軽視できない中東情勢への「懸念」

掲載記事2017年12月13日 (水曜日)

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トランプ氏のエルサレム首都認定

特別国会が9日閉会した。衆院選を終えて、野党は強行に実質審議を要求した。与党も謙虚な姿勢で、安倍晋三首相の所信表明と代表質問、予算委員会、人事院勧告実施のための給与法関連質疑などに合意した。外交や予算編成作業と並行しながら、タイトな日程を丁寧に対応した。

振り返って、期待された「建設的な議論」とは、ほど遠い結果に終わった。

与野党の質問時間の配分を変えて、与党への配分を少し増やした。与党も、官邸主導と言われないよう、「生産性革命」や「人づくり革命」などの経済政策や財政健全化の課題、緊迫する北朝鮮情勢などで、国会で政府と議論する必要があったからだ。

野党は、相変わらず「森友・加計学園問題」に、ほとんどの時間を費やした。「疑惑」の印象を振りまくだけで、新しい事実の指摘も乏しく決定打を欠いたように思われる。森友問題に関する会計検査院の報告が取り上げられたが、結局、あるべき評価方法や妥当な評価額については議論が煮詰まらなかった。

安倍首相は、検査院報告を「真摯(しんし)に受け止める」と述べたが、政府は、再発を防ぐために、文書管理のあり方を見直し、評価額の妥当性を検証できるようにすべきである。

北朝鮮問題やアベノミクスに対する野党の突っ込みが不十分だったのは、残念だ。

党首討論も機を逸し、通常国会も含めて、本年は一度も行われなかった。本来、大局的な国政運営の課題を党首同士で議論を交わし、国会論議を活性化させようという趣旨でスタートした。野党こそ、政権交代を誘う議論に挑んでいいはずだ。だが、その意欲は伝わってこなかった。

これらの背景には、衆院選を機に、民進党が分裂し、衆参の野党第1党が異なり、統一的な戦略を描きれず、野党間の足並みもそろいにくいという事情もあるかもしれない。

内外の課題が山積する今こそ、活発で建設的な議論が国会に望まれる。

ドナルド・トランプ米大統領は6日、「エルサレムをイスラエルの首都と認定する」と宣言した。これには、中東諸国はもちろん、英国やフランス、ドイツ、中国、ロシアなど、国際社会が一斉に反発し、わが国の河野太郎外相も懸念を示している。

何次もの中東戦争を繰り返し、イスラエルとパレスチナが共存できるよう当事者の交渉によって解決することを国際社会は促してきた。東エルサレムは、パレスチナ自治政府が「将来の首都」ともくろんでおり、世界各国は、大使館をエルサレムではない、商都テルアビブに置いている。

懸念が、暴力の応酬となって顕在化し始めている。公約実現をアピールする姿勢が外交的信頼を低下させ、中東情勢を不安定にする事態を招く影響を軽視してはならない。(公明党代表)

【2017年12月13日(12日発行)夕刊フジ掲載】

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