消費税率引き上げ延期 新たな見通し示せ

掲載記事2014年11月19日 (水曜日)

141119zubatto.jpg北京で開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に合わせて10日、日中首脳会談が実現した。安倍晋三首相は「首脳会談ができたことは本当に良かった。戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、関係改善の大きな一歩になった」と述べた。

民主党政権時代に日中関係が悪化し、政治対話が途絶えてしまった。自公政権への交代直後の昨年1月、私は安倍首相の親書を携えて、習近平国家主席(当時は中国共産党総書記)と会談した。その後、曲折を経て、ようやく首脳会談が実現したことは、両国および国際社会の人々に安堵(あんど)感をもたらしている。

最初の握手では、習主席の表情に硬さが見られたが、安倍首相が10月に日本で上演された中国のバレエ劇「トキ」を鑑賞したことを伝えると、習首席は笑顔を見せたという。

習主席は「最初は他人だが、2回目からは友人だ」と語ったとも言われる。安倍首相はミャンマーでは李克強首相と対話し、ブリスベーンでは習主席と再会した。この流れが確かなものとなるよう、双方の努力を期待したい。

北京では、安倍首相と韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が夕食会で隣席となり、率直な話ができたという。朴大統領は、日中韓首脳会談の開催を提案し、安倍首相は「首脳会談に向け協力していきたい」と語った。日韓関係は、議員相互の往来も活発になりつつある。

日中・日韓とも関係を正常化することを期待したい。

17日、7~9月のGDP(国内総生産)速報値が発表され、年率マイナス1・6%と、民間の予想よりもかなり厳しい結果となった。有識者による「点検会合」も18日で終わる。安倍首相はそれらを受けて、経済対策の検討を指示し、衆院解散・総選挙に出る構えだ。

自公の連立政権は、社会保障の維持強化のために消費税を安定財源とし、財政健全化をも目指す3党合意のもとで、経済再生を最優先課題として、アベノミクスを実行してきた。

民主党政権時と比べれば、株価が倍増し、失業率が下がり、企業の収益が伸びて賃金も上がった。経済の好循環が生まれ、景気は回復しつつある。

しかし、4月の消費税率引き上げの反動減から抜け切れず、賃金上昇が物価上昇に追いついていない。安倍首相は「税率を上げて、景気が腰折れし、デフレに戻り、税収が落ちていけば元も子もない」と言う。経済の実情と国民の生活を冷静に見ることが大切だ。

予定を変えて、消費税率引き上げを延期するなら、新たな見通しを示すべきだ。アベノミクスをさらに進めて、家計や地方や中小・小規模企業に及ぼし、デフレ脱却の道筋を明らかにする。延期しても、社会保障の維持強化と財政健全化の3党合意の枠組みを守って進める。合わせて、低所得者対策として軽減税率を確定し実行に移す。

これらのことに国民の信を問うことは十分な大義がある。

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