"日本版NSC"設置法案 政府には十分な説明責任求める

掲載記事2013年10月30日 (水曜日)

「10年に一度」と言われた大型台風26号が、伊豆大島(東京都大島町)に甚大な被害をもたらしたのは16日未明のことである。三原山の山腹から表層の火山灰土が大きく崩れ、島最大の集落である元町の住宅街を土石流となってのみ込んだ。死者・行方不明者は41人にのぼり、すでに30人以上の死亡が確認された。いまなお懸命の捜索活動が続いている。

島民の方々は、悲しみと不安を抱えて疲労困憊(こんぱい)していることだろう。こうした大災害は町役場だけの対応では限りがある。やはり、東京都や国との連携は欠かせない。30日には、衆参の「災害対策特別委員会」合同の現地調査が予定されている。1日も早く、今後の復旧・復興の見通しを示していかねばならない。

ここで、悔やまれるのは、被害地区の人々を避難させられなかったことである。前日夕刻から、気象庁や東京都、警察などから、警報や避難要請が出ていたにもかかわらず、大島町は「避難勧告」を出さなかった。当日、町長も副町長も島を離れて、不在だったことが判明した。

「避難勧告」を出す権限は大島町にあり、大型台風の接近も事前に予想されていた。この状況で、島民の生命と財産を守る職責がある町長らが、島を離れる判断をしたことが信じがたい。出張先でも、役場と連携を取りながら、臨機応変に対応できなかったのか。

今後、被害を回避できなかった要因を検証するとともに、「特別警報」のあり方や、「避難勧告・避難指示のガイドライン」の見直しなど、再発防止策をしっかりと検討する必要がある。

さて、国会では25日から、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案の審議が始まった。日本の外交・安全保障政策の司令塔として、中長期の戦略策定や大規模災害を含む緊急事態に、迅速かつ効果的に対応する態勢をつくる重要な法案といえる。国会論戦を通じて、政府は十分な説明責任を尽くすことが大切だ。

多くの犠牲者を出したアルジェリア人質事件を振り返ると、日本は独自情報に限界があり、フランスや英国、米国などと情報を共有して対応する必要があった。日本にない特別な情報を提供してもらうには、外に漏れない体制を整える要請が生じる。「特定秘密保護法案」はこうしたことに対応するものだ。日本版NSCが現実に機能するには、必要な制度である。

一方で、国民の「知る権利」や「報道・取材の自由」を保証する仕組みも、当然設けなければならない。公文書管理法を改正し、情報公開制度との調和点を整え、さまざまな懸念に応える措置を取ることも忘れてはならない。こうした対応を政府に取らせてきたのは、わが公明党である。政府は国会での議論に丁寧に答えてもらいたい。

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