「イスラム国」日本人殺害脅迫事件

掲載記事2015年01月28日 (水曜日)

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今は政府対応見守る事が重要

「イスラム国」による日本人殺害脅迫事件は、厳しい展開となっている。テロ集団は当初、72時間以内に身代金2億ドル(約236億円)を支払うよう要求した。24日夜、湯川遥菜さんを殺害したとする映像とメッセージを、ジャーナリストの後藤健二さんに伝えさせた。併せて、身代金要求を取り下げ、ヨルダン政府が収監している自爆テロ犯の女性死刑囚を釈放することと引き換えに、後藤さんの解放を示唆した。

菅義偉官房長官は「殺害の映像を否定する根拠はない」と述べ、安倍晋三首相も「映像の信憑性は高い」と発言しているが、日本政府として事実を確認するには至っていない。

政府与党は「人命第一」で臨んできただけに、殺害が事実とすれば、「許し難い残忍な暴挙だ」と厳しく非難しなければならない。「テロには屈しない」との姿勢を貫くとともに、国際社会と連携して平和と安定のために貢献していくべきである。

ヨルダン政府が当事者でもあるため、日本政府は緊密に連携しながら慎重に対応していかなければならない。与党は事案発生後、ただちに自公各党に対策本部を設置し、結束して対応してきた。今後とも、日本政府をしっかり支えていきたい。

野党もおおむね、政府の立場に協力する姿勢だ。ところが、一部に自党の党首発言と異なる安倍政権批判を発信する議員もいて、不徹底のそしりを免れない。世論調査では、日本政府の対応を評価する声が過半だ。

今は、人命が関わる緊迫した状況を強いられる中で、日本政府の対応を見守ることが重要であり、政治家があれこれ批評するのはまだ早い。テロリストは情報の流し方に長けている点も注意を要する。

そうした最中、通常国会が召集された。まずは、正念場となった経済再生や被災地の復興加速、さらに社会保障の充実や地方創生などを進める予算の早期成立を目指す。後半は、安保法制整備や農協改革、加えて、参院選挙制度改革などの重要課題が控えている。

補正予算の審議は異例のスタートとなった。安倍首相の所信表明演説を冒頭にやらないからだ。

通例なら、衆院選後、初の通常国会であり、政権運営に臨む首相の「所信」が求められる。議員も入れ替わり、その議員たちに指名された安倍首相であるためで、それが国会論戦最初のターゲットになるのだ。

しかし、緊急経済対策を盛り込んだ補正予算の一刻も早い成立を望む政府与党の姿勢に、野党は「所信」を求めなかった。寛大な理解に感謝したい。所信表明演説は来年度予算案が提出される2月中旬になりそうだ。

4月に実施される統一地方選挙を挟んで、充実した論戦を期待したい。

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