安保法案審議後、良識の府にかなう結論を

掲載記事2015年09月09日 (水曜日)

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このところ、維新の党の雲行きが怪しくなってきた。他党のことを憶測であれこれ語ることはしない-というのが政界の基本的なマナーである。

しかし、終盤国会の焦点である安全保障法制について、維新の党は「対案」を提出して与党と協議を重ねている。その点で、政党として合意形成の責任を貫けるのかは気になるところである。維新の党幹部の言動を冷静に見ておく必要がある。

維新の党の松野頼久代表は5日、「反安倍晋三内閣の受け皿になる勢力をつくる必要がある。野党勢力を結集して年内に新党をつくりたい」との意向を述べた。安保関連法案については4日、民主党など5野党とともに「強引な採決を阻止する」方針を確認している。

一方、維新の党を離党した大阪市の橋下徹市長は先月28日、「大阪維新の会で国政政党をやる。年内には道筋をつけたい」と語っている。安保法案については同27日、「国のために安保法制をしっかりやってもらう」と党所属国会議員に求めた。

こうなると、松野氏と橋下氏、その影響下にある維新の国会議員はそれぞれ、新党の行方や安保法案の対応で、まったく違った方向を向いているというしかない。維新の党として「対案を国民のために合意しよう」という責任感を優先させているようにもみえない。

安倍晋三首相は先週末、大阪のテレビ番組に出演して、安保法制の必要性を訴えた。これまでも、国会日程のない時間帯で、さまざまなテレビ番組に出演して、安倍首相なりに国民に説明する努力をしてきている。「東京のテレビ局ならいいが、大阪はまずい」ということはない。なるべく広い視聴者に説明する努力はあってよい。

7日の政府与党連絡会議で、安倍首相は「野党から修正案が提出され、議論も深まってきている。引き続き、分かりやすい丁寧な説明を行い、緊張感を持って対応していきたい」と語った。私や谷垣禎一自民党幹事長は、与党を代表して「参院でしっかり結論を出して成立できるよう、政府与党で結束していきたい」と応じた。

また、谷垣氏は8日告示の自民党総裁選について「法案審議に影響がないよう万全の対応をしていきたい」と語っていた。野党の対案や修正案には、これからも与党はできるだけ真摯(しんし)に対応していく。

民主党は「参院の威信を懸けて、60日ルールは使わず、良識の府にふさわしい議論を展開しよう」と、本会議で与野党に呼びかけた。だが、参院で60日以内に結論を出さず、以後、衆院に国会の決定権を預けたまま、「成立の先送り」、つまり「結論を出さず」と叫ぶのは、参院の存在価値を自己否定する、無責任極まりない主張ではないのか。

良識の府にかなう結論を期待したい。

[平成27年(2015年)9月9日(8日発行)付 夕刊フジ掲載]

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