憲法改正議論する以前に考えるべきこと

掲載記事2013年04月30日 (火曜日)

夕刊フジ4月30日付来る5月3日は、日本国憲法が1947年のこの日に施行された記念日である。このところ憲法をめぐる報道が多い。話題は96条に集まっているようだ。

96条といわれても、何が書いてあるかなじみのない人がほとんどだろう。憲法改正の手続きが定められており、手続きを緩和すべきとの主張が出てきた。「この夏の参院選の争点か」と問われても戸惑うのも無理もない。

長い間、一度も改正されなかったのは、96条が、衆参それぞれの「総議員の3分の2以上」という多数形成が難しい発議要件を掲げているからだ。「ハードルが高すぎる」として、「総議員の過半数」に下げる案を自民党は提案した。

しかし、手続きのまえに、「憲法のどこを変えるの?」「なぜ改正するの?」と国民は聞きたくなるだろう。

これまで、「護憲派」と「改憲派」が、おもに戦争放棄を定めた9条をめぐって対立してきた。憲法をとりまく環境が変化するなかで、「指一本触れてはならない」というのも変化に目をそむけているようにみえる。

憲法をよくみると、11条や97条に「基本的人権は永久に」守ると書かれているから、そもそも改正できないものだ。その「基本的人権」を保障するために、「国民主権」が徹底され、「恒久平和」の仕組みが定められている。この3つの基本原則は大切だと学校で教えられてきた。

それ以外の統治の仕組みについては、柔軟に考えていい部分もあるかもしれないが、いままで議論されてこなかった。いきなり「争点にしたい」といわれても困ってしまう。

「先ず手続きだけハードルを下げましょう」というのも「改正の発議は一律に総議員の過半数でよい」というのも議論が成熟していないのである。

一方で、今や地球環境保護は世界的な潮流となっている。「環境権」を基本的人権として追加しようと議論があってもよい。国民に定着している自衛隊を海外で武力を使わない歯止めをかけて憲法に位置づける規定を加えるか否かの議論もなされてよいだろう。

自民党は、1955年の結党以来、「自主憲法」制定を掲げてきた。公明党は、国民に受け入れられている現行憲法の内容に新たな規定を加える「加憲」を主張してきた。憲法に対するスタンスは違っていても、連立政権を担ってきた歴史がある。

今、国民は兆しの見えた「経済再生」「復興加速」を優先的にやり遂げてもらいたいと思っている。社会保障や財政健全化を着実に進めるためにも、政治が落ち着いて、政権が長持ちしてほしいと願っている。

こうした国民の関心は、世論調査にも現れており、それにしっかり応えていくことが、自公連立政権の役割である。参院選で問われるのはそのことである。

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