韓国最高裁判決「弁護士の私にも信じがたい」

掲載記事2018年11月14日 (水曜日)

韓国政府に対応の責任

入管法改正案、多岐にわたる課題を議論する

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韓国最高裁は先月末、戦時中に朝鮮半島から内地に働きにきていた人たち(=自称・元徴用工)に対し、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に賠償金の支払いを命じる判決を出した。1965年の日韓請求権協定・経済協力協定を無視するかのような、弁護士の私にも信じがたい判決だ。

劣悪な労働環境下で働き、賃金も未払いのままという人も少なからずいたが、このような人々の問題も含め、65年の請求権協定・経済協力協定で、「完全かつ最終的に解決された」と明記された。

日本政府は、一貫して「解決済み」との立場だ。安倍晋三首相もこの判決に対し、「国際法に照らして、あり得ない判断。政府として毅然と対応していく」と述べた。政府は韓国政府に対し、判決によって生じた国際法違反の状態を是正するなど直ちに適切な措置をとるよう求めている。

原告の弁護士は、韓国内の新日鉄住金の資産を差し押さえることまで示唆している。これ以上エスカレートすれば、日本でも「駐韓大使召還」「ノービザ渡航廃止」「日本からの資本財や中間財の輸出制限」などの対抗策を求める声も高くなりかねない。

日韓双方の外交的努力を無にするような判決も問題だが、協定後の韓国政府の対応に、不満が残っていることのあらわれでもある。

今後、韓国政府は、請求権協定を守る義務を踏まえて、救済すべき被害に対応する責任を果たす必要がある。それを見守る冷静さが日本側には求められよう。

深刻な人手不足に対応するため、外国人材の受け入れ拡大を図る「出入国管理法改正案」が13日の衆院本会議で審議入りする。

確かに、近年の雇用情勢改善の流れを受けて、さまざまな業種で人手不足が深刻になりつつある。賃金や休暇などの待遇改善が進む面もあるが、好条件でも応募がない職場に悲鳴が上がる。

「外国人雇用特区」を政府に求める自治体も現れ、経済界も外国人材の受け入れ拡大を求めている。わが党が、今年4~6月に実施した「100万人訪問調査」でも、介護現場で外国人が働くことに、「言葉が通じれば賛成」との回答が64%に達した。

しかし、安易に「移民」に道をひらけば、言葉や習慣の違いが摩擦を生み、さまざまな問題を派生し、社会が混乱しかねないといった国民の不安も招いている。

今ある技能実習制度の課題と「改正案」との関係、外国にいる家族と年金・医療などの社会保険適用のあり方、外国人材が日本国民と共生できる社会のあり方、人口減少・少子高齢化が進む中での中長期的な社会像など、多岐にわたる課題をしっかり議論する必要がある。

12日の政府与党連絡会議で、安倍首相は「国民の不安を解消するよう、政府は丁寧な説明に努める」と述べた。与野党とも、建設的に議論を深めることが大切だ。 (公明党代表)

【2018年11月14日(13日発行)夕刊フジ掲載】

日中関係改善「ようやく、ここまでたどり着いた」と実感

掲載記事2018年10月31日 (水曜日)

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安倍晋三首相は25日、日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問した。北京・天安門広場には、日の丸が掲げられ、同日午後の日中平和友好条約締結40周年レセプションが、日中友好議員連盟をはじめ各種友好団体の代表団も参加して、盛大に開催された。

安倍首相は、習近平国家主席らとの会談で、「競争から協調へ、日中関係を新たな時代へ押し上げていきたい」と呼びかけ、習主席も「日中関係が正しい軌道に戻った」と語り、幅広い分野で対話と交流を深めていくこととなった。

「ようやく、ここまでたどり着いた」という実感である。

民主党政権末期に、日中は極度の緊張状態に陥り、政治対話の道さえ閉ざされた。政権を自公で取り戻し、連立与党・公明党として2013年1月に訪中以来、習主席宛の安倍首相の親書を届けたのは、4度に及ぶ。

その間、安倍首相は、多国間会議の際、習主席らとの首脳会談を重ねてきた。曲折を経ただけに、これを機に、来年の習主席の訪日を実現し、首脳の往来を重ねたい。

二国間の公式訪問だからこそ、両国の多岐にわたる課題について前向きな合意をつくることができた。経済面では、第三国での民間協力、イノベーションや知的財産に関する協力対話の創設、通貨交換(スワップ)協定再開、日本産食品の輸入規制緩和などで成果があった。

安倍首相はODA(政府開発援助)の終了を通告し、今後、開発分野の人材交流や環境協力を通じて国際貢献を図ることとした。習主席も、ODAの貢献を高く評価したうえで、来年の大阪でのG20サミット(20カ国・地域首脳会議)への協力を表明した。

安全保障面では、防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の年次会合の年内初開催を約束し、日中海上捜索・救助協定(SAR)も結んだ。防衛・海保部門の交流を進めるなど、着実な前進が図られている。

課題も残る。

東シナ海の問題については、不測の事態を避ける点では一致したものの、現状の改善策を見いだすには至らなかった。対話と交流による信頼醸成が今後重要となろう。日中平和友好条約の核心の1つである「覇権を求めず」との精神が、両国の言行一致の姿勢に現れることが大切だと思う。

現在の米中関係と日本への影響についても、不透明感が残った。

日中関係改善の背景には、「米中新冷戦」といわれるほどの米中関係悪化があるとの指摘がある。マイク・ペンス米副大統領が4日、ワシントンで行った演説は、かつてチャーチル元英首相の行った「鉄のカーテン」演説を彷彿とさせるとの声もある。

貿易摩擦を含む、こうした対抗が長引くことは、世界経済に悪影響を及ぼし、どの国も得することはない。

日本は、多角的自由貿易体制を重視するとともに、公正な貿易ルールの進展をリードする必要がある。(公明党代表)

【2018年10月31日(30日発行)夕刊フジ掲載】

改造内閣には「いぶし銀」の実力を期待

掲載記事2018年10月17日 (水曜日)

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安倍晋三首相は今月2日、内閣改造を断行し、第4次安倍改造内閣がスタートした。安倍首相は「全員野球内閣」と名付け、地味に見えるが経験と専門性を持ち、高い調整能力を身につけた「いぶし銀」の実務型内閣だと胸を張った。

メディアでは早速、自民党総裁選で、安倍首相と争った石破茂元幹事長率いる石破派から起用された山下貴司法相や、唯一の女性閣僚として就任した片山さつき地方創生相などが話題となっている。

私が期待するのは、この内閣が最重視するテーマを担当する新閣僚である。

まずは、「災害対応」が当面の緊急課題であるため、山本順三防災相には注目している。西日本豪雨災害の被災地、愛媛県出身であり、秋の臨時国会に提出される災害対応の補正予算で仕事ぶりが試される。

公明党から留任となった石井啓一国交相とも力を合わせて、相次いだ災害の復旧・復興に取り組み、被災者の生活と生業の立て直しに汗をかいてもらいたい。

次に、「全世代型社会保障」への改革に取り組む、根本匠厚労相と柴山昌彦文科相である。デフレからの脱却の流れをさらに進め、消費税率10%への引き上げを来年10月に行う。

その際、税収の使い道を変更して、低年金者への支援給付や介護保険料の軽減拡大に加え、幼児教育の無償化や給付型奨学金の拡充、私立高校生の授業料実質無償化などの改革も進めていく。この重責を担うのが両大臣である。

安倍首相は15日夕の臨時閣議で、来年の消費税率引き上げに伴い、使途の変更、軽減税率の実施、かけ込み需要や反動減を抑える対策などを実行することを明言した。一部に、軽減税率の実施に様子見の空気があったが、これで準備を加速することが不可避となった。

根本、柴山両大臣は、麻生太郎副総理兼財務相や、世耕弘成経産相、茂木敏光経済財政相と連携して、改革を断行してもらいたい。

内閣支持率は、この改造で「横ばいか微減」にとどまった。期待値が上がらなかった分だけ、気負いなく、脇を締めて、「いぶし銀」の実力を出していけばよい。

世界同時株安は注意深く見守る

先週末、ニューヨーク市場発で、世界同時株安が起きたのには驚いた。政治家は市場に影響を与える発言は控えるのが鉄則だが、一時的な調整局面なのか長期的な下落傾向につながるのか、注意深く見守る必要がある。

米国連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続くと、長期金利が上がり、企業の金利負担上昇による業績悪化の不安が増す。新興国からドルが吸い上げられて通貨安を招き、経済不振に陥ることも心配だ。

また、米中貿易戦争が長引き、中国だけでなく、日本などの貿易関係国、ひいては米国にも悪影響が及ぶことも懸念される。

堅調な世界経済に与える、これらのリスクを警戒し、政策の国際連携を深めなければならない。(公明党代表)

【2018年10月17日(16日発行)夕刊フジ掲載】

安倍首相と日米貿易交渉の"覚悟"を確認

掲載記事2018年10月03日 (水曜日)

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玉城氏当選 問われる「普天間」の現実的解決策

沖縄県知事選の開票(9月30日)の結果、急逝した翁長雄志知事の後継を名乗る玉城(たまき)デニー氏が、自公の推した佐喜真淳(さきま・あつし)氏に約8万票の差をつけて、当選した。

「弔い合戦」の様相を帯びたことや、タレントや国会議員経験のある玉城氏の知名度が、前宜野湾市長の佐喜真氏に勝っていたことなども影響したものと思われる。

玉城氏の掲げた政策は、大きく2点で課題を抱える。

1つは、明確に米軍普天間飛行場の「辺野古移設反対」を訴えたことだ。翁長氏と同様、国の政策と対立する。沖縄県は、知事選直前に、辺野古海岸の埋め立て承認を「撤回」した。これに対し、国は「法的措置をとる」構えを見せてきた。

世界一危険な米軍飛行場とされた「普天間基地」の返還が22年前に日米で合意されながら、いまだに基地周辺の住民の危険を取り除くことができていない。

玉城氏は、かつて民主党の鳩山由紀夫政権のもとで、与党議員として、「辺野古以外」を求めたが、実現できなかった。これから、「普天間基地」の危険をどう取り除くのか、現実的な解決策を問われることになる。

在日米軍の安定的な運用の見通しが損なわれると、日本の安全保障だけでなく、アジアの平和と安定にも、大きな影響を与えかねない。

もう1つは、玉城氏が掲げた沖縄県の振興や県民所得の向上を実現するには、国との連携が欠かせないということだ。玉城氏がどこまで、連携力や柔軟性を発揮できるかが課題となる。

安倍晋三政権は、この県知事選で示された民意を冷静に受け止めながら、丁寧に対話を重ね、県民の理解を広げてもらいたい。

安倍首相と日米貿易交渉の"覚悟"を確認

安倍首相は沖縄知事選に先立つ9月26日、ニューヨークでドナルド・トランプ米大統領と首脳会談を行い、新たな通商協定「日米物品貿易協定」(TAG)締結に向けた交渉を行うことで合意した。

安倍首相は、自由で公正な貿易ルールに基づいて国益を守り、トランプ氏は、2国間の貿易で日本との貿易赤字を減らすことに関心がある。

交渉の前提として、日本は農林水産品について、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など、過去の経済連携協定で約束したものを超える譲歩はしないこと、米国は交渉結果が米国の自動車産業の製造と雇用の増加を目指すものであることを、お互いに確約した。

また、交渉中は、米国が自動車などの関税引き上げ措置を発動しないことも確認した。

一方で、日本は、米国がTPPに復帰する道も開いておかなければならないし、電子商取引や知的財産などについての不公正な貿易慣行に対処していく日米欧の国際協力も進める必要がある。

1日の自公党首会談では、これらを踏まえて、厳しいやり取りを乗り切らなければならないことを確認し合った。(公明党代表)

【2018年10月3日(2日発行)夕刊フジ掲載】

沖縄県知事選で佐喜真氏推薦

掲載記事2018年09月19日 (水曜日)

訪中で、日中関係の回復を実感

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沖縄県知事選が13日告示された。序盤戦を終え、いよいよ30日の投票日を目指して、舌戦は熱を帯びる。

今回の知事選は、沖縄の発展はもとより、日本やアジアの平和と安定にも大きな影響を与える。公明党は、自民党や日本維新の会、希望の党とともに、前宜野湾市長の佐喜真淳(さきま・あつし)氏を推薦した。

推薦に際し、政策協定を結び、県政の優先課題は、豊かで、安心、安全な暮らしを実現することであり、「対決より対話が重要であること」を確認した。

これをもとに、私は10日、宜野湾市で行われた佐喜真陣営の集会で、全面支援の方針を述べた。他党と力を合わせて勝利したい。

さて、私は5日から訪中し、9日に帰国した。日中関係が正常な回復軌道に戻ったことを実感する旅だった。

今年は、日中平和友好条約を結んで40年の節目である。5月の李克強首相の訪日を幕開けとするなら、年内の日本の首相の訪中が第2幕、来年の習近平国家主席の訪日を第3幕とする首脳の往来を実現することが重要である。

安倍晋三首相から預かった親書を全国政治協商会議主席の汪洋常務委員に託し、首脳の往来実現に強い意欲を持っていること、ウラジオストクで習主席に会えるのを楽しみにしていることをメッセージとして添えた。

汪氏は「私自身から速やかに習主席に報告する」と応じた。帰国直前に会った唐家璇中日友好協会会長は、①ウラジオストクで習主席は安倍首相に会う②10月下旬、安倍首相を迎える準備をしている③来年の習主席訪日の準備を始めた|などの3点を私たちに伝えた。

唐氏の発言は、親書の内容に対応するものであり、中国側の「回答」である。帰国後速やかに、私から安倍首相に報告した。先日、ウラジオストクで日中首脳会談が実現し、「回答」が裏付けられた。

汪氏との会談で、私は中国の歴代指導者が覇権を求めないとの主張を一貫していることを引用し、「言行一致の姿勢を示すことが重要だ」と述べた。これに対し、汪氏は「山口代表が強調したとおり、中国側の一貫した態度は、いかに発展しようとも覇権を唱えないということである。歴史からくみ取った深い教訓である」と応じた。

さらに、汪氏は「日中関係の長期にわたる健全な発展を築き、地域や世界に貢献することを望む」と語った。この流れに水を差すような動きは双方とも控えることが大切だ。

要人との多岐にわたる意見交換のほかに、私たちは国交正常化や平和友好条約の意義と大局観に立って、それを進めた先人の苦労を後の世代に伝えるために、習主席の母校である清華大学と、周恩来首相の母校である天津の南開大学で学生たちと懇談した。南開大学では、映像を交えた講演を行い、学生たちの関心を引きつけた。

政界のハイレベルの往来が、各界各層の交流の厚みを生み出し、両国と地域の平和と繁栄に結びついていくことを望む。(公明党代表)

2018年9月19日(18日発行)夕刊フジ掲載

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