トランプ政権の対北姿勢は明確

掲載記事2018年02月07日 (水曜日)

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平昌五輪を「平和と安定」を築き上げる好機に

いよいよ、韓国・平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式が9日、行われる。長野以来20年ぶり、今世紀初のアジアでの冬季五輪となる。

折から、朝鮮半島情勢の緊迫が続くなか、韓国において、北朝鮮選手も参加して「平和の祭典」が行われることは、歴史的に意義あるものとなる。

平昌を皮切りに、東アジアで2年ごとに、東京の夏季、北京の冬季と五輪が続く。相互に協力し合って成功に導くことが重要であり、地域の「平和と安定」を築き上げる好機としたいものである。

日本選手団132人が4日、現地入りして準備を始めた。好調で臨む女子スピードスケートの小平奈緒選手や、ノルディック複合の渡部暁斗選手をはじめ、スキージャンプ、フィギュアスケート、スノーボードなど、多種目で有望選手がひしめいている。活躍が大いに楽しみである。

安倍晋三首相も開会式に参加する予定だ。昨年11月、私が安倍首相の親書を文在寅(ムン・ジェイン)大統領に渡した際、安倍首相の参加を希望する伝言を託された。さまざまな声はあったが、参加を決断したことはよかったと思うし、この機会を生かしてもらいたい。

五輪を機に、対話の糸口が見えた北朝鮮について、ドナルド・トランプ米大統領は1月30日(現地時間)、初の一般教書演説を行い、異例ともいえる長い時間をこの問題に費やした。

北朝鮮に1年間拘束された後、脳に重い障害を負って帰国し、直後に死亡した米国人学生や、拷問を受けて脱北した北朝鮮男性の体験などを指摘して、人道上の問題を強調し、体制を厳しく非難した。

また、「北朝鮮の核ミサイルは近いうちに、米本土に脅威を与える可能性があり、これを食い止めるために最大限の圧力をかけ続ける」と述べて、重点的に取り組む姿勢を示した。

この演説直前に、トランプ政権は北朝鮮への軍事力行使に抵抗した駐韓米大使候補のビクター・チャ氏(ジョージタウン大学教授)の就任を「白紙」にしたとも報道された。トランプ政権の北朝鮮に対する態度は明確に思える。

このトランプ大統領の「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成が、米本土の脅威となる」との認識に立てば、日本列島を越えて太平洋に弾道ミサイルが何度も落ちた経験を持つ日本は、すでに脅威のただ中にいることになる。

現に、北海道からとらえた、ミサイルが日本海に落下していくニュース映像を見た外国の国連大使の中には、涙を流して日本に同情の念を示した人もいるそうだ。

安倍首相は3日、トランプ大統領と電話会談を行い、「北朝鮮に最大限の圧力をかけ続ける」とした大統領演説を評価し、マイク・ペンス副大統領とともに五輪参加の際、日韓首脳会談を行うことを伝えるとともに、「日米韓の連携」による圧力を高め、北朝鮮から話し合いを求めてくるようにすることで方針を一致させた。

五輪後、対話継続で解決に向かうと楽観視はできない。「未曾有の危機」を乗り越えるべく、予断を許さない展開が待ち受ける。(公明党代表)

【2018年2月7日(6日発行)夕刊フジ掲載】

経済成長の布石を打つ3つの取り組み

掲載記事2018年01月24日 (水曜日)

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通常国会が22日召集された。24日からの各党代表質問を皮切りに、安倍晋三首相が年頭に、「働き方改革国会」と銘打った論戦のスタートである。

東京株式市場では先週18日、日経平均株価が一時2万4000円を上回った。政府の「月例経済報告」は翌日、景気判断を「緩やかに回復している」として、7カ月ぶりに上向きとした。自公連立政権の経済政策が確実に効いてきた証拠である。

今度の国会は、さらに先々を見据えて経済成長の布石を打つ大事な取り組みが3つある。

まずは、「働き方改革」である。長時間労働を是正し、同一労働・同一賃金を実現し、非正規という言葉を一掃する。ワークライフバランスを確保し、誰もが生きがいを感じながら働ける社会に変えていく。働く側にも心配があろう。議論を尽くして合意を生み出したい。

次に、「人づくり革命」である。昨年末、政府与党で「新しい経済政策パッケージ」を作り、消費税収を生かして2兆円規模の教育負担の軽減策を決めた。幼児教育を無償化し、給付型奨学金を拡充し、私立高校の授業料を実質無償化するなどだ。保育の受け皿確保や保育士の処遇改善と合わせて今年から段階的にスタートする。

そして、「生産性革命」にも取り組む。事業承継税制の抜本的拡充や、ものづくり補助金、固定資産税の減免などで中小企業の基盤を確保し、設備投資を促す。三大都市圏の環状道路などのインフラ整備や科学技術振興を加速する。

これらの取り組みにより、2020年東京五輪・パラリンピック後の成長基盤を整えていくことが重要だ。

国会と並行して春闘も始まる。働く側の「連合」はもちろん、経営側の経団連会長も賃上げは「社会的な要請である」と語っている。政府も所得拡大促進税制でバックアップし、確実に賃上げを実現し、デフレ脱却を宣言したい。

ところが、国会運営は視界不良である。衆参で野党第一党が異なるうえ、統一会派づくりの離合集散が混迷しているからだ。

特に、民進党と希望の党の統一会派が先週見送りとなったが、分かりにくい展開だった。希望の党は、昨年の衆院選前、現実的な安全保障政策を目指す政党として、民進党から分裂して結成されたはずではなかったか。

統一会派を模索した最近の動きは、「政策ほったらかし」「有権者そっちのけ」「古巣回帰」という印象を受けてしまう。両党内部から統一会派への異論が出て、見送りとなったようだが、これでは、政治不信を増すばかりと言わざるを得ない。

野党は、厳しく行政を監視し、与党と異なる民意の受け皿となり、世論をリードする役目がある。国民は視界良好を望んでいる。(公明党代表)

2018年1月24日(23日発行)付 夕刊フジ掲載

慰安婦問題「文政権は賢明な振る舞いを」

掲載記事2018年01月10日 (水曜日)

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夕刊フジの読者の皆様、明けましておめでとうございます。今年もズバッと切り込みますので、よろしくお願いします。

元旦は穏やかな晴天に恵まれ、東京・葛飾区のわが家から初日の出を見ることができた。さえぎるものがない朝日のまぶしさは、全身にエネルギーを注ぎ込んでくれるような、爽快な気分を味わわせてくれた。太陽が誰に対しても、公平に光とぬくもりをもたらすように、すべての人々に安心感を届けられるような1年にしたいと決意した。

特に、北朝鮮問題を国際連携のもと平和的に解決し、教育負担の軽減を実現し、実効性ある事業承継税制を実施していきたいと思う。

公明党が政権にいる安心感を強めていきたい。

いよいよ2月に、韓国で平昌(ピョンチャン)冬季五輪・パラリンピックが開幕する。朝鮮半島情勢が緊迫するなか、「平和の祭典」として、世界各国の選手の活躍が期待される。

私は昨年11月末、平昌五輪会場を視察したとき、韓国の五輪関係者が「アジアで冬季五輪を開催したのは日本が2回だけ。韓国と中国が開催すれば、東アジアが冬のスポーツの国際拠点になれる」と意気込んでいたのを思い出す。

また、五輪関係者は「冬季五輪を開催できる条件は難しい。雪や氷のある場所に世界のお客さんを迎えられる都市がないのが難点です。札幌や長野は恵まれていました」とも語り、「だから、宿泊と飲食サービスの整ったソウルと、スキー競技が行われる平昌、スケート競技などが開催される江陵(カンヌン)を高速鉄道でつないで観客を往復させなければなりません」などと苦労話を披露していた。

こうしたなか、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は4日、大統領府で元慰安婦らと懇談し、2015年の慰安婦問題に対する日韓合意について、「この合意では、慰安婦問題が解決したと受け止めることはできない」と表明した。文氏が「おばあさんたちの意見も聞かずに合意したことを謝罪する」とまで語ったことは極めて残念だ。一方で、文氏は「政府間の公式合意だった事実は否定できない」とも述べている。

日本政府は「合意を変更しようとするのであれば、日韓関係はマネージ不能となり断じて受け入れられない」と抗議した。韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相も「重要な隣国の日本との関係も管理すべきだ」と語っている。

日韓合意は、両国政府が「最終的かつ不可逆的に解決」すると確認したうえで、日本政府は10億円の支払い義務を実行した。受け取った10億円の一部は、韓国政府が財団を通じて約7割の元慰安婦たちに、受け取る意思を丁寧に確認して、支払い済みとなっている。

この歴然たる事実を踏まえて、文政権は、賢明に振る舞ってもらいたいと思う。

平昌五輪・パラリンピックを、日韓協力のもと晴れやかに迎えたいものだ。(公明党代表)

【2018年1月10日(9日発行)夕刊フジ掲載】

今年は波乱の1年

掲載記事2017年12月28日 (木曜日)


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今年は「波乱の1年だった」

今年は「波乱の1年」だった。年明け間もないころは、前年の英国EU離脱や米大統領選などに続き、主要国の選挙が予定され、「不透明な展開」を語る人が多かった。

韓国やフランスの大統領選で政権交代が起こり、英国やドイツの国会議員選挙でも与党が後退し、政権が揺さぶられた。中国では、大物の失脚などを経て、習近平指導部の大幅な交代で新体制がスタートした。

こうした動きに日本は、安倍晋三首相が10月に衆院選を断行した。

先立つ7月の東京都議選では、圧倒的な人気の小池百合子都知事に対抗姿勢をとる都議会自民党は、閣僚の失言なども重なり惨敗した。加えて、いわゆる「モリカケ問題」が尾を引いて、内閣支持率が下落し、十分に回復しないなかで、安倍首相は衆院解散に踏み切った。

都議選を機に、小池氏らが国政進出の準備を整える前に、機先を制しての解散という意図もあったろう。あにはからんや、小池氏は「希望の党」を立ち上げて、民進党を丸のみする一大勢力をつくるかに見えた。しかし、「排除」発言があだになり、失速した。

与党は勝利したものの、公明党は、衆院選直前のスキャンダル報道や、民進党分裂による新党参入のあおりも受けて、議席を減らした。まさに薄氷を踏む勝利であった。

「モリカケ問題」は、決め手を欠きながら政権を悩まし続けた。世論調査で「政府の説明に納得できるか」の問いに、「できない」とする回答が高止まりしている。会計検査院の報告や、国会での議論を生かして再発防止策を確立しなければならないが、説明責任は尽きていない。

北朝鮮の軍事的挑発が続いている。

弾道ミサイルの発射が2月から9月まで毎月続き、11月までに16回に及んだ。国連安全保障理事会の制裁決議が重ねられ、日米韓はもとより、中国やロシアなども連携して「北朝鮮の非核化」を共通目標に、圧力を高め、最終的な平和的解決を目指している。

私も9月以降、ロシア、韓国、中国を相次いで訪問し、日本との関係改善や、北朝鮮問題での連携強化に対話を重ねた。

来年こそ、課題解決に実りある年にしたいものだ。

気になるのは、日本の国技、大相撲である。元横綱日馬富士が平幕貴ノ岩に暴力を振るったことで、引退を余儀なくされた。大柄ではないが、鋭い出足に惜しむ声は多い。だが、横綱ともなれば、暴力に訴えることは許されない。問題は、貴ノ岩の診断書を貴乃花親方が警察に提出したことが発端なのに、貴乃花親方から相撲協会がなかなか事情を聴けなかったことだ。元横綱朝青龍の引退も暴力がきっかけだった。

甘さを廃して、他山の石としてもらいたい。

【2017年12月27日(26日発行)夕刊フジ掲載】

軽視できない中東情勢への「懸念」

掲載記事2017年12月13日 (水曜日)

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トランプ氏のエルサレム首都認定

特別国会が9日閉会した。衆院選を終えて、野党は強行に実質審議を要求した。与党も謙虚な姿勢で、安倍晋三首相の所信表明と代表質問、予算委員会、人事院勧告実施のための給与法関連質疑などに合意した。外交や予算編成作業と並行しながら、タイトな日程を丁寧に対応した。

振り返って、期待された「建設的な議論」とは、ほど遠い結果に終わった。

与野党の質問時間の配分を変えて、与党への配分を少し増やした。与党も、官邸主導と言われないよう、「生産性革命」や「人づくり革命」などの経済政策や財政健全化の課題、緊迫する北朝鮮情勢などで、国会で政府と議論する必要があったからだ。

野党は、相変わらず「森友・加計学園問題」に、ほとんどの時間を費やした。「疑惑」の印象を振りまくだけで、新しい事実の指摘も乏しく決定打を欠いたように思われる。森友問題に関する会計検査院の報告が取り上げられたが、結局、あるべき評価方法や妥当な評価額については議論が煮詰まらなかった。

安倍首相は、検査院報告を「真摯(しんし)に受け止める」と述べたが、政府は、再発を防ぐために、文書管理のあり方を見直し、評価額の妥当性を検証できるようにすべきである。

北朝鮮問題やアベノミクスに対する野党の突っ込みが不十分だったのは、残念だ。

党首討論も機を逸し、通常国会も含めて、本年は一度も行われなかった。本来、大局的な国政運営の課題を党首同士で議論を交わし、国会論議を活性化させようという趣旨でスタートした。野党こそ、政権交代を誘う議論に挑んでいいはずだ。だが、その意欲は伝わってこなかった。

これらの背景には、衆院選を機に、民進党が分裂し、衆参の野党第1党が異なり、統一的な戦略を描きれず、野党間の足並みもそろいにくいという事情もあるかもしれない。

内外の課題が山積する今こそ、活発で建設的な議論が国会に望まれる。

ドナルド・トランプ米大統領は6日、「エルサレムをイスラエルの首都と認定する」と宣言した。これには、中東諸国はもちろん、英国やフランス、ドイツ、中国、ロシアなど、国際社会が一斉に反発し、わが国の河野太郎外相も懸念を示している。

何次もの中東戦争を繰り返し、イスラエルとパレスチナが共存できるよう当事者の交渉によって解決することを国際社会は促してきた。東エルサレムは、パレスチナ自治政府が「将来の首都」ともくろんでおり、世界各国は、大使館をエルサレムではない、商都テルアビブに置いている。

懸念が、暴力の応酬となって顕在化し始めている。公約実現をアピールする姿勢が外交的信頼を低下させ、中東情勢を不安定にする事態を招く影響を軽視してはならない。(公明党代表)

【2017年12月13日(12日発行)夕刊フジ掲載】

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