今後の日韓関係改善へ教訓とすべきだ

掲載記事2015年12月24日 (木曜日)

0391_001 - バージョン 2.jpg産経前ソウル支局長に無罪判決

韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に17日、無罪の判決が出た。これで、日韓関係の改善を妨げていたトゲが1つ抜けた。

公判では冒頭、韓国外務省が日本側の善処の要望を考慮するよう、裁判所に求めていたことが明らかにされた。司法の独立が危ぶまれる異例の事態である。裁判所は外交的配慮を加えて無罪とした。妥当な結論である。

判決では、3つの顔が立てられている。

第1は、コラムで取り上げた朴大統領に関する「噂」は虚偽であるとして、大統領の顔を立てた。第2に、コラムは韓国の政治状況を伝える意図であり、名誉を傷つける意図ではなかったとして、前ソウル支局長の顔を立てた。最後は、韓国は民主主義のもとで「言論の自由」が重視されるとして、日本や国際社会に証を立てた。

ともかく、これ以上の関係悪化は避けられてよかった。

11月初め、ソウルで日韓首脳会談が行われ、関係改善への流れが進み始めた矢先である。靖国神社に爆発物を仕掛けた韓国人が逮捕され、「また、緊張が高まるか」と懸念されただけに、この無罪判決で見せた深慮を教訓として生かすべきだ。

日韓関係の改善を妨げるトゲは「慰安婦問題」「竹島問題」「元徴用工問題」「水産物輸入規制問題」など、他にもある。私が10月に朴大統領と会ったときも述べたが、「日韓双方が努力して、解決への強い意志を持ってやり抜く」ことが重要である。関係改善への流れを止めてはならない。

本年も残りわずかとなった。振り返ると、歴史的に重要な政治的前進が図られた年であった。

まず、18歳選挙権を実現する公職選挙法が6月に成立した。1925年に25歳以上のすべての男子が選挙権を得て、45年に20歳以上のすべての男女に拡大されて以来の大改正である。来年夏の参院選から実施される。

9月に成立した安全保障法制の成立も大きい。国論を二分するテーマだったが、安保法制懇の報告、与党内論議を経た閣議決定、法案の国会審議を通じた与野党修正により、幅広い合意が形成された。民主党が安全保障環境の変化に共通認識を持ちながら、建設的な議論ができなかったのは残念だった。

これにより、憲法に基づき、戦争を防止し、国際社会の安定を図る、わが国の積極的平和主義を明確にできた。

さらに、8月の戦後70年談話をはじめ、政府・与党はもちろん各界の幅広い対話外交の努力によって、日中韓の関係が改善の方向に向かった。来年は日本で首脳会談が開催される。平昌(ピョンチャン)、東京、北京の五輪・パラリンピックの成功へとつなげていきたい。

12月には、消費税率10%引き上げ時に「軽減税率」を導入し、酒と外食を除く全飲食料品が軽い8%に据え置かれることに決まった。民意をくみ取った最善の結果である。

来年は、これらをさらに前進させ、デフレ脱却の道を確かにしたい。(公明党代表)

【2015年12月23日(22日発行)夕刊フジ掲載】

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