安倍首相はトランプと信頼関係を

掲載記事2016年11月16日 (水曜日)

3721_001.jpg米大統領選(8日投開票)で、共和党の不動産王、ドナルド・トランプ氏が大方の予想を覆して逆転勝利した。あれだけの暴言を吐きながら、ヒスパニックやイスラム教徒らの反感と不安を招きながらの、驚きの結果である。案の定、市場は大暴落し、反発するデモが各地で起こった。

しかし、トランプ氏は勝利宣言で「分断の傷を癒やし、全国民の大統領となる」と述べ、鮮やかなノーサイド宣言を行なった。この君子豹変ぶりに、市場は反転し、混乱は回避されつつある。

民主党のヒラリー・クリントン前国務長官も敗北を認め、「トランプ氏に、この国のかじ取りを任せましょう」と国民に呼びかけた。トランプ氏はオバマ大統領と会談し、「困難な問題を議論した。これからも会談を重ねることを楽しみにしている」として、円滑な政権移行への協力を引き出した。

トランプ氏は、安倍晋三首相をはじめ、各国首脳と相次いで電話会談し、新たな関係を築こうとしている。安倍首相は、河井克行補佐官や秋葉剛男外務審議官を訪米させて情報収集に当たらせるとともに、自らも17日訪米し、トランプ氏と会談することとした。

先週末、来日したインドのモディ首相歓迎夕食会で、私と同席したインドの外務次官は前駐米大使だけに、「この後、自分も訪米する。安倍首相が早速会談することは素晴らしい。機敏な対応だ」と語った。各国とも、関係を模索する動きが活発だ。

公明党の岡本三成衆院議員は2000年ごろ、トランプ氏と2回、ビジネスで会った経験を持つ。その印象は、数字に強く、目的と手段を明確に分ける点だという。

雲行き怪しい米TPP撤退

トランプ氏は大統領選で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの撤退を口にした。だが、オバマ氏や周辺からは、トランプ政権下でもTPPを推進し、アジア太平洋に積極的に関与し、米国の影響力を維持すべきだとの意向が示されている。

もちろん、先行きは厳しくなっている。

しかし、TPPは、貿易障壁がすでに低い米国が他の参加国の障壁を低くして参入できるメリットばかりでなく、外交や安全保障上の戦略的なメリットも大きい。参加12カ国とも「ウィンウィンの関係」だからこそ合意に至ったのだ。伝統的に自由貿易の推進を旗印にしてきた共和党が上下両院を制したことも心強い。

日本は、国会承認により、「再交渉はなし。早期発効を目指す」との主体的意思を示して、米国や他の参加国に働きかけていくべきである。

安倍首相には、まずは個人的な人間関係を深め、何でも率直に話し合える信頼関係を築いてもらいたい。分かりやすく説明すれば、有能なビジネスマンであるトランプ氏は理解してくれると期待している。(公明党代表)

【2016年11月16日(15日発行)付 夕刊フジ掲載】

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