臨時国会閉会

掲載記事2018年12月11日 (火曜日)

改正入管法、外国人材に選ばれる国を目指す

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臨時国会が10日、安倍晋三首相の外交日程を挟みながらも、会期延長なく閉会した。

冒頭は、今年相次いだ災害の復旧を図る補正予算を、全会一致で成立させた。特に、全国の公立小中学校の普通教室すべてにエアコンを付けて、設置率の格差をなくす予算措置は画期的だ。併せて、都道府県立の高校、および特別支援学校や災害時の避難場所にもなる体育館へのエアコン設置にも、公明党のネットワーク力を活かしていきたい。

最大の焦点は、外国人材の受け入れ拡大を図る「出入国管理法改正案」だった。有効求人倍率が全国で1を超えるようになったことは半面、全国的に人手不足が深刻だということだ。この点の課題意識は、与野党とも共通していた。

しかし、「就労資格を認めるのはどの業種か」「外国人材の受け入れ枠は何人か」など、多くのことが政・省令に委ねられた。健康保険などの適用に不正がないように、厳格な対応や法的措置が求められるなど、「生煮え感」も指摘された。

また、現行の「技能実習制度」のもとで、低賃金や大量失踪、悪質な紹介業者介在などの問題点が浮かび上がり、こうした実態の是正も課題となった。

与野党とも、課題を直視した厳しい議論を重ねたように思う。野党は、批判に徹する政党と、対案を出す政党に分かれたが、今後につながる議論は深められた。参考人の意見も聞いた。

急いだようにも見えるが、前向きに捉えたい。

これから日本では、来年はラグビーワールドカップ、再来年は東京五輪・パラリンピックがあり、多くの外国人を迎える。人手不足のままでは、対応しきれない。技能実習や留学生の働き方に問題があるとすると、これを放置しては国際社会の批判を浴びかねない。

これまで、技能実習は民間の送り出し、受け入れ機関に委ねる部分が多かった。改善を図るため、これまでの「入国管理局」から「入国滞在管理庁」を組織する。自治体や諸団体とも連携して、積極的に支援を行い、外国人材から選ばれる国になることを目指したい。

こうした考慮をへて、来年4月から実施できるように、しっかり準備を整えるべきだ。大島理森衆院議長は採決に当たり「政省令を整えた全体像を実施前に国会に示し、議論の機会を設けよ」と異例の提言をした。国会審議を踏まえた見識である。

走りながら考えるようなところもあるが、働きたいと思っても、5年で行き止まりだった技能実習制度が新制度との繋がりで、将来への展望が開ける道ができたことを活かしたい。

今国会では、新閣僚の揚げ足取りやテレビ映りを意識したパフォーマンスが目立ったことは反省材料である。建設的な「熟議」への改革のアイデアを競うことが今後求められる。(公明党代表)

【2018年12月12日(11日発行)夕刊フジ掲載】

大阪万博を経済活性化の起爆剤に

掲載記事2018年11月28日 (水曜日)

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博覧会国際事務局(BIE)の総会が23日(日本時間24日未明)、パリで開催され、2025年大阪万博(国際博覧会)の開催が決まった。ロシアのエカテリンブルク、アゼルバイジャンのバクーと三つどもえの争いとなり、決選投票で、見事勝利した。

20年東京五輪後の日本経済を活性化させる起爆剤として、大いに期待されている。

大阪は1970年に万博開催経験があり、今日まで、空港、港湾、新幹線、高速道路など交通の利便性が改善されてきた。宿泊や食事、ショッピング、周辺観光地との連結などの総合力で、初開催を目指した2つの候補地より高い評価を得たものと思われる。

安倍晋三首相は「日本の魅力を世界に発信する絶好の機会」であり、「開催地のみならず、わが国を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する」と、オールジャパンの体制での取り組みを目指す。

松井一郎・大阪府知事も、健康、持続可能な社会システムなど、「世界の課題を解決する新しいモノとサービスを生み出すことへの投資」を期待し、「世界中があっと驚く万博を」と意気込む。

開催場所となる大阪湾の人工島「夢洲(ゆめしま)」を中心に、新たな交通網の整備や、IR(カジノを中心とした統合型リゾート)の誘致も視野に、人工知能(AI)、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)などのテクノロジーを駆使して、会期中2800万人の来場と約2兆円の経済効果が見込まれている。

公明党としても、大阪はもとより、全国のネットワークを挙げて協力し、成功を期していきたい。私自身、55年前にできなかった万博参加の夢をかなえたい。

ゴーン容疑者逮捕〜日仏外交への波及避けろ〜

先週19日、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン容疑者が、自らの報酬を過少申告したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、東京地検特捜部に逮捕された。

80億円にものぼる役員報酬の過少申告、住宅購入のための投資資金私的流用、世界各地の高級住宅への家賃や家族旅行などへの私的な不正経費支出などが指摘されている。半面、日産の企業統治のあり方も問われる。

ゴーン容疑者は、19年前にフランスのルノー社から日産に送り込まれ、大胆なコストカットで有利子負債を数年で解消し、業績をV字回復させた。その経営手腕は鮮烈であり、日本の経済界にも少なからぬ影響を与えた。

それだけに、フランスでは「逮捕は、陰謀」との憶測もあったが、日産の4時間に及ぶ取締役会で、ルノー出身の2人の取締役にも、事実関係や日本の刑事手続に関する詳細な説明がされ、ついに、ゴーン容疑者の会長解任決議が全会一致でなされた。

フランス政府が筆頭株主であるルノーと、日産、三菱自動車との三社連合の行く末が注目されるなか、徹底した捜査による事案の解明と日仏の外交問題に波及させない対応が問われる。(公明党代表)

【2018年11月28日(27日発行)夕刊フジ掲載】

韓国最高裁判決「弁護士の私にも信じがたい」

掲載記事2018年11月14日 (水曜日)

韓国政府に対応の責任

入管法改正案、多岐にわたる課題を議論する

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韓国最高裁は先月末、戦時中に朝鮮半島から内地に働きにきていた人たち(=自称・元徴用工)に対し、新日鉄住金(旧新日本製鉄)に賠償金の支払いを命じる判決を出した。1965年の日韓請求権協定・経済協力協定を無視するかのような、弁護士の私にも信じがたい判決だ。

劣悪な労働環境下で働き、賃金も未払いのままという人も少なからずいたが、このような人々の問題も含め、65年の請求権協定・経済協力協定で、「完全かつ最終的に解決された」と明記された。

日本政府は、一貫して「解決済み」との立場だ。安倍晋三首相もこの判決に対し、「国際法に照らして、あり得ない判断。政府として毅然と対応していく」と述べた。政府は韓国政府に対し、判決によって生じた国際法違反の状態を是正するなど直ちに適切な措置をとるよう求めている。

原告の弁護士は、韓国内の新日鉄住金の資産を差し押さえることまで示唆している。これ以上エスカレートすれば、日本でも「駐韓大使召還」「ノービザ渡航廃止」「日本からの資本財や中間財の輸出制限」などの対抗策を求める声も高くなりかねない。

日韓双方の外交的努力を無にするような判決も問題だが、協定後の韓国政府の対応に、不満が残っていることのあらわれでもある。

今後、韓国政府は、請求権協定を守る義務を踏まえて、救済すべき被害に対応する責任を果たす必要がある。それを見守る冷静さが日本側には求められよう。

深刻な人手不足に対応するため、外国人材の受け入れ拡大を図る「出入国管理法改正案」が13日の衆院本会議で審議入りする。

確かに、近年の雇用情勢改善の流れを受けて、さまざまな業種で人手不足が深刻になりつつある。賃金や休暇などの待遇改善が進む面もあるが、好条件でも応募がない職場に悲鳴が上がる。

「外国人雇用特区」を政府に求める自治体も現れ、経済界も外国人材の受け入れ拡大を求めている。わが党が、今年4~6月に実施した「100万人訪問調査」でも、介護現場で外国人が働くことに、「言葉が通じれば賛成」との回答が64%に達した。

しかし、安易に「移民」に道をひらけば、言葉や習慣の違いが摩擦を生み、さまざまな問題を派生し、社会が混乱しかねないといった国民の不安も招いている。

今ある技能実習制度の課題と「改正案」との関係、外国にいる家族と年金・医療などの社会保険適用のあり方、外国人材が日本国民と共生できる社会のあり方、人口減少・少子高齢化が進む中での中長期的な社会像など、多岐にわたる課題をしっかり議論する必要がある。

12日の政府与党連絡会議で、安倍首相は「国民の不安を解消するよう、政府は丁寧な説明に努める」と述べた。与野党とも、建設的に議論を深めることが大切だ。 (公明党代表)

【2018年11月14日(13日発行)夕刊フジ掲載】

日中関係改善「ようやく、ここまでたどり着いた」と実感

掲載記事2018年10月31日 (水曜日)

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安倍晋三首相は25日、日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問した。北京・天安門広場には、日の丸が掲げられ、同日午後の日中平和友好条約締結40周年レセプションが、日中友好議員連盟をはじめ各種友好団体の代表団も参加して、盛大に開催された。

安倍首相は、習近平国家主席らとの会談で、「競争から協調へ、日中関係を新たな時代へ押し上げていきたい」と呼びかけ、習主席も「日中関係が正しい軌道に戻った」と語り、幅広い分野で対話と交流を深めていくこととなった。

「ようやく、ここまでたどり着いた」という実感である。

民主党政権末期に、日中は極度の緊張状態に陥り、政治対話の道さえ閉ざされた。政権を自公で取り戻し、連立与党・公明党として2013年1月に訪中以来、習主席宛の安倍首相の親書を届けたのは、4度に及ぶ。

その間、安倍首相は、多国間会議の際、習主席らとの首脳会談を重ねてきた。曲折を経ただけに、これを機に、来年の習主席の訪日を実現し、首脳の往来を重ねたい。

二国間の公式訪問だからこそ、両国の多岐にわたる課題について前向きな合意をつくることができた。経済面では、第三国での民間協力、イノベーションや知的財産に関する協力対話の創設、通貨交換(スワップ)協定再開、日本産食品の輸入規制緩和などで成果があった。

安倍首相はODA(政府開発援助)の終了を通告し、今後、開発分野の人材交流や環境協力を通じて国際貢献を図ることとした。習主席も、ODAの貢献を高く評価したうえで、来年の大阪でのG20サミット(20カ国・地域首脳会議)への協力を表明した。

安全保障面では、防衛当局間の「海空連絡メカニズム」の年次会合の年内初開催を約束し、日中海上捜索・救助協定(SAR)も結んだ。防衛・海保部門の交流を進めるなど、着実な前進が図られている。

課題も残る。

東シナ海の問題については、不測の事態を避ける点では一致したものの、現状の改善策を見いだすには至らなかった。対話と交流による信頼醸成が今後重要となろう。日中平和友好条約の核心の1つである「覇権を求めず」との精神が、両国の言行一致の姿勢に現れることが大切だと思う。

現在の米中関係と日本への影響についても、不透明感が残った。

日中関係改善の背景には、「米中新冷戦」といわれるほどの米中関係悪化があるとの指摘がある。マイク・ペンス米副大統領が4日、ワシントンで行った演説は、かつてチャーチル元英首相の行った「鉄のカーテン」演説を彷彿とさせるとの声もある。

貿易摩擦を含む、こうした対抗が長引くことは、世界経済に悪影響を及ぼし、どの国も得することはない。

日本は、多角的自由貿易体制を重視するとともに、公正な貿易ルールの進展をリードする必要がある。(公明党代表)

【2018年10月31日(30日発行)夕刊フジ掲載】

改造内閣には「いぶし銀」の実力を期待

掲載記事2018年10月17日 (水曜日)

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安倍晋三首相は今月2日、内閣改造を断行し、第4次安倍改造内閣がスタートした。安倍首相は「全員野球内閣」と名付け、地味に見えるが経験と専門性を持ち、高い調整能力を身につけた「いぶし銀」の実務型内閣だと胸を張った。

メディアでは早速、自民党総裁選で、安倍首相と争った石破茂元幹事長率いる石破派から起用された山下貴司法相や、唯一の女性閣僚として就任した片山さつき地方創生相などが話題となっている。

私が期待するのは、この内閣が最重視するテーマを担当する新閣僚である。

まずは、「災害対応」が当面の緊急課題であるため、山本順三防災相には注目している。西日本豪雨災害の被災地、愛媛県出身であり、秋の臨時国会に提出される災害対応の補正予算で仕事ぶりが試される。

公明党から留任となった石井啓一国交相とも力を合わせて、相次いだ災害の復旧・復興に取り組み、被災者の生活と生業の立て直しに汗をかいてもらいたい。

次に、「全世代型社会保障」への改革に取り組む、根本匠厚労相と柴山昌彦文科相である。デフレからの脱却の流れをさらに進め、消費税率10%への引き上げを来年10月に行う。

その際、税収の使い道を変更して、低年金者への支援給付や介護保険料の軽減拡大に加え、幼児教育の無償化や給付型奨学金の拡充、私立高校生の授業料実質無償化などの改革も進めていく。この重責を担うのが両大臣である。

安倍首相は15日夕の臨時閣議で、来年の消費税率引き上げに伴い、使途の変更、軽減税率の実施、かけ込み需要や反動減を抑える対策などを実行することを明言した。一部に、軽減税率の実施に様子見の空気があったが、これで準備を加速することが不可避となった。

根本、柴山両大臣は、麻生太郎副総理兼財務相や、世耕弘成経産相、茂木敏光経済財政相と連携して、改革を断行してもらいたい。

内閣支持率は、この改造で「横ばいか微減」にとどまった。期待値が上がらなかった分だけ、気負いなく、脇を締めて、「いぶし銀」の実力を出していけばよい。

世界同時株安は注意深く見守る

先週末、ニューヨーク市場発で、世界同時株安が起きたのには驚いた。政治家は市場に影響を与える発言は控えるのが鉄則だが、一時的な調整局面なのか長期的な下落傾向につながるのか、注意深く見守る必要がある。

米国連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続くと、長期金利が上がり、企業の金利負担上昇による業績悪化の不安が増す。新興国からドルが吸い上げられて通貨安を招き、経済不振に陥ることも心配だ。

また、米中貿易戦争が長引き、中国だけでなく、日本などの貿易関係国、ひいては米国にも悪影響が及ぶことも懸念される。

堅調な世界経済に与える、これらのリスクを警戒し、政策の国際連携を深めなければならない。(公明党代表)

【2018年10月17日(16日発行)夕刊フジ掲載】

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