プロパーの課題に目をそらせてはならない。何よりも、市区町村と連携して、都民の直面する待機児童や介護サービスなどの問題解決に具体的な政策を訴え、そのために国にもの申す。そうした都民の生活課題に真摯(しんし)に取り組む姿勢が最も重要である。

さて、参院選後の臨時国会が、8月1日に召集される。安倍晋三首相は3日にも内閣改造を断行するといわれている。7月11日に行った党首会談で、安倍首相は「外交など政治日程の難しい調整を経たうえで相談する」と述べていた。

落選した一部の閣僚などの交代はやむを得まい。何よりも、安定した布陣を期待したい。参院選で、与党は、消費税率引き上げ再延期を問い、今後、道半ばのアベノミクスをさらに加速し「成長と分配の好循環」を進めると約束した。これを実行する内閣の体制でなければならない。

改造までには、秋の臨時国会以後に備えて、経済対策を政府・与党で決定する。そこには、年金受給資格を得る期間を短縮する「無年金対策」などアベノミクスの効果の及んでいない人々への対策も入れ込みたい。

9月に召集される臨時国会では、経済対策を実施するための補正予算や、消費税率引き上げ再延期法、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)関連法などの審議が最重要課題となる。

それらを乗り切り、安倍首相の胸中にある課題を進める改造の準備やいかに。まだ、具体的な相談はない。(公明党代表)

【2016年7月27日(26日発行)付 夕刊フジ掲載】

都政の停滞を打破できるリーダーを

掲載記事2016年07月13日 (水曜日)

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今回の参院選で、自民、公明の与党は、消費税率引き上げ再延期について「国民の信」を問い、改選議席の過半数61議席を目指し、大きく上回る70議席を獲得した。

公明党は、選挙区で過去最多の7、比例区と合わせて14の過去最高の議席を得た。非改選11を足して25議席となり、参院の1割を超える陣容となった。雨の中、暑い中、ご支援いただいた皆様に感謝申し上げたい。

11日には、安倍晋三首相らと与党党首会談を開いて、自公選挙協力による勝利と国民からの信任を確認した。

そのなかで、秋の臨時国会をメドに、世界経済のリスクに対応し、内需をしっかり支える総合的で大胆な経済対策を決め、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)関連法案も早期に成立を図ることとした。

選挙中も訴えた農業輸出拡大や、観光インフラ整備、熊本地震の復興を含む防災対策を経済成長に生かす。加えて、税収増などのアベノミクスの成果を、保育や介護の受け皿拡大と、保育士や介護福祉士などの処遇改善に生かす、「成長と分配の好循環」をつくり上げる政策展開が重要だ。

特に、党首討論で安倍首相とやりとりした、年金受給資格の取得期間を25年から10年に短縮する「無年金者対策」は、消費税率引き上げ再延期にかかわらず、財源を確保して早期に実現すべきである。

また、18歳選挙権の実施に伴い、関心の高い「無利子奨学金」の拡大や「給付型奨学金」の創設も進めたい。

これらを経済対策に盛り込んでいくことを検討することとした。

内閣改造も安倍首相の視野にあるが、外交など政治日程との難しい調整もあり、いずれ相談を受けることになろう。

憲法改正については、「衆参の憲法審査会で落ち着いて議論を深める」ことで一致した。何をどう変えるか、まったく議論が集約されていない。改正の発議は国会しかできないのだから、国会に議席を置く全ての政党や政治家が議論を深める責任を負っている。

「与党」は政府を運営する枠組みであり、憲法改正の合意を進める枠組みではない。落ち着きのいい合意形成には、比較第2党すなわち野党第1党の対応が鍵を握ることになろう。

参院選を終えて、東京都知事選(31日投開票)に関心が移った。自薦他薦、多くの名前が取り沙汰されている。

14日の告示が迫るなか、岩手県知事や総務相を務めた増田寛也氏が11日、出馬を表明し、公明党東京都本部に推薦を願い出た。都本部は高木陽介代表に対応を一任し、12日の党常任役員会で検討し方針を決める。

「政治とカネ」に透明感があり、都政の停滞を打破し、都議会や政府と協調して、都民の福利を向上させ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを成功に導く、そのようなリーダーシップの取れる人がいい。

中国海軍の接続水域侵入、毅然かつ冷静に対処を

掲載記事2016年06月14日 (火曜日)

2161_001.jpg中国海軍のフリゲート艦1隻が9日午前0時50分ごろ、沖縄県・尖閣諸島周辺の「接続水域」に、同国の軍艦として初めて侵入する事態が発生した。政府は、中国艦艇の行動は「緊張を一方的に高める行為」であるとして、複数の外交ルートで退去を要求した。

しかし、これに応じないことから、外務省の斎木昭隆事務次官は異例ともいえる同日午前2時ごろ、程永華駐日中国大使を同省に呼んで、「重大な懸念を表明」して抗議し、「わが国の接続水域から直ちに出域するよう」強く求めた。

これに対し、程大使は「抗議は受け入れられない。ただ、緊張のエスカレートは懸念しており、中国政府に至急伝える」と応じた。ようやく、同日3時10分ごろ、中国艦は出域した。

国際法上、海の領土である領海(沿岸から12カイリ=約22・2キロ)での犯罪などを予防的に取り締まるため、領海のさらに外側12カイリ以内で『接続水域』を設定することが認められている。

領海ではないので「航行の自由」は認められている。現に、中国艦が侵入したころ、ロシアの軍艦3隻も付近の「接続水域」を航行していた。ロシアは尖閣諸島の領有権を主張しておらず、格別に問題視はされない。

「中国艦の初侵入」だから問題になるのだ。尖閣諸島は「歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土」であり、「実効支配」を継続してきた。近年、中国は領有権を主張し、「海警」などの公船がたびたび日本の領海に侵入し、海上保安庁の巡視船が退去を求めてきた。

中国も、さすがに軍艦の入域は控えてきたが、それを破って「接続水域」に入り「領海」に近づくとなると、極度に緊張が高まる。万が一、「領海侵入」となれば、海上自衛隊が「海上警備行動」などを取らなければならず、不測の事態を招きかねない。

あえて緊張を高める挑発的行動は厳に慎まなければならないし、これ以上、エスカレートさせることは避けなければならない。政府は、わが国の領域を断固として守り抜く姿勢で、毅然かつ冷静に対処する必要がある。米国をはじめとする国際社会と連携して、「緊張を一方的に高める行為」を行わないよう求めていくべきである。

中谷元(げん)防衛相は今月初め、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で、中国側に、訪中による防衛対話を申し入れた。軍の偶発的衝突を防ぐための「海空連絡メカニズム」をつくり上げる合意を急ぐべきだ。両国は、多層的な対話と交流を深め、緊張を和らげる努力を怠ってはならない。

舛添知事、15日にヤマ場

さて、東京都の舛添要一知事は、「政治とカネ」の疑惑をめぐる都議会の追及で、出処進退を問われる事態になりつつある。これだけの不信感を招いたことに、内心じくじたるものがある。13日の総務委員会では、ついに都議会公明党も「辞職」を迫った。知事不信任案も取り沙汰されており、15日にはヤマ場が訪れそうだ。(公明党代表)

【2016年6月15日(14日発行)付 夕刊フジ掲載】

サミット 世界経済の危機回避でG7結束

掲載記事2016年05月31日 (火曜日)

2009_001 - バージョン 2.jpg伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)が26、27日、開催された。日本は議長国であり、安倍晋三首相は大いに存在感を発揮した。

直後には、オバマ米大統領を案内して、被爆地・広島を訪問したことも相まって、内閣支持率は大きく上昇した。

サミットの課題は、世界経済をはじめ、テロ、難民、貿易、インフラ、保健、女性、サイバー、腐敗対策、気候変動、エネルギーなど多岐にわたる。成果は、強固で持続可能な均衡ある成長に貢献するための「伊勢志摩経済イニシャティブ」にまとめられた。

中心的テーマである「世界経済」について、活発な議論が交わされた。首脳宣言では「世界経済の回復は継続しているが、見通しに対する下方リスクが高まってきている」との認識を共有し、「新たな危機に陥ることを回避するため、全ての政策対応を行う」こととした。G7の首脳が、このような共通認識を持って結束したことは大きな成果である。

党首会談で私から求めていた、シリア難民支援や地域の将来を担う留学生のわが国への受け入れについても、5年間で150人と大幅に拡充することになった。

私も、サミットに際して、招待されていた国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長など、国際機関の長と会談する機会を得た。

特に、世界銀行のキム総裁との会談では、世界経済の持続的成長のために世銀と日本の協力の必要性を確認し、エボラ出血熱などの感染による公衆衛生危機に対応する資金調達の仕組みを作ることや、環境や防災などに配慮した「質の高いインフラ」が成長を促すこと、8月のアフリカ開発会議(TICADⅥ)を成功させることなどを語り合った。

これらサミットの結果を受けた会見で、安倍首相は「世界経済の成長に貢献するため、日本として何をすべきか、消費税率引き上げの是非も含めて検討し、夏の参院選の前に明らかにしたい」と語った。

安倍首相は早速28日から、麻生太郎副総理兼財務相や、谷垣禎一幹事長をはじめとする自民党幹部に対し、「消費税率10%引き上げを2年半延期する」と伝え始めた。私と30日に行った党首会談でも、同様のことが伝えられた。私の意見を首相に述べたうえで、即答はせず、「公明党のなかで相談する」と引き取った。

6月1日の会期末が迫るなかでの、急展開である。アベノミクスは成功し、税収増という成果を出している。その成果を生かしながら「成長と分配の好循環」を確実なものとするために、再延期の是非を検討しなければならない。最終的に、国民の理解を得られるように政府・与党で合意することになる。

いずれにしても、夏の参院選は民意を問う重要な機会である。「政治を安定させて、力強い政策実現が大切だ」と強く訴えたい。(公明党代表)

【2016年6月1日(31日発行)付 夕刊フジ掲載】

オバマ大統領の広島訪問 確実な一歩を

掲載記事2016年05月18日 (水曜日)

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核兵器のない世界への第一歩

バラク・オバマ米大統領が27日、現職の米大統領として初めて広島を訪問する。伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)に参加した後、安倍晋三首相と岸田文雄外相が同行し、原爆資料館などを案内するという。「唯一の被爆国」である日本の被爆地に、投下した国の大統領が訪れる歴史的な快挙である。

日米両国は70年前の悲しい戦争を乗り越えて、戦後、友好国・同盟国として歩んできた。改めて、これからの歩みをさらに強くする一歩としたい。日米、そして近隣諸国には、さまざまな思いを持つ人々がいる。容易ならざる道を前に、まず、確実な一歩を印すことが大切なのだ。

ここに至るまでには、周到な積み重ねがあった。

オバマ氏は就任直後の2009年4月、チェコのプラハで「核兵器のない世界」を目指す演説をし、その年、ノーベル平和賞を受賞した。この演説の背景には、キッシンジャー元国務長官やペリー元国防長官など「四賢人」といわれる、かつて米国の核政策を担った要人たちの具体的な提言があった。

プラハ演説から7年。その間、ジョン・ルース前駐日米大使が、まず広島の「平和祈念式典2010」に初めて参加し、12年には長崎の式典にも初参加した。以後、現職のキャロライン・ケネディ大使も継続して参加している。

公明党は、オバマ氏ら要人の広島・長崎の訪問を提言するとともに、わが国が「核兵器のない世界」を目指して積極的な役割を果たすよう、日本政府にも要請してきた。

私自身、ルース氏やケネディ氏に「オバマ氏の広島・長崎訪問」を要請してきた。両氏とも、大統領に伝えることを約束してくれたが、慎重に言葉を選びながら「大統領自身が決めることだ」と付言した。

私は13年の訪米の際、キッシンジャー氏と会談し、「被爆地の方々が望んでいるのは、謝罪してほしいということではなく、『ともに核兵器のない世界を目指そう』という大きな願いからです」と、大統領への伝言を依頼した。キッシンジャー氏は「機会があれば山口代表のメッセージを伝える」と語った。

今回の一歩は、あらゆる犠牲者に追悼の意をささげ、恒久平和を誓い、核兵器のない世界を目指す機会となる。それを見届けて、次の展開に知恵をしぼりたい。

舛添都知事は「公私のケジメ」を明確に

このところ、東京都の舛添要一知事の「政治とカネ」にまつわる疑惑が取り沙汰されている。豪華海外出張や公用車での別荘通いだけでなく、家族旅行への政治資金流用疑惑まで報じられ、釈明と謝罪に追われている。

重要なことは、使い途と使ったお金の出所に「公私のケジメ」を明確にすることである。説明責任を尽くす誠実な努力を求めたい。(公明党代表)

2016年5月18日(17日発行)付 夕刊フジ掲載

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