安保法案議論議論たっぷり時間を

掲載記事2015年07月28日 (火曜日)

誤解招き、理不尽な批判には反論

150728zubatto.jpg2020年東京五輪の開会式(同年7月24日)まで5年を切った。

安倍晋三首相は17日、新国立競技場の建設計画を「白紙に戻し、ゼロベースで見直す」と決断した。事前に報告を受けていた私は、首相の記者会見後、コメントを求められて、「安倍首相の決断を尊重する。五輪・パラリンピックを内外の人に喜んでもらえるよう、政府与党として取り組んでいく」と応じた。

従来の計画については、2520億円まで膨張した総工費と、不透明な決定過程に国民の批判が高まっていただけに、安倍首相の決断は「英断」といってよい。世論調査でも、国民はこれを歓迎している。

とはいえ、19年開催のラグビーW杯への使用を断念することになり、関係者の落胆も大きいようだ。2大イベント推進のシンボルとみられた、森喜朗元首相が「悪役」を引き受けているようにも見えて、頭が下がる。

安倍首相は大会推進本部の初会合で、「世界中の多くの人々が夢と希望を分かち合える、歴史に残る大会にしたい」とあいさつした。限られた時間で、コストを抑制し、立派な競技場を造りあげるのは容易ではない。政府・与党が気持ちを一新し、国と東京都が協力して大会の成功に邁進(まいしん)したい。

さて、安全保障関連法案の審議が27日、参院でスタートした。国民の理解を進めるために、衆院審議から教訓を得ながら、分かりやすい議論を展開しなければならない。

衆院での115時間の審議のうち、与党は1割の時間配分にとどまった。つまり9割が野党だったわけだ。参院では、与党の質疑を通じて、法案の本来の趣旨や必要性をていねいに説明すべきだ。一部野党によるレッテル貼りや誤解を解き、理不尽な批判には反論することが必要であり、与党はたっぷり時間を取った方がいい。

先日、某大手新聞に興味深い記事が載っていた。日本の名だたる憲法学者へのアンケート結果を解説してあり、「自衛隊は違憲か」との問いに、122人中77人が「違憲または違憲の可能性あり」と答えている。実に63%にのぼる。私は「いまだにそうなのか」と思った。

自衛隊は、国内での災害派遣や国際貢献としてのPKOや国際緊急援助など、長い間実績を重ね、内外に高い評価を得ている。有事への備えも努力してきた。政府・与党は、憲法第13条による「人権を尊重する国政の責任」と、第9条の平和主義のもとで、自衛隊の活用と歯止めを時代の変化に対応しながら適切に運用してきた。

学者の大半が、いまだに「自衛隊違憲」という立場では、自衛隊の活用も歯止めも、現実的な議論ができなくなってしまう。この域を出ない政党の主張もある。

中国はこの1年間で、東シナ海の海上プラットホームを倍増させた。こうした安保環境の急激な変化を知れば、政権を担当した経験のある政党や政治家は、対案を含めて誠実に向き合うべきではないのか。

↑ページ上部へ戻る