「過激主義生み出さない社会の構築」こそ日本の役割

掲載記事2015年11月24日 (火曜日)

4999_001 - バージョン 2.jpgフランス・パリで13日、過激派組織「イスラム国」(IS)による同時多発テロが発生し、犠牲者は130人にのぼった。エジプト東部シナイ半島でも先月末、ロシア旅客機が墜落し、乗客・乗員224人が死亡した。プーチン大統領はこの件も「ISのテロ」と断定した。

ISは、シリアで日本人ジャーナリスト、後藤健二さんを殺害したテロ集団である。これまで、米国主導の「有志国連合」がIS攻撃を続けてきたが、仏露両国が連携する動きも出ている。

国連安全保障理事会は20日、フランスが提出したISによる一連のテロ事件を非難する決議案を全会一致で採択した。決議では、パリ同時多発テロやロシア機墜落をはじめ、今年6月以降のISが関与したとみられるテロ事件を非難したうえで、新たなテロを阻止するため、国際法が許す範囲であらゆる手段を尽くすよう国際社会に求めている。

安倍晋三首相は22日、東アジアサミットの行われたマレーシアで「テロと対峙していくという、国際社会の団結をしっかりと示すことができた国際会議となった。わが国は国際社会と連携して国際テロを封じ込めるための対策に全力を尽くしていく」と語った。

そして、各国の法執行機関の能力向上支援、テロリストの資金源対策、テロの根源にある過激主義を生み出さない社会の構築支援などに取り組む姿勢を示した。

私は19日の記者会見で「テロは断じて許されない。政府はテロを未然に防止するため重層的な対策をとる必要がある」と述べた。公明党は昨年に続き、本年9月末にも、国会議員2人を中東に派遣した。ヨルダンのシリア難民キャンプや、パレスチナのヨルダン川西岸、ガザ地区などの実情を調査し、日本のあるべき支援について政府に提案した。

わが国は、安倍首相の示した「日本にふさわしい支援」を積極的に展開すべきである。特に、テロの根源にある過激主義を生み出さない社会を構築することは、日本が掲げる「人間の安全保障」の理念に基づき長年培ってきた大切な取り組みである。

来年5月には、伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)が開催される。わが国のテロ対策を一層強化しなければならない。国際社会と連携した情報収集の強化が重要であり、安倍首相が「国際テロ情報収集ユニットを12月上旬に設置する」と発表したのは当然だ。

自民党内には「共謀罪」新設の動きもあるようだ。テロなどの重大な組織犯罪の謀議に加わった場合に処罰の対象となるもので、国連が採択した「国際組織犯罪防止条約」で国内法を整備することが義務付けられている。

しかし、これまでの国会審議で不安や懸念が示されており、年明けの通常国会の審議の見通しなども踏まえると、成立は困難である。今後、国際行事や国際テロ対策の動向を見ながら慎重に検討していくべきである。【2015年11月25日(24日発行)掲載】

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