安倍首相の強い取り組み〜北の拉致問題 再調査合意は「一歩前進」〜

掲載記事2014年06月10日 (火曜日)

140610zubatto.jpg日本政府は先月29日、日本人拉致被害者と拉致の可能性が排除できない特定失踪者らについて、北朝鮮側が包括的な全面調査を行うことを約束し、日本側は調査が開始された時点で日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除することで合意したと発表した。発表に先立ち、安倍晋三首相から私に対し、電話で内容の報告をいただいた。

スウェーデンの首都ストックホルムにおける、前日までの事務レベルでの外交交渉では「引き続き協議」と伝えられ、成果が不明確だった。それだけに、安倍首相の電話とその後の記者会見はサプライズ感があった。

2008年6月にも同様の合意がなされたが、福田康夫首相が9月に退陣すると、北朝鮮側は合意の履行を反故にした経緯がある。民主党政権の下でも具体的な拉致問題の進展がなかったことを考えると、今回の再調査合意は「一歩前進」と評価してよい。

安倍首相の強い取り組みの姿勢と、北朝鮮の孤立回避の思惑が合意を促したものである。北朝鮮としては、安倍政権の安定度を推し量りながらの合意であることも見逃してはならない。

もっとも、今回の合意については「振り出しに戻っただけであり、合意の実効性や拉致被害者の帰国実現の担保が不明確だ」という厳しい見方があるのも事実である。合意は、核・ミサイル問題とは別だが、それらをめぐる国際社会の動きの影響を受けることもあり、楽観視できないことももちろんである。しかし、安倍首相がこの問題に一貫して関与してきたことに自信を示していることに期待したい。

今回の交渉経過で、気になることが2つある。北朝鮮側が、朝鮮総連中央本部ビルの継続使用と、万景峰号の入港を強く求めていることだ。

中央本部ビルは事実上の大使館であり、手放したくないであろうが、日本側は「司法の競売手続きに従っている以上、行政府は手を出せない」との理由で、合意の枠外とした。万景峰号の入港も、安倍首相は「現在のところ認める予定はない」としている。

とはいえ、北朝鮮側の強い願望として、わざわざ報道されているところを見ると、安倍首相が「行動対行動の原則を貫く」という延長線に、双方の努力の余地が残されているような気がする。

いずれにしても、横田めぐみさん=拉致当時(13)=をはじめ、拉致被害者ら全員の早期帰国を、ご家族と多くの国民が願っていることは間違いない。再調査が実を結ぶことを祈りたい。

最後に、日本維新の会の「分党」についても触れたい。橋下徹氏側に37人、石原慎太郎氏側に23人となりそうだ。衆参の国政選挙で求めた国民の支持にどう応えたのだろうか。離合集散の大義がどこにあるか見守りたい。与党は結束して、合意形成に努める。

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