「憲法解釈変更」〜法的安定性重視し与党協議〜

掲載記事2014年05月14日 (水曜日)

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南シナ海が騒がしい。5月に入り、南沙(英語名・スプラトリー)諸島で中国の漁船がフィリピン当局に拿捕され、西砂(英語名・パラセル)諸島では中国の石油掘削を巡りベトナムと中国の公船の衝突が相次いでいる。この海域に緊張が高まり、不測の事態が生じている。

これらサンゴ礁の島々をめぐっては、かねてより、周辺の国々が「領有権」を主張し、「実効支配」を争ってきた。古くから、絶好の漁場として利用されてきたし、近年、石油や天然ガスなどの資源が有望視され、国連海洋法条約に基づく「排他的経済水域」(EEZ)についても主張がぶつかりあっている。

また、この海域は、中東と東アジアを結ぶ重要なオイルレーンであり、中国や日本などの貿易大国と東南アジア、インド、欧州などを繋ぐ主要な海上交通路でもある。

だからこそ、国際社会への影響も大きく、この海域の平和と安定は極めて重要だ。ウクライナ情勢とも無縁ではなく、東シナ海をめぐる状況にも関係する。

折から、ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議がミャンマーで開催され、11日、「武器の使用など緊張を高める行為をやめ、領有権問題を国際法に基づき平和的に解決すべきだ」とする首脳宣言を採択した。

先立つ外相レベルの「緊急声明」では「深刻な懸念」が示されたが、加盟国間で中国との関係に温度差があることからこの表現は盛り込まれなかった。「二国間解決」を主張する中国への過度の刺激を避け、明年の経済共同体発足をめざすASEANの結束を重視したものと思われる。

しかし、議長声明では再び「深刻な懸念」が表明され、関係国の自制を促した。今後、中国との紛争抑止のために、「法的拘束力のある行動規範」策定にむけて努力することになろう。

海上交通路の安全確保は関係国すべての共通利益であることから、「国際公共財」として我が国も含めた国際協力による取り組みを強化すべきである。

安倍晋三首相は12日の政府与党連絡会議で、自身が諮問した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書を「今週提出してもらい、政府の基本的方針を示し、与党と相談の上、対応を検討していく」と述べた。

当面する安全保障環境の変化をどう受け止め、関係法令をどのように検討するか。集団的自衛権の行使容認の是非を含め、「政府方針」も踏まえて与党の協議が開始されることになる。

安倍首相は、「憲法解釈変更の閣議決定の時期ありきではなく、与党で一致することが重要だ。時間を要することもあるだろう」と述べた。ただ、公明党は、従来の政府解釈を尊重してきたことから、それとの整合性や法的安定性の確保を重視しながら与党協議に臨んでいくことになる。

このテーマは、「連立政権合意」に掲げていないことから、「経済再生」や「外交」などとの優先順位やバランスを考慮することも忘れてはならない。

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