朝日新聞「慰安婦問題」取り消し、もっと早く対応を

掲載記事2014年08月13日 (水曜日)

〜今、重要なのは未来志向の解決を見いだすこと〜

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朝日新聞は先週5日、慰安婦問題に関する自社の報道を検証し、一部に誤りがあったことを認めて取り消した。

取り消したのは、吉田清治氏が「韓国・済州島で若い朝鮮人女性を狩り出した」などと著書や集会で証言したことを報じた部分だ。また、旧植民地の朝鮮・台湾で、女性が労働力として動員された「女子挺身隊」と慰安婦はまったく別であるのに、両者を混同したことも認めた。

このような報道ぶりが、国内での激しい論争の契機になり、韓国での慰安婦問題の取り上げられ方にも影響し、国連人権委員会のクマラスワミ報告にも吉田証言が引用されることに繋がった。

他のメディアも吉田氏の発言や女子挺身隊との混同を報じたこともあったが、1990年代に吉田氏の証言の信憑性に疑義があるとの見方が専門家の間で広まったことから、訂正したり、報道をやめたりしている。

朝日は、もっと早い時点での対応が可能だったのではないか。

慰安婦に対する強制性をめぐって論争が尽きない。しかし、多くのメディアが指摘するように、朝鮮・台湾ばかりでなく、フィリピンやインドネシア(オランダ人を含む)などにおいても、多くの女性の名誉と尊厳が傷つけられる行為が確かにあったことを踏まえた議論が必要だ。

国際社会には、戦時下で女性の人権が蹂躙された歴史をもとに、グローバルな問題として捉える動きがある。国連にも「紛争下の性的暴力防止」を担当する国連事務総長特別代表が選任され、この活動を日本政府も支援している。現在の人権感覚から歴史をみる国際世論を無視してはならない。

歴史的事実の検証が続けられるべきだし、広い視野から多面的に議論することも大切だ。

さて、去る9日、ミャンマーで岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との日韓外相会談が行われた。

慰安婦問題について、尹外相が「河野談話の検証などで両国関係は大きく損傷された」と述べたのに対し、岸田外相は「河野談話は継承し、見直さない。本件を政治問題、外交問題化すべきでない」ことを伝え、局長協議で議論を続けることになった。

重要なのは、歴史的事実を客観的に認識したうえで、未来志向の解決の道を冷静に見いだすことだ。

安倍晋三首相は来月第1週に、内閣改造を行うことを決断した。約600日間、安定した政権運営をし、実績も生み出してきた内閣を変える必然性は必ずしもない。安倍首相は誇るべき新記録を打ち立てたと言ってよい。

そのうえで、今後の政治課題への対応、人材の登用や育成を配慮しての決断であろう。与党が力を合わせて安倍政権を支え、政権合意の実現と国民の期待に応えていきたい。

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